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立派な家と牧場

一日一話がなんとか続いてます。

わりと奇跡です。

レドーさんとともにレネスの街に入った。

レネスの街はそこそこ大きいみたいで、街に入ってすぐは畑や牧場といったものが多く見られたが、街の中心のほうは様々な店も多く、にぎわっているとのこと。


「レネスは周りは草原に囲まれた閉鎖的な街での。自給自足はしやすいが、他国はもちろんとなりの街でさえ、そこそこ離れていてな。ゆえに自分たちの手で盛り上げていくことになってな。繋がりがないわけではないが、頻繁に行商人やどっかのお偉いさんが来ることはない。だから街ではあるが、レネスは小さな国だって言われてるくらいだ」

「へ~」

「もちろん大国には負けるぞ。しかし田舎の街ではあるが田舎とは言えない状態になってるのは確かだ。わしもここまで発展するとは思わなかったがな」

「どうしてここまで発展したの?」

「レネスの街の領主様がいろいろとやってくださったんだ。領主様はこのレネスの街のことを本当に愛してくれとる。だからこのまま廃れていくのは我慢できなかったみたいでな。最初はたくさん失敗したもんだ。よく領主様とは酒場で話し合いをしたもんだよ」


えっ、領主と話すってレドーさん何者?

ただのダンディなおじ様ではない?


「領主はここの住民と仲がいいみたいね」

「おうよ。レネスの街を良くしていくことじたいは、今の領主様の先代、父親なんだがその頃から始まっていたんだ。で、わしは先代と同じくらいの年でよくつるんでおった。領主様はそのあとをよく追いかけていたんだ。だからな、わしくらいの年のやつらにとっては、自慢の領主と同時にかわいいわが子のようなもんだ」

「ふふっ。ほほえましいわね」


ほんとにいい関係なんだな。

レネスの領主か~。お偉いさんとは関わりたくないけど、ちょっと会ってみたいかも。


「さて、もうすぐ家につくぞ。楽しみにいておくといい」

「ありがとう。レドーさん。お世話になるわ」

「がっはっはっ! これからよろしくな!」


目の前に牧場が見えてきた。そして木造の2階建ての家が隣に立っていた。

……結構立派な家だな……牧場もそこそこひろ~い……


「レドーさん? もしかしてだけどあそこに見えるひろ~い牧場と、立派な家がレドーさんの家?」

「がっはっはっ! 嬉しいことを言ってくれるな! そうだ! あれがわしの家だ!」


レドーさん本当に何者なの!?


「ジャンヌだけの部屋もあるから好きにつかうとええ。掃除はしてあるはずだからすぐに使えるだろう」

「一人部屋まであるの!?」

「無駄にでかくなっちまったからな」


ひえ~


「到着っと。ジャンヌ。すまんが家に入る前に荷車から荷物をおろすのと、馬を小屋に連れていくのを手伝ってくれ」

「ええ。それくらいはやらせてちょうだい」


無駄飯を食べるわけにはいかないからね。

できることはどんどんしていこう。


「よ~しよし。よく頑張ったな。ほら飯を食え」

「ふふっ。ここまで乗せてくれてありがとね」

「ジャンヌは馬の扱いが上手いな。もうなついておるじゃないか」

「前は馬に乗ってたからね」

「なるほどな。もし仕事が見つからなかったら、うちで働くのもいいかもな」

「見つからなかったらお願いするかも」

「今でも歓迎するぞ」

「今は遠慮するわ」


お互いに軽口が言い合えるようになってきた。

レドーさんは馬を大切にしており、小屋には他にたくさんの馬がいたがどれも逞しく、美しかった。

荷車の荷物をおろして、別の小屋に入れ、お手伝いは終了。


「いや~助かったわい。ありがとう」

「これくらいはどうってことはないわ」

「がっはっはっ! そうかそうか。よし。家に帰ろう。妻にお前さんを紹介しなくちゃな」


レドーさんに連れられ、私はレドーさんの家にお邪魔させてもらう。

レドーさんの奥さん、どんな人だろう。


「ただいま! 帰ったぞ。マリア」

「おかえりなさい。今日も無事に帰ってきてなにより。……あら? そちらの方は?」

「初めまして。私ジャンヌと申します。今日草原で迷っていたところレドーさんに助けていただきました」


フルネームで名乗るのはやめておこう。家名だのなんだので、面倒くさいことはごめんだからな。


「あらそうだったのね。私はマリアといいます。レドーの妻です」

「なぁ、マリア。ジャンヌは今日からうちに泊めてやることになったから、よろしく頼む」


おぉい! ストレートすぎる!

なんの説明もないまま泊めてもらえるわけ……


「あらそうなの? ジャンヌさん、これからよろしくね」


あれ?


「えっと、あの、よろしいので?」

「何がでしょう?」

「いえ私も泊めていただきたいのですが、その、私が言うのもおかしいですが、そう簡単に認めてもいいのでしょうか?」

「大丈夫よ。夫が連れてきた子ですから。心配はしてませんわ」


おぉう。レドーさんのことを信頼してるのだなぁ。


「しばらくお世話になります。よろしくお願いします」

「ええ、ジャンヌさん、よろしくお願いしますね。さて話もあるでしょうし、それはご飯を食べながらにしましょう」

「そうだな。わしは腹がへった」

「すぐにおつくりしますね。あぁ、それとジャンヌさん」

「なんでしょう?」

「おかえりなさい」


マリアさんは私にそう言って微笑んだ。


「あ、え、えっと……た、ただいま」


レドーさんもマリアさんも笑っている。

私は恥ずかしくなりながらも、すごく嬉しかった。

ようやく拠点(予定)のところまできました。


まだまだ物語は始まってすらいないのかもしれない……

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