初戦闘
第二節 二人のお姫様・初戦闘と魔法
一夜明けると僕は、奈柚を連れて武器やその他色々な買い出しに来たのだが、なぜか、ユニアとエレスまでついてきた。武器屋に到着し、武器を買おうと思ったが、沢山の武器に目移りしてしまい、選べない。
「どうしようか」
「正人は確か、射撃と剣術得意だよね。これにしたら?」
奈柚が指差したのは、日本刀二本だった。この国にもあるのだな。
「私は、これかな」
奈柚は、棚から、近距離武器に短剣が隠れているガントレットを手に持っていた。
「武術を少ししていたからな」
僕は、これかな。日本刀四本。
「お金はいくらですか」
と店員さんに聞くと
「そちらの方々から御代は頂いておりますよ」
「へっ?」
振り返るとユニア達が、手を振ってきた。この子たち、いったい何者?
買い物を全て終わり四人で一つのカフェで休憩をしていた。
「お金出してもらってよかったの?」
「はい、昨日のお礼です。」
黒い服の年輩のおじさんが一人こちらに歩いてきた。
「姫様、こちらにおいででしたか。お共も付けずに、もしかしてあの魔法を使ったのですか?本当に悪知恵を使いますね。」
「姫?」
「えー!やっぱり良いとこのお嬢様だったの?」
と、奈柚と二人で呆気に取れていると、
「姫様方、こちらは?」
「昨日話した、森長正人さんです」
「おお、あなたが。私は、ソニア帝国第一王女ユニア・アルカス・ソニア様の執事クロックと申します」
「お姫様だったのか、びっくりした・・・」
「びっくりしたように見えないのですが――」
“お姫様だったのか。道理で雰囲気が他の人と違うわけだ”
「正人さんは、これからどうされますか」
「ギルドに登録して、依頼をこなしていこうかと思う」
「では、ソニアの王都に必ず来てくださいね」
二人と別れた後、僕は、奈柚と共に、ギルドに登録しに来た。初心者は、透明なカード。最初は、簡単な依頼にしようかな。カードは四段階に分けられている。透明、白、銀、プラチナに分けられているらしい。
「プラチナかー。まだまだ、先が長いなー」
さて、東の森に向かうか。僕は、魔獣スコル十匹討伐、銀貨五枚か、無難かな。ソニアの王都までの旅の資金稼ぎは、ソニア帝都ソレイユまで3日間か、転移魔法が使えればな。まず、魔法の使い方知らないな。さすがに一人で討伐大丈夫だったかな――、まぁいいか。そんなことを考えながら、とりあえず後ろのモンスターを、“ザシュー”と刀を抜き、3匹を倒した。そして、「あと7匹か」と構えると、どこからか声が聞こえ、
「我に従え・火と風の精霊よ・全てを・吹き飛ばせ・エクスプロ―ジョン」
鈍い音が聞こえた方を向くと、奈柚が立っていた。
「何をしてるんだ。しかも、討伐対象すべて倒しやがって。」
「正人がボケッとしているから。助けたのに、ひどい」
「てか、なぜここにいる。」
「たまたま通りかかって、魔法の練習をしていたら、正人が見えたから」
「とりあえず、ギルドに報告して、ソニアの帝都ソレイユにむかうぞ」
「あっ、そうそう、正人。“ゲルト”って唱えて」
「僕まだ魔法を使えないんだけど。スキル上げしかしてないし」
そう僕は、エクストラスキル“悪魔の双生剣”のスキル上げをしていた。
「って、いつの間にあんたエクストラスキル解放していたのよ」
「まぁ、いつでもいいじゃないか。いつか話すから。」
「いつかって、いつよ。ちょ・・・、正人」
幼馴染の声を後ろに、あっ!肝心なこと忘れていた。
「魔法の練習していなくても、転移魔法使えるの?」
「できるよ。転移先がちょっとずれるけど」
「使ってみるか。“ゲルト”」
僕がゲルトを唱えると、景色が変わり、
「うわっ、ここどこだ」
「帝都ソレイユ付近に来たわ。あそこが帝都ね」
行きますか。ユニア達にも会いたいからな。元気にしているかな。
帝都に着いた。でも、なんか雰囲気がおかしくないか?
「ねえ、あれユニアじゃない?なんかまた襲われているけど」
「ユニア」
「正人さん?」
ユニアがこちらに気づき、走ってきた。
「何があった?軍部が反乱を起こしお城が――。とりあえず、まずあの屑どもから倒すか。
奈柚行くよ」
「うん。いつでも」
でも、なんか雰囲気殺伐だな。