beginning
凪いだ海は
息を吹き返した
金青の彼方に
白布をはためかせ
波は起きた
瞬きを繰り返す度
ひとりでに
鼓動は
突き進んでいく
腕いっぱいに
抱き締めた潮騒と
私の形に
沈む足あと
哀しみさえ
積み上げては
さらわれていく
海原に
駆ける光を
追いかけ
息を切らした
流れ出た涙は
もう元には
戻らないと知った
水平線を
すべて並べて
喉をあければ
飛び立つ
声よ
風を掴めば
表せ色を
途方もない
孤独にも似た
喜びがある
蒼空を
仰げば 刻め
私と在る影よ
そこに
一点と立ち上がる 今が
明日を何度でも
美しく塗りかえる