仕事人
「撃て!!」
ズパーン!
静まり返った屋内射撃場に38口径がこだまする。
照明は的と射手の2箇所のみを照らしている。
「撃て!!」
ズパン!ズパン!
今度は連続して撃つ。
カチャ、チャリーン‥
スイングアウトして空薬莢を床に排出する。
この場には俺、田口、客の3人しかいない‥
「無理を言って悪いね田口さん‥」
「実戦の技を見る良い機会だよ‥」
射撃場の管理人である田口との会話を他所に客は黙々と練習する。
「そろそろ良いかい?」
「あぁ‥」
《寺田》
以前紹介した吉岡と同じヒットマンだ。
40前半の中年男性だ。
見た目は何処にでもいそうな日焼けしたおっさんだ。
拳銃を得意とする。
「トリガープルを1.5ポンド軽くしてくれ。それからグリップをラバータイプに交換だ」
「分かった‥すぐ出来るはずだ」
田口に謝礼を渡して《草むら》へ戻る。
「座って待っててくれ‥」
「頼む」
俺は直ぐにバラして引き金を調整する。
回転式の為あまり時間は掛からなかった。
それからドライバーでグリップパネルを両面外す。
モデルガン用とエアガン用の在庫があるが、強度を優先して後者にした。
軽く銃身とガワを磨く。
「はいお待ち‥」
《M49》
スミスの38口径だ。
携帯性と抜き撃ちを前提としている為、激鉄の周りを覆うようなデザインだ。シングル•ダブル両方使えるが、基本的にはダブルアクションで素早く撃つ銃だ。
「急いで悪かった。時間が無いから支払いは来週だ」
寺田はヒップホルスターに素早く銃を仕舞い込んで足早に店を出た。
とある駅にて。
「間も無く一番線通過‥一番線通過‥」
構内にアナウンスが響く。
ホームに立つ人はまばらだ。
50代くらいの男性の背後に寺田が近寄る‥
「‥」
背後を完全に捉えた。
ガタンガタン‥シャー‥
緩やかにブレーキをかけて電車が通る。
サッ‥
「ん?」
男性が振り返る間も無く‥
ボシュ!ボシュ!
銃口を布に包み男性に押し付けるように発砲!
電車の通過する頃には寺田は消えていた。
男性は数分後、駅員に死亡が確認された。
監視カメラも目撃者もいない‥




