招かれざる客
俺の本業はそれなりに稼げる‥
需要と供給のバランスが近年変化している。
今泉と出会った頃よりも国内の治安は悪化している。
メディアが報じないだけで確実に武器や薬物が出回っている‥
本来なら政府や警察は俺の敵だ。
だがやむに止まれず《客》として来る事もある。
火曜日の夜‥
スキンヘッドの男が警戒を強めた。
因みに以前のサングラスの男は素手だったが例の事件以降武装している。
勿論バレたら終わりだ。
「おいっ!犬の匂いがするな‥」
眉間に皺を寄せて威嚇するスキンヘッド。
「もう宮仕はしていない‥」
「まだ抜けきれていない‥」
番犬が懐から拳銃を抜いた。
下手をすれば俺や店長もお縄になる行為だが、それを覚悟で銃を向ける。
「この通りだ‥」
相手は上着や靴を脱いで裏口に突っ立ている。
武器や盗聴器、警察手帳などが無いか見せている。
「今は仕方ない‥だが絶えず見張っているからな」
かつて犯罪者に向けていた言葉を裏社会の人間から言われるのは皮肉だろう。
合言葉を交わして奴は入店した。
「桶に水を張った‥」
「来いよ‥」
高圧的に接する。
パイプ椅子を乱暴に出した。
「早く座れ」
「はい‥」
《元刑事》
俺はコイツを知っている。
同業者を何人もムショにぶち込んだ野郎だ。
ベテランの中年刑事だった。
俺も危うく臭い飯を食う所だった。
だからコイツには心底消えて貰いたいが警察は身内が殺されると異常なまでに働く。
「死にに来たのか?楽に自決できるのを見繕ってやろうか?」
これまでの鬱憤を晴らすごとく問いかける‥
「田宮健一さん‥あなたの手を借りたい」
握り拳に力が入る元刑事。
悔しさと緊張で汗だくだ。
冬は冷えるぞ‥
「今後の動き次第だ。俺はアンタが潜入捜査をしていると疑っている‥当然だよな?」
「分かっている。監視でも何でもしろ!」
声を荒げているが構わず商談に入る。
「お目当ては?」
「‥携行が用意で弾が10発以上入る銃が欲しい。出来れば2次被害が少ないやつを‥」
まぁコイツが俺たちを嵌めようとした時点で消す準備は出来ている。とりあえず金を稼ぐか。
「これだ‥」
以前村瀬から買取した商品を出した。
《スコーピオン》
32口径サブマシンガン。
威力は必要最低限だがコントロールが容易で精度も高い。装弾数は20発。
専用ホルスターには予備マガジン付きで便利だ。
「アンタの事情なんか知らないから預金全部出せ。ヘタに活動出来ないように保険かけなきゃな?」
「ケッ‥わかったよ‥」
俺たちは水と油だ。
昨日今日まで敵対していた人間が仕事を辞めたからと言って味方になれるわけがない。
「‥」
元刑事は帰った。
大金が舞い込んでも紙幣の番号が控えられている可能性がある上に金の保管場所も限られる。
海外へ送金したりドルに立て替えたりして資金洗浄しなければならない。
「あ〜‥イラつく‥」
裏口で米兵から貰ったタバコを2人で分けて吸う。
今回は裏社会的なダークテイストにしました。




