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異世界の旅路はトップ解決で  作者: ふきの精
旅路の始まり
14/28

14


 地響きを轟かせながら土地喰らいが地中へと潜っていく。


 「ほーっほほ、流石にあれだけダメージを与えればこたえたじゃろう。

 夜明け前に再生できるとは思えんし、なんとかのりきれたようじゃな」


 ホイフクローさんはそう言って地面へと降りていく。

上から見てても、最後の一撃は深手を負わせたのがわかるほど強烈なものだった。


 「それでも倒せてないんですよね? 

 ダメージのたびに潜る相手をどうやったら倒せるんでしょう?」


 私は疑問に思った事を聞いてみる。

援軍がきても同じことの繰り返しになったらどうやって倒せばいいんだろう?


 「倒そうとするならば、煙を使っていぶり出すのが基本的なやり方じゃな」


 煙を穴に充満させることで、

土地喰らいは地上に身体の大半を現すんだとか。

そこを一気に叩いて討伐するというのが基本的な戦い方とのこと。

ちなみにこれは地中に潜る魔物全般に対する方法でもあるみたい。


 私達はリベルさんと合流する。

流石に今回は全員無傷というわけではなかった。

リベルさんは革鎧が所々損壊していて、

剥き出しになった肌からは血が流れている箇所もある。

ダンジルさんは比較的軽傷だけど、それでも疲労が激しいみたい。

戦技というのを使った影響かもしれないけど。


 うーん、ドリアードが呼べればいいんだけど、

手元には無い。ここまでそこそこカード使ってるし、

引いててもおかしくない確率ではあるんだけど、こればかりは運だからなぁ。

伊吹はサーチという特定のカードを手札に引いてくる

効果のカードを使っていたけど、そんな便利な物そもそも持ってないし…。


 「マイさん、助かりました。最後のオーガが現れなければ、

 いまごろ生死の境を彷徨っていたかもしれません」


 リベルさんから深くお辞儀をされる。いや、間に合ってよかったです。

二枚目のオーガをあそこで引けたのはラッキーだった。

マナもギリギリ足りてよかったよ。

これもまた運ではあるけどね。


 「これでなんとか凌げたんでしょうか?」


 私はリベルさんに尋ねる。もう何時間もしないうちに明るくなると思う。

うっすらと空の彼方が白みを帯びてきているし。


 「ええ。もちろん万が一ということもありますが、

 まず大丈夫と思っていいと思います。

 私達は交代で仮眠をとりながら、援軍がくるまではここで見張っています。

 マイさんは戻って休息を取られてください」


 私も一緒に残ると言おうとしたけど、その前にリベルさんの言葉が続く。


 「もしよければ休息をとったあとに

 美味しい食事の用意をして頂ければと思います。

 私達が村に帰った時にお腹ぺこぺこでしょうから」


 そう言って優しく笑う。

その言葉にマヨリさん、ダンジルさん、ロップさんも続く。

たぶん、私にこれ以上無理させない為なんだろうなとは察してしまう。


 「ほーっほほ、そう言う大事な仕事があるなら村に戻らねばならんの。

 どれ、わしがまた送ってやるとしよう」


 今度はホイフクローさんもリベルさんの意見に賛成のようだ。

ここまで皆から気を使われたら、わがままもいえない。

よーし! 美味しいものをたくさん用意して待っていよう。

女将さんと旦那さんに言ったら、きっと喜んで協力してくれると思う。


 「わかりました! それじゃあみなさんが帰って来た時に

 お腹一杯食べられるように準備してまってますね!」


 そう言って、私とホイフクローさんはその場を後にした。

帰りに見た空からの景色はうっすらと明るくなりかけていて、

幻想的な美しさがあった。




――三津 伊吹――



 「今回は多いですね…」


 俺はうっすらと明るくなり始めた空の下、

集まった騎士達の数を見てジュナさんに尋ねる。

バイカルさんの率いる隊だけでなく、

他にも五部隊ほどが集まっているようだ。


 「今回は銀-5が相手だからかな?

 でもこの人数なら大丈夫と思うけどね」


 緊急招集がかかったのはついさきほどだ。

手早く身支度を整えた騎士達は続々と集結する。

ちなみにバイカルさんは十名くらいの小隊の隊長で、

すでに他の隊長たちと話し合っている。

今回は相手が相手だけに参加を止められたが、

無理を言ってバイカルさんの小隊に加えさせてもらっている。

小隊のみんなが行くのに俺だけ残ると言うのも申し訳ないし、

銀-5だと倒した時のポイントも期待できそうというのもあった。


 バイカルさんの小隊以外の騎士とはあまり面識がないから、

派手な行動は避けた方が良いだろう。目立って変に不審がられても困るし。



 準備が整ったみたいだ。小隊ごとに分かれて輸送獣車に乗り込む。

初めて見たがこの輸送獣がまたでかい。

象にひかせているようなイメージだ。パワーはあるけど、馬よりは遅いらしい。

ただこういったある程度の人数を一度に運べるのは利点だと思う。


 「へへっ、びっくりしたろ? 

 こいつはベルンガープっていう魔物なんだけど、怒らせない限り心配ないぜ。

 まぁ最初に見かけたやつは大抵この大きさに驚くけどな」


 隣に座っている騎士のひとり、ラハンが教えてくれる。

ラハンは俺と同じくらいの年齢のまだなり立ての騎士だ。

年が近いこともあって、よく話をする。


 「ラハンも最初はびっくりしてたよね。

 あのときの驚いた顔…いまでもみんな覚えてるわよ」


 ジュナさんが悪戯っぽくそう言うと、周囲の騎士達にも軽く笑いがおこる。

ラハンは

「いやいや、あれは驚いた振りだから! 

しばらく夢でうなされてたとかねぇから!」

何て言ってるが、お前…自分から墓穴ほってるからな?


 ラハンの弁明を聞きながら、俺は目の前のカードを見る。

目的の場所までは四時間ほどらしい。マナを溜め始めるのは

もうしばらくしてからでいいだろう。


 マナを溜めておける時間は約二時間。俺が検証した結果、

それくらいになるとマナが消えてしまうのがわかった。

ただ一気になくなるわけではなく、生成した順になくなっていく。

そこそこカードのストックも溜まってきたが、

まだスペル主体のデッキを使っている。

いちおう小隊のみんなには魔物の召喚も出来るとは伝えているけど、

他の騎士達が混乱するかもしれない。


 今回は参加人数が多いが、

テキストに「敵ユニット」と書かれているカードは

どれほど密集していても敵にだけ効果があるのは検証済みだ。

ラハンの尊い犠牲は無駄にはしない。

ただ間違っても「全てのユニット」と書いてあるカードは使えない。

こちらは試したこともないが、

下手したら自分自身も巻き込まれる可能性がある。


 俺は手札を見ながら、どう調節していくか思考し続けた。


 

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