神父
火曜日の夜。
初老の男性客が来た。
「こちらへ」
パイプ椅子を広げて商談に入る。
客は座る前に軽く衣服を払う動作をした。
雰囲気も柔らかい。
「こちらを見て頂けないでしょうか?」
一丁の銃を小さな箱から出した。
《ウェブリー•リボルバー》
大英帝国時代において長らく使用されていた回転式拳銃だ。第二次大戦辺りまで使われていた銃で使用弾薬や口径も様々だ。米国製とは違った優雅なデザインだ。
「訳を話すと長くなってしまうのですが、綺麗な状態で恩返ししたいのです。どうか宜しくお願いします」
「こちらも詮索はしません」
《神父》
とある教会に勤めている。
物腰からも分かるように暴力とは無縁な感じだ。
とある注文を追加してきた。
「出来れば確実に撃てる状態まで直して貰いたいのですが、可能でしょうか?」
「勿論です。では2週間後に‥」
さっそく銃をバラす。
中折れ式と呼ばれる構造だ。
勢いよく解放すると空薬莢が飛び出す仕組みだ。
見てみるとシリンダー関係にガタが来ている。
試しに空撃ちもして見る。
カチン!
動くには動くが、感触としてはヌチャッとした悪い感触だ。ダブルアクションリボルバーは手入れを怠るとこんな感じになってしまう。
銃身は意外と綺麗だ。
もしかすると1週間くらいで直せるかもしれない。
いつものように洗浄と液体漬けを実施。
錆や汚れをブラシで磨いて乾燥。
一度組み立ててみる。
ある程度は問題ない。
またバラして部品を細かく調整。
強度を確保する。
今回は何十発も撃たなくて良いので田口以外の知り合いに土地を貸して貰った。
弾を装填する。
バン!カチ、バン!カチ、
バン!バン!
シングル•ダブル両方問題なし。
早めに銃の清掃を行い、神父を待つ。
受け渡し当日。
「田宮さん、この度はありがとうございました!」
「お代は120万です」
「もっと高いかと思いました」
「大事に保管されたお陰で手間があまり掛かりませんでしたから‥」
神父は大事そうに箱を抱えた。
英国製の銃を連続で出しました。
深い理由はありません。




