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家族です

まだ1日が終わっていなかっただと……

晩御飯はとてもおいしかった。

しかし、事前に聞いていたからある程度覚悟はしていたが、それでも予想以上に量が多かった。

おいしくて、どんどんお腹の中に入っていき、最初はこれならいくらでもいけると思っていたのだが、無理でした。

レドーさんは「食べたほうだ! 残りはわしらが食べよう」と大笑いして、マリアさんも「ふふっ。ちょっとはりきりすぎたかしら。それにしてもジャンヌちゃんはよく食べてくれて嬉しいわ」と笑ってくれた。

ありがたいことだが、あれがちょっと?……一つ一つが間違えなく大盛りで、20食くらいはあったのだが?

……おいしかったからよし!

晩御飯の後はお風呂まで入らせていただいた。温かい水に浸かれるとは考えたことがなかったな。

まさかあそこまで気持ちのいいものだったとは……

天にも昇るような気持ちだとはよく言ったものだな。現代の地球ではお風呂は普通の文化らしいが、私が生きていた時代では考えられないな。もう二度と戻りたくない。仮に地球に帰ることになっても、現代に帰りたい。もとの時代はやだなぁ。

お風呂からあがった私に待ち受けていたのは、そう、個人の部屋だった。

2階にあるみたいで階段をあがって案内してもらった。


「今日からここがジャンヌちゃんの部屋です。好きにくつろいでくださいね」

「本当にいいのですか? 何から何までお世話になってしまって……」

「かまいませんよ。むしろ使ってくださるほうがこちらとしてもありがたいです。娘が3人いるのですが、2人はすでに家を出てまして、使ってない部屋を空いたままにするのもどうかとおもってましたので」

「そうですか。それならありがたく使わせていただきます」

「ええ、どう……いえ、やはりダメです」

「えっ! い、いきなりなぜですか!?」

「距離を感じます」

「は?」

「距離を感じます」

「きょ、距離、ですか?」

「はい。ジャンヌちゃん、今日から貴女はここに住むわけですから、家族ということになります」

「え? いや、初耳な「家族ということになります」んですが……」

「家族ということになります」

「え~と、その……」

「家族です」

「……」

「家族」

「はい」


こっっっわ! なになになになに!?

ほわほわしてたマリアさんから力強い意思を感じる!


「夕食の時からでしたが、夫とは軽口を言い合うくらいの仲だったのに、私にはいつまでも他人行儀のようで、案外さみしいものなのです。貴女はしばらくここを拠点にしてお金を稼いでいくつもりなのでしょう? すぐにはできることではないので、長い期間は一緒にすごすことになります。ですので、もう家族のように語り合えたら嬉しいのですよ」

「な、なるほど。確かにそうですね」

「でしょう? それに私は娘を可愛がりたいのですよ。ジャンヌちゃんはとってもいい子ですので、家族として、娘として受け入れたいのです」

「は、はぁ」

「なのにジャンヌちゃんからは距離を感じるのです。夫とはあんなに仲がいいのに、どうしてでしょうか?」

「いや、まぁ……いきなり甘えすぎるわけにはいきませんので」

「私は大歓迎ですよ」

「あはは……」


母は強し、というやつかな?

……それだけで片付けていいものだろうか?


「ジャンヌちゃんは次女と年齢が近いし、余計に可愛くてね……ね? 家族になりましょう?」

「え、えぇとぉ、そんないきなり……」

「そうですね。確かに急ぎすぎました。しかし、いつまでも他人行儀というのもさびしいのですよ」

「いや、確かにそうですが、心の持ちようというか」

「さみしいのですよ」

「家族になるっていうのは、とても嬉しい提案ですけど、レドーさんとかのご意見とか……」

「さみしいです」

「……わかった。これでいいのか?」

「あら。なかなか勇ましい言葉遣い。それがジャンヌちゃんらしさなのですね。ふふっ」

「えぇと、その、なかなか慣れないものだから、最初のうちは勘弁してほしい」

「ええ、かまいませんよ」

「しかし、家族というのは勝手に決めていいのだろうか?」

「あら? いやでしたか?」

「いや、その……嬉しいし、なれるのならなりたい……しかしレドーさんや娘たちの許可とかは?」

「夫はもうその気でいます。娘もすぐ受け入れるでしょうから問題ありませんよ」

「あっ、そうですか」


そうか~、決定事項だったか~


「そ、それと、家族になるということに気をとられていたが、娘が3人いるのか?」

「はい。そうですよ」

「夕食時に教えてくれてもよかったのに」

「夕食の時は食べることに夢中になってましたもの。おいしかったかしら?」

「おいしかったです」

「ふふっ。お粗末様でした。まぁそれで上の2人はもう家を出てて、下の3女が隣の部屋にいます。今日はお友達の家にお泊りに行っていますのでいませんが」

「そうか。話を聞いても?」

「それはまた明日3女が帰ってきてからにしましょう。お昼以降でしょうし、それまでに夫に街を案内してもらってから、また夕食の時にでも」

「わかった」

「それにもうお疲れでしょう? ベットもきれいにしてますので、ゆっくり休めるでしょう」

「あっ、もう部屋を使ってもいいの?」

「ええ。家族ですから。そこは貴女の部屋となりました」

「そ、そうか。ではありがたく使わせてもらおう」

「それでは、おやすみなさい」

「おやすみなさい」


マリアさんは微笑んでから1階におりていった。

マリアさん……なかなか逞しい人だったな。

私は圧倒されてしまい、終始たじたじだった。戦場にもあんなタイプは見たことないしな~。


「しかし……家族、か」


なんだかんだで喜んでいる私がいる。単純だなぁ。

明日から頑張るか~。

そう軽く決意して、ベッドに入って眠った。

長い1日がようやく終わった。


……ベッド、ふかふかできもちいい……

次は街の中の探索です。

娘についてもふれたいのですが……無理かなぁ。

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