米兵
水曜日の夜。
「隣の家の帰りは?」
「ヒルノサンジ‥」
カタコトの日本語を喋るガタイの良い男が来た。
スキンヘッドよりも彫りが深い‥外国人だ。
ガニ股で草むらに入店した。
「サオダケガウレマシタ!」
「こっちだ‥」
《元軍人》
俺より少し歳上くらいの白人男性だ。
M65のジャケットを着ている。
訛りや雰囲気からして米兵だろう。
「マークエイティーン‥」
一言そう言った。
「Anything else?」(他には?)
「Soft trigger‥」(軽い引き金‥)
「I see」(分かった)
《Mk18》
米軍が使用するM4カービンをベースに特殊部隊が改良を施した自動小銃だ。
非常に小型軽量で取り回しが良い事で有名だ。
様々なタイプがあるが最近はタンカラーのモデルがよく見られる。使用弾薬は5.56ミリNATO弾だ。
今回の依頼は本体購入と引き金の調整だ。
「Two weeks later‥」(2週間後に‥)
「OK」
俺は始めの週でMk18を入手•保管した。
実は《草むら》のエアガンコーナーにもコイツは売っている。無論偽物だが‥
そして分解清掃の後にトリガーシステムをバラした。
銃本体側に隠れている引き金の根本を磨いていく。
こうすると引いた時の感触やキレが変化するのだ。
組み直してはトリガーストロークを測る作業を繰り返す。
あとは勘だ‥
納得のいくキレになってから組立る。
弾倉を外した状態でコッキングレバーを引き、空撃ちをする。
パチッ‥
指の感覚としてはストンという感じだ。
これで良い‥
当日。
「Oh‥very sweet‥」(良い出来だ‥)
「Thank you」
「アリガトウゴザイマス、ヤクソクノオカネデス」
札束とタバコを置いて兵士は帰って行った。




