わんぱく娘
お待たせしました。
少し日が空いてしまいました。
セレナさんに続き、今度はレニーちゃん……でいいのかな? について話を聞く。
「さてレニーについてだが、レニーは3番目ということもあって、2人の姉を見てきたから、2人のいいところを上手くくみ取っておる。セレナの落ち着いた性格と、アリアの勇敢な性格を見事に体現した子だ」
「どちらかというとアリアに似ていて、お転婆でもお茶目でもあるわ」
「それにまだ12歳のわんぱくざかりだ。いろいろと挑戦と言っては遊んでおる」
「かわいらしいわね」
レニーちゃんでよさそうだ。
それにしても12歳か……私がミカエル様から神の啓示を受けたのもそのくらいだったな。
なんか運命を感じちゃうな。
「レニーちゃんは確か今友達の家に泊まりに行ってるのよね?」
「ああ、そうだ。あの子は交友関係が広くてな。正直いつの間に知り合ったのだと、こっちが驚くことが多いわい」
「そして人を見る目もありますから、危険と思ったら関わらないようにしてるみたいで。親としては安心できますが、才能に振り回されないかも心配になります」
「それこそわしらがしっかり教えていかなければならんからな。しかしアリアに似てるからな。落ち着きがないんだよ」
「アリアほどではありませんが、確かに熱が入ると暴走しがちですね」
「レニーちゃんよりもアリアさんが気になって仕方ないんだけど」
アリアさん、今の言い方からするとよく暴走するのかな?
「レニーはアリアのことも好いておるが、憧れがあるのはセレナみたいでな。セレナの常に落ち着いた言動、美しい佇まいとかに目を輝かせてな。私もセレナ姉みたいになるってよく言っておる」
「まぁ今のままだと、少し厳しそうですけどね」
「日に日にアリアに似てきたからな」
レドーさんもマリアさんも笑っている。親の顔だ~。
会ったこはないけど、セレナさんには確かに私も憧れを持ってしまった。
でもね、レニーちゃん。話を聞く限りでは、セレナさんにはなれなさそうだよ。
ご両親の顔が物語っているよ。優しい微笑みだもん。
「まぁそんなわけでな。娘全員がなかなかに癖がすごいからな。全員揃ったらうるさいかもしれんな。がっはっはっ!」
「セレナも落ち着いた子ではありますが、やはり私たちの子ですから。あの子が一番情熱的なところがありますね」
「へぇ~、ちょっと意外」
「まぁそのくらいないと幼馴染と結婚なんてできんからな!」
「確かに一理あるわね」
「ずっとロイド君を追いかけてましたね」
ますますセレナさんに会ってみたいな。
「レニーについてはまた帰ってきてからでいいだろう。確か今日泊まりから帰ってくるんだったな?」
「はい、そうですよ。お昼は食べてくるみたいなので、夕方頃になるかと」
「ならちょうどいい。ジャンヌに仕事手伝ってもらいながら街を案内して、帰ってきたら会えるだろう」
「また晩御飯のときにでも親睦を深めてもらえたらいいでしょう」
「そうするとするか。ジャンヌ、何か聞きたいことはあるか?」
「いや、特には。マリアさんも言ってたけど、会ってから話してみたいわ」
「がっはっはっ! あい、わかった。それじゃ仕事に出かけよう。ジャンヌも外に出る準備をしてくれ。仕事を手伝ってもらうから身軽な恰好がいいだろう。マリアからもらっているだろう?」
「……確かにもらったが、なぜ知っている?」
「マリアがお前さんのことを気に入っておるからな。それにお前さん荷物なかっただろ?だからマリアがいろいろと渡すだろうと思っておったが、やはり渡しておったみたいだな」
そういってレドーさんは笑う。
レドーさんはマリアさんのことを理解しているな。だったら少しくらい止めてくれてもいいんじゃないかしら?
ありがたいけど、多すぎて罪悪感が……
「またいろいろとあげますからね」
「あっいや」
「がっはっはっ! もらっとけ、もらっとけ!」
マリアさんも目はキラキラしていた。
……楽しそうだから上手く断ることができないぃ。
「よし! それじゃ仕事に行ってくる。ジャンヌ、先に外に出て、準備して待っておるから、お前さんももう少し身軽な恰好に着替えてから来るといい」
「ああ、わかった」
「鞄は用意しておきますから、着替えるだけでいいですよ」
「え?」
「少し大きめのやつをあげてくれ」
「ふふっ。わかりました」
「え?」
「鞄も渡すから好きに使うといい」
「え、いや、さすがにもらいすぎでは……」
「これからまだまだ増えるから諦めろ」
「えぇ……」
マリアさんどんだけ……
ま、まぁいい。
しかしドンドン返さなきゃいけない恩がふえるな。
ほんと感謝してもしきれないな。
いつか必ず恩返ししなければな。
「準備できしだい出発する。街につ案内しながらその都度説明しよう」
「よろしく頼む」
さて、ようやくレネスの街だ。
思いの外すっと終わった……よかった。
次回はようやく街の探検です!