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最弱を自負する男、ガッカリする

 取りあえず現在位置の情報から。

 僕とメースラは現在。不帰(かえらず)の森という元は凶悪な魔物が蔓延っていた砂漠地帯だった森を歩いている。

 そこは非常に瘴気が濃い場所で、毒耐性の装備がないといけない魔物が多く存在していたが、そのほとんどが遠距離攻撃に対しては脆弱極まりない存在だったために、必要最低限の装備さえあれば一気に100レベルくらいまでは眠くならずに上げられる良狩場として有名だった。

 そんな場所が今では、瘴気の欠片も感じられないし何より青々と生い茂る木々に清涼な水の流れる小川があったりと、多少足場は悪い物の森林浴をするには丁度いい感じの森に変わり果てている。


「しかし……2500年の間。メースラは何をしていたんだ?」


 待っていたと言っていたという事は、メースラは僕が居なくなった後もこの世界で生き続けていたという訳だ。造り出す際に、クエストの関係でハイエルフにした訳だけど、個の種族は設定上は一万年は生きるはずだから、2500年くらいはどうってことはないみたいだ。


「私は里に戻ってエルフ族の安寧と、時折魔族を狩っておりました」

「さすがメースラだ。僕なんかと違って魔族を狩れるなんて凄いじゃないか」


 ま。メースラは弱い僕の代わりに戦闘に重きを置いたパラメーター設定にしただけじゃなく、ジョブもその名の通りの圧倒的な手数に毒や麻痺と言った状態異常を得意とする物を選んでるし、装備も最高峰の物を限界まで改造してあるからね。たとえ古龍レベルの魔物相手だろうと勝利を収める事は難しくないはずだ。


「お褒めいただき光栄です。しかし私など、ご主人様に比べれば足元にも及びません」

「何言ってるのさ。僕は大量のアイテムでごまかしているだけであって、プレイヤースキルは他の皆の方が圧倒的に高いんだから」


 僕は生産皇帝として、様々なアイテムを用いる事でボスに挑む事は出来る。だけど他の皆は、はたから見てて何をどうやってるのか分かんないほどの卓越したプレイヤースキルでもって数々のレイドボスの単独撃破なんて離れ業をやってのけてきた。

 そんな皆と比べると、ハッキリ言って自分がギルドのマスターをやらせてもらってるのが情けなくなるほどなのに、皆は頑として僕をマスターの座から降ろさせてくれなかった。特別な恩恵もデメリットもある訳じゃないけど、大都市を歩くたびにギルドネームをみられて驚かれるのがちょっぴり心苦しい。


「私にとってはご主人様こそが至高です。他の方々も他の追随を許さぬほどの英雄ではございますが、どなたも足元にも及びません」

「うーん。本当に僕は強くないんだけどなぁ」


 レベルカンストなんて1日12時間。効率よく経験値を稼いで1年くらいでなれる高みだし、僕はMMOにおいては戦闘より生産や会話を楽しむまったりプレイに重点を置いていたから2年もかかってしまった。

 そんな事を説明しても、NPCのメースラには何のことか分からないんあろうなぁ。出来れば他のギルドメンバーに僕がいかに弱いのかを説明してくれると助かるんだけど、そう言う期待はすでに持てない。だってこのゲームは現在サービス終了してログインなんてできる訳がないんだから。

 とかなんとか考えていると、突然にメースラが僕の前に立っていつでも抜刀できるように柄に手をかけた。


「敵ですね」

「そうだね」


 この反応……どうやらエリアボスレベルのモンスターっぽい。

 砂漠地帯のままであったなら、遠距離に対する絶対の絶対を持つ金剛百足(ダイア・セント)だったけど、森にまで変わってしまった自然に対してモンスターは一体どんな変化を遂げたのか。そしてそれが僕の知らない相手であったなら、どんな素材を落とすのか。今からワクワクが止まらない。

 そうしてモンスターが近づいて来るだけで自揺れが起こり、ようやくその姿を現したのはゲームで何度も何度も目にして来た僕的には最弱のエリアボスだった。


「なーんだ。ただの銀鎧熊(シルバーナイト・ベア)か」

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