済州島
密輸船に乗って韓国人がやって来た。
《ユン》
同業者で恐らく偽名だろう。
度々日本に来ているので日本語ペラペラだ。
たまにキレると母国語が出る。
よくサングラスをかけている中年男性だ。
「田宮さん、数を揃えて欲しい‥」
「分かった‥ウォンじゃなくて円だぞ?」
「当たり前じゃないですか‥」
偏見は良くないのだが、半島出身者はよく人を騙す傾向にある。世間的には中国人やロシア人がそのようなイメージだが、仁義を通さないのは何故か韓国人が多い。ユンは別だ。
《ベレッタM9》
イタリア製の自動拳銃だ。
かつては米軍正式だった事もあり映画やメディアにも頻繁に登場する。
口径は9ミリ。装弾数は15発。ダブルアクションだ。
「15丁都合してもらいたい」
「分かった。予備弾倉はいるか?」
「いる‥」
「数も数だし2週間以上掛かるかもしれない」
「大丈夫、まだ使わない‥」
こうしてユンは店を後にした。
それからは色々な伝手を使ってベレッタをかき集めたが問題が発生した。
米軍やフィリピン軍の放出品が大半だが、54式のようにガタがきている銃が多かった。
まずは全てを分解して油をさす。
弾倉やスライドのスプリングが甘い物は全て交換した。撃針は割と使えるみたいだ。
ベレッタの特徴であるダブルアクション機構だがスムーズにセイフティが動かなかったり、激鉄がリリースされない不具合が多かった。
バラして見ると使いすぎて摩耗したり、汚れが溜まっていた。
予備が無いパーツの為、モデルガンや不良パーツを参考にして型を取り新たに制作する。
はめてみて合わない物はヤスリがけをして調整。
カチン、カチン‥
全ての銃のセイフティが滑らかに動作し、激鉄も確実にリリース出来た。
一丁だけマガジンキャッチに異常があった‥
弾倉が落ちないのだ。
見てみると脱着を繰り返した際に斜めに挿入してキズが付いたみたいだ。
パテで補強した後に塗料を重ね塗りして摩擦に対する強度を確保。
脱着を繰り返して収まりのよい感じに削る。
後は試し撃ちだ。
前回も世話になった田口の射撃場に15丁全て持っていく。
「手伝おうかい?」
バンバンバンバン!!
やはりベレッタは設計が優秀な為に良く当たる。
特に山型の照準器と滑らかなグリップはアジア人でもしっくり来る。
本題のセイフティだ‥
バンバン!!カチン、カチ
安全装置を掛けてから解除して撃つ。
ダブルアクョンは引き金が重い。
バンバン!
問題ない。暴発も無い。
それから倉庫に持って帰って銃身の清掃をする。
油をさしてから表面を布で磨き、仕舞う。
数週間後‥
桜が咲き始めた。
「田宮さんの商品は上質だね〜」
「どうもユンさん‥」
ユンはベレッタを密輸船に積んで母国に帰った。
国際ニュースです。
韓国の済州島で暴力団同士の抗争がありました。
死者10名以上の惨劇となりました。
韓国海洋警察は日韓密輸ルートから武器が流れている可能性が高いと睨んでいます。
これは確実に賄賂だな。
知っていながら見過ごしているはずだ。
こちとら今日も銃を磨く‥




