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ダンジョンズ・プレイヤー  作者: 星空月夜
第一章 始まりの旅
3/9

白狐族

この洞窟に来てどのくらい経ったのか。スマホを見ると丸一日経っていた。ああ、くそ。何回意識失う羽目になるんだよ。私が体を起こそうとした時、白い何かが視界を過った。これは、髪の毛? 白髪の生えているところを手で辿っていくと、私の髪の毛だった。それだけではない。何か、耳生えてる? まさかと思い、お尻の方に手を移動させると、尻尾も生えてた。感覚もちゃんとあるから、完全に己の物になっている。


「ス、ステータスを確認しないと・・・! ステータスオープン」


ステータスを開くと、種族の欄が増えており、白狐族となっていた。え、聞いてない。いや、メールに書いてあったような気がする。うん、書いてある。名前と職業を登録したら、職業に合う種族にさせられるって。ガッツリと。この際、肉体の変化はどうでもいい。私が文句言いたいのは別のことでね。


「な、何で白狐かなぁ。エルフとか、ドワーフとか、何なら人間のままでもよかったのに。何で獣人? マジでなんなんだよぉ。ううう」


私は嘆きつつ蹲った。カメラの自撮り機能を使って己の容姿を確認すると、あれ?


「案外悪くない。何なら人間の要素の方が多い」


私の予想に反して、髪色の変化、尻尾と耳が生えていること、あとついでとばかりに瞳の色も紫に変化している。人間の耳は、残ってるんだ。ふ~ん、前言撤回。白狐も悪くない。


「制服とはミスマッチだけど。髪、下ろした方が神秘的になるな。下ろしちゃえ。いっそ、口調も変えちゃう?」


そんなこんなで、私はテンション爆上げで歩き出した。


「幸先悪いな」


目の前にスライムが現れた。私は腰に差してあるナイフをスライムに向ける。歩き出そうと思った時に気付いたんだけど、職業に関わらず与えられるんだとか。荷物はアイテムボックスに入れてあるから身軽だ。速度はないけど、攻撃力は高めな気がする。


私はしっかり地を踏み、駆け出す。両手で持ったナイフを思いっきり振り下ろす。ナイフはスライムに命中し、スライムは光の粒となって消滅した。


ステータスを確認すると、スキルポイントが1増えていた。他の数値は変動なし。どうやったら他のステータスも上がるんだろう。その説明は見ていないな。


ステータスを上げるにはスキルポイントを振り分けなくちゃいけないんだとか。HPとかも。スキルを獲得するには特定のモンスターを倒すかスキルポイントを使うしかない。なかなか消費が激しいな。とりあえずHPに全振りしとくか。いや、速度に1ポイント振っとこう。よし、これでいい。


「スライムぐらいなら、素の身体能力でも倒せるんだね。当分はスライム中心に倒していこう」


それにしても、私の他に転移させられた人がいるんだよね。人数は不明だけど。ここまで人に会わないとは。ここが馬鹿でかいのか、人数が少ないのか、その両方か。ここはあまりにも不確定要素と言うか情報が少なすぎる。早く仲間を作らないと。前衛の人がいいなあ。


その後、十分ぐらい歩く度にスライムと出会い、討伐し、スキルポイントを貯めていく。


ただ、その代わりと言っては何だが、空腹感が強くなっていく。当たり前だ。元々持っていたお茶しか口にしていない。そのお茶もなくなって、制服に入っていたいつ貰ったか分からない飴で飢えを凌いでいたが、流石に限界だ。転移させられた日からもう二日経ってる。


「ステータスオープン」


確か、ショップ機能があったはず。お店のマークをタップすると、商品一覧が出てきた。食料は、このマークか。何か、手軽に食べられて安い物はどれかなっと。そもそも予算はいくらだ?


「一万ゴールド。一ゴールド=一円。おにぎりでいいや」


予算は結構あったから、お腹空いた時に食べるようにすればいい。食料はHPもMPも回復するアイテムの一種らしい。おにぎりを食べながらメールを見ていると、人としていいのか、というものを見つけた。


「睡眠不要、ね。人間の三大欲求の一つを潰していいの? まあ、寝込みを襲われたらたまったもんじゃないけど。本格的に人間やめろってこと?」


さて、腹ごしらえも終わったし、スライム処理に勤しみますか。


さっきの休憩での一番の収穫はマップ機能だった。このダンジョンは現在、10階層まである。それ以上ありそうだけど、『データなし』の表示で閲覧できなかった。恐らく、作りかけなのだろう。猫もデータ取らせてね、って言ってたし。


スライムを倒し続けて五日が経った。ステータスは今のところ変動なし。そろそろ割り振りをしても良い頃合い。とりあえずはHPに全振りで。各数値の限界は分からないけど1000は目指そう。


最近のルーティーンと言うか、食事を摂りながらステータスを弄る癖がついてしまった。別に悪いことじゃないんだけど、何かもやっとする。


「うわー! こっちに来るなあ!」


誰かの悲鳴が洞窟内に木霊する。ステータスを消し、私は全速力で声の発生源に向かう。このダンジョン内では疲労と言う概念がない。だから、無限に走ることができる。


そこで、私は不安になった。もしかして、モンスターが私をおびき寄せるために人間に似せた声で助けを求めているのかもしれないと。いやいやいや、本当に人間だったら夢見が悪いじゃないか。いっそ命がけで突っ込んで、モンスターだったら倒せばいいだけの話。HPはそこそこある。まだここは第1階層。基本雑魚しかいない。うん、大丈夫。

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