巨大ロボットの進軍
1990年代中期から2000年にかけてのアニメ業界のムーブメントとして無視できないのが巨大ロボットというコンテンツの復権があります。勇者シリーズがその嚆矢となり、平成ガンダムシリーズ、これにマクロス7、さらに新世紀エヴァンゲリオンが加わる、ってとこでしょうか。その当時の筆者はユーザーとして普通に楽しませてもらいましたが、これほどの大作が顔を揃えたのも多分、偶然ではなかったのでしょう。
それ以前の、いわゆるロボットアニメの凋落期と言っても過言ではない90年代初頭から、突然アニメ業界で大作級の作品が乱立したのは、ひとえにビジネスモデルの転換期でもあったからなのでしょう。
ロボット玩具という目玉商品が一時期ほど売れなくなり、ロボットアニメ作品も乱作気味でネタが尽きてしまった感もあります。その上でスポンサーもつかないとなれば当然おいそれと制作などできなかったのでしょう。
そこにゲームという、アニメの天敵とも思われがちなサブカルとの融合を各社が模索していた時期のように思えます。バンダイは当時、バンプレストというゲーム専門の自社ブランドを起ちあげていましたし、タカラもまたプレステ時代は積極的にゲーム開発に参入していました。そしてエヴァンゲリオンの製作元、ガイナックスはゲームメーカーとしての顔を持っており、玩具メーカーがスポンサーにない作品として、放送前はアニメ界でも注目されていたようです。当時のロボットアニメがビジネスモデルの念頭にゲームを置いていたのは間違いないでしょう。
が、残念なことにその試みは結果的には奏功しなかったというのが筆者の見解です。
ガンダムゲームはファーストを中心に据えた作品が目立ち、平成シリーズはゲスト扱いです。勇者シリーズにしても単独でゲーム化を果たせるほどのヒット作には恵まれていません。
エヴァンゲリオンも当初はゲーム化されてもいましたがファンアイテムと言った趣です。いや、筆者は全部未プレイなので伝聞に過ぎないのですが。というか、エヴァンゲリオンという作品はそもそもそういう方向性でしかゲーム化できないような気もします。これは恐らく制作スタッフがゲーム化など念頭に置いてなかったのでしょう。
ガンダムにしてもファーストは当然ゲーム化など念頭に置いて制作されたはずがありません。
90年代当時のロボットアニメはゲーム化を念頭に置いて制作されてたはずなのに、意外にもゲーム化作品に恵まれていないのです。これは一体どういうことなのか?
思うに、ゲーム化を念頭に置くとは言っても、それをアニメ制作スタッフや会社に求めるのは無理があるからなのでしょう。ゲームが映像作品を下敷きにして設定なり世界観を作り出すのは得意としても、その逆、つまり、映像作品がゲーム化を意識した設定なり世界観を盛り込んでいたら自由度が極端に低くなってしまいます。ゲームをモチーフにした作品がチートやテンプレ抜きにできないのもこのあたりに原因があるような気がします。これはいかにも映像作品、特にロボット物とは相性が悪い。
しかもそれをゲームに盛り込むとなると、もうそれはゲームとして成立すらしないような気もするのです。