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短編

ポリエチレンテレフタレート

作者: 奈良ひさぎ

 知ってるか?

 日本ではペットボトルの八割以上がリサイクルされてるらしい。大した数だ。見捨てられて燃やされる同士が少ないってことだから、こっちにしてもいい話だ。


 おれは何度もそのリサイクルってやつをされてきた。PET樹脂にされ同士と一緒にペットボトルになって人の手に渡って、回収されればもう一度砕かれてPET樹脂に戻って次の仕事に向かう。最近はその辺におれたちを捨てていくような荒くれもんも多いって聞くから、これまでずっと回収されて生まれ変わってきたおれはラッキーなのかもな。


 ペットボトルでいるのは楽しい。なんでかって?

 いろんな人の手で握られるって、案外新鮮なもんだ。ごつごつした野郎の手で握られる時もありゃ、柔らかい女の子の手で包み込まれることもある。おれたちまでほっこりしそうなくらいあったかい手なこともあれば、凍え死なねえか心配なくらい冷たい手の時もある。その時持ってくれてる人のことをいろいろ考えるのは楽しい。……ヒマな奴、とか言うんじゃねえよ。


 でもおれのそんな仕事ももう終わるらしい。いつもは砕かれてもう一回いつものボトルの形になるってのに、今回はどうも隣に仰々しいカフスボタンが乗り込んで来やがった。さては今度はシャツか?

 まあいい。もう何十回もボトルとしてやってきたんだ。今さら違う道に行ったところでビビるかよ。せいぜい、もっと人肌の温もりってやつを楽しんでやるぜ。じゃあな。

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