XーBOX
プレステ一強の時代が続き、技術開発もひとめぐりした頃、いよいよゲームハードにも刷新の時代が訪れました。プレステでも十分高性能なのに、これ以上進化する必要あるのかな? などと筆者などは感じたクチなのですが、弱小ユーザーの感慨など企業の論理の前では無意味です。プレステに勝てなくて悔しい思いをしているライバルメーカーにしてみれば一発逆転の可能性を秘めた一大イベント。進化を止めるなど不可能でしょう。
先陣を切ったのがやはりサターンで敗北の憂き目を見たドリームキャストだったのもセガらしい。とにかくスタートダッシュでユーザーを獲得。少しでもアドバンテージを握りたいという意図はよく分かりますし、間違ってないと思います。でも、やっぱり敗戦になってしまうのがゲーム業界の不思議。発表前から自虐ネタ広告を新聞に出し、周到な戦略が練られていたのは有名です。
実際、スタートは悪くなかったはずです。売り切れ店続出で生産が追いつかなかったとも聞きます。それでも後発のPS2に敗北を喫することになるのですから、セガの社員さんにしてみればなぜだと叫びたかったのではないでしょうか。性能にどの程度の差があったのかは筆者ごときには窺い知れません。が、やはりサードパーティーの参入が少なかったのが大きな不安材料だったのでしょうか。サターンでの敗北が記憶に新しいだけに、PS2が近く出るとなればおいそれと参入できない事情もあったのでしょう。
新しいハードでゲームを開発するのはそれなりに資金も時間もかかりますし。それなら虎視眈々と状況を見極め、大勢が見えてから参入したほうが合理的という判断は理解できます。製作会社からすればどのハードが勝つかなど関係なく、売り上げの見込めるハードであればそれでいいわけですから。ユーザーにとってはハードごとにプレイできないゲームがあるというのは悲劇でしかないのですが。
そのユーザーの思惑が市場に反映され、ゲーム機は一強になりがちなのではないでしょうか。ハードが乱立するより、遊べるシステムを作ってくれよ、と。
セガにとってなお不幸だったのは、サターン時代はほぼ一騎打ちの様相だったのに対し、今回はさらにハードが乱立したことでしょう。
任天堂からゲームキューブ、さらに海外からマイクロソフトという黒船まで参入。これがPS2発売前に登場したのですから、ドリームキャストに多少なりとも水を差したと思えてなりません。
そのマイクロソフト製ゲーム機、XーBOXという、高性能なんだけどゲーム機のネーミングとしてはどうなのかな? と思わずにはいられない、いかにもアメリカ人が考えそうなゲームハードに、当時のゲーマーも興味深々だったことでしょう。が、実際に購入に至るかどうかは未知数でした。