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シンプルに

 この危機感に対して業界内でも独自の試みで対抗しようとした動きも見られました。あえてゲームの開発費用を落とした、低価格路線のゲームです。

 シンプル1500シリーズ、PS2になるとちょっと値上げしてシンプル2000シリーズ。他にもパンドラマックスシリーズやスーパーライトシリーズ、18禁ゲームでもその試みは行われていたと記憶します。


 シンプルシリーズのスタート時は麻雀、リバーシ等のハズレのないタイトルを出していましたが、それも尽きてくるとサードパーティと組み、旧作や斬新なゲームをリリースし始めたのは有名です。筆者もこの流れには期待を持っていましたし、実際に何本か購入もしました。別に新作でなくてもいい。スーファミ時代の隠れた名作がPSで復刻してくれれば、などと夢想したものです。が、知的財産権のあるゲーム、おいそれとはいかなかったようで、旧作が復刻した例はほとんど見られませんでした。また、ハードをまたいでゲームをリリースするのも難しかったのであろうことは容易に想像できます。


 さらに、どう頑張っても開発資金の少なさは如何ともしがたく、なかなか面白いゲームにならないのもまた事実でした。資金が低いということは開発にも時間が掛けられないということですし。今ならネタにされ笑われてるゲームも多数存在するので、コスパは高かったと言えます。それだけシンプルシリーズは良く言えばアイデア、悪く言えばイロモノな作品が多かったのですね。中にはTHE バレーボールとかハクスラRPGなどの良作もあったらしいのですが、良作よりカルト作品の方が記憶と歴史には残りやすいのが難点です。 

 斬新な戦略で参入してきたシンプルシリーズでしたが、やはりゲームのボリュームや完成度という点においてはリセールへの明確な対抗策とはならなかったようです。


 もうひとつの雄、パンドラマックスシリーズはシンプルシリーズとは一線を画していました。

 よろず系とでも言いましょうか、一人で何でもこなせる天才的クリエイターが起ち上げ、低価格ゲームを定期的にリリースするという大胆な戦略を引っさげ参入したのです。

 筆者も何本か購入しましたし、その戦略に心の中でエールを送り、成功を願っていたものです。


 ゲーム内容はシステム的に目新しい物はありません。ひと昔前のRPGやノベルゲーといった趣です。でも、ゲームは知的財産の側面が多分にあります。システムは使い回しでも、ストーリーやキャラクターがいいものであれば充分、購入動機になります。音楽もグラフィックも、いらないとまでは言いませんが、多少古いものでもいいと思います。なんなら使い回しであってもいいとさえ思います。それで価格が抑えられれば許容できます。


 もしこれが成功すれば同じ志を持つクリエイターが集い、ムーブメントになるのでは。あるいは世に埋もれた若い才能の登竜門に、などと夢想したものです。既存の開発ツールでも、斬新なアイデアの詰まったゲームが低価格でリリースされれば閉塞感のあったゲーム業界に風穴を空けるのも夢ではありません。当時はそこまで考えていたわけでもありませんでしたが、筆者はそんな期待をこのパンドラマックスシリーズに漠然と抱いていたのです。

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