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異世界の旅路はトップ解決で  作者: ふきの精
旅路の始まり
12/28

12


 まだ日が昇るまで時間がありそうかな。周囲は暗い。

とはいえ、今の私はマジックアイと呼ばれる魔法の影響で

夜でも景色を見渡すことが出来る。


 平原が広がっていて、その横に大きな森が見える。あの森に私は現れたんだ。


 その森に連なる様にして岩肌の地形が広がっている。

土地喰らいは荒れ地や岩場に生息しているっていってたから、

あの辺りから迷い込んだのかもしれない。


 その森の向こう側には大きな川が流れている。

明るい時に見たら凄く良い景色なんだろうなぁ。

私は周囲をくるくると興味深げに見おろす。眼下に広がる異世界の景色を。


 そう…いままさに私は空を飛んでいるんです!


 「あまりきょろきょろするでないぞ。落ちると大けがするからの」


 私の上からホイフクローさんの声がする。


 「あっ、わかりました!」


 私とホイフクローさんを繋ぐベルトを確認する。

うん…大丈夫。落ちたら大怪我…ですむといいなぁ。


 ホイフクローさんの提案はいたってシンプルなものだった。

それは私を抱えて空からサポートするというもの。

いや、たしかに戦場に立ってはいないんだけど…。

当然というかリベルさんは難色をしめす。

リベルさんはどうも私を危険な場所から遠ざけたいみたい。

ただ一人でもサポートが欲しいのは間違いない状況。


 土地喰らいという魔物は、

空を飛ぶ相手に攻撃手段を持っていないとはホイフクローさんの談。

つまり空を飛んでいる限り安全なんだって。

というか、ホイフクローさん私より小柄なのに私を抱えて飛べるの?


 そんな疑問を口にすると、一人を抱えるくらいならまったく問題ないみたい。


 「ほーっほほ。わしの飛行魔法は速くは飛べんが持続力はあるからのぉ」


 いや…ホイフクローさんも魔法で飛んでるの?

フクロウの外観から普通に飛ぶと思ってたよ。この世界の鳥っていったい…


 「おっ、あれじゃな。ひとまず降りるとしよう」


 夜空を飛ぶ私達は四つの人影を見つける。リベルさん達に間違いないみたい。

私達がベルトの準備をしている間に先に向かってたんだよね。

さて…無理を言ってきたんだから、みんなの力になれるよう頑張らないと!


 目の前にカードを広げる。

ホイフクローさんはそんな私の様子を興味深げに見ている。

カードは見えていないだろうけど、

不思議な挙動をしているように見えてるんだと思う。



怠け者のオーガ


 シルバー   コスト3   エナジー10

 アタック 40  ライフ 50


 このユニットはアタックもガードもできない。

 

 エナジー3:このユニットはターン終了時までアタックできる。

 エナジー2:このユニットはターン終了時までガードできる。



ケンタウロスの軽弓兵


 ブロンズ   コスト2   エナジー10

 アタック 15  ライフ 15


 エナジー2:対象のユニット一体に5ダメージを与える。

この能力は一ターンに二回まで使用できる。



勇ましき戦士像


 ブロンズ   コスト2   エナジー5

 マジックアイテム


 このマジックアイテムが場にある限り、

 あなたのコントロールするユニット全てのアタックを+10する。



 この三枚のカードにプレートボアとブラックドックが手元にある。

怠け者のオーガは私のデッキの中で一番高ステータスなカードだ。

ただコストの割にステータスが高いだけにデメリットもある。

今の状況だとこの高ステータスはありがたいけどね。


 ケンタウロスは相手のガードしてきそうな小型のユニットを、

先に倒しておくという使い方をしていたけど

今回のような強い魔物には少々心許ないかもしれない。


 勇ましき戦士像は呼び出したユニットを一斉に強化する、

私のデッキのキーカードになっている。

コスト低めのユニットを何体も並べるタイプのこのデッキだと、

かなりの効果が発揮される。

ただテキストにある「あなたのコントロールするユニット」という表記。

これがリベルさん達に適応されるのかどうか…。


 そんなことを思っていると地上に到着した。

私達の下に集まってくるリベルさん達。

ここまできたらリベルさんも何も言わないでくれる。


 「驚いたよー、食堂のウェイトレスさんが参加するって聞いて。

 あっ、ダンジルさんの治療聞いたよ。ありがとう! 私の事はマヨリって呼んでね」


 真っ先に声をかけてくれたのはキツネ耳の少女。

少女の傍らにはさきほどの使い魔の姿もある。

見た目から思わなかったけど、魔術師さんなのかもしれない。


 「そういえば自己紹介がまだでした。僕の名前はロップ。魔術師をしています。

 ダンジルさんの治療ありがとうございました」


 そう言って丁寧なお辞儀をするロップさん。思っていた通り魔術師さんだった。


 「さて、あまり時間が無いから手短に作戦を伝えます。

 まず私達の目的は陽動、そして時間稼ぎです。

 土地喰らいの活動が活発なのは夜なので、

 陽が昇るまで時間を稼げれば私達の勝ちといえます」


 たしか近くの町から援軍がくるのは早くても半日はかかる。

逆にいえば半日持たせれたら

何とかなると言う事でもあるんだよね。

夜が明けるまであとどれくらいだろう…四時間か五時間くらい?


 あとある程度ダメージを与えたら傷を癒すために地中に潜む性質もあるから、

それも時間稼ぎになるみたい。今回時間が稼げたのも、それのおかげ。

といっても再生するのが速いから、根本的な解決にはならない。

あくまで時間稼ぎの為ってことだね。


 「マイさんは上空から召喚によってサポートをお願いします。

 でもあくまで戦闘は私達に任せて無茶はしないこと。

 ホイさんもその辺りお願いしますね」


 「ほーっほほ、まかせておくがよい」


 その時マヨリさんの耳がピクピクンと動く。


 「リーダー振動を感じる。きそうだよ!」


 「わかったわ。では各自戦闘態勢!」


 その声でダンジルさん、マヨリさん、ロップさんの顔つきが変わる。

ちょっと頼りなさそうな雰囲気のロップさんも、

伊吹と同じくらいの年齢に見えるマヨリさんも

私なんかよりも何倍も命のかかった戦闘を経験してきたんだなぁ…

そう思わせる何かがあった。


 「ではわしらも飛ぶとしよう」


 「あっ、待ってください。今召喚します!」


 空で召喚したら飛べないユニットだと、

地面に叩きつけられるかもしれない。

先に召喚しておいたほうが安心だろう。

ここにくるまでにコストは溜めていたので、今コストは5になっている。

私は怠け者ののオーガと勇ましき戦士像を呼び出す。


 目の前に現れる巨大な影。

オーガ…おもってたよりもかなり大きいんだけど。


 「なっ!?」


 私の呼びだしたオーガを見て、リベルさん達の顔が驚きに染まる。


 「あっ、これは味方です。敵じゃないですから!」


 「いえ…聞いてはいたけど、

 こんな大型の魔物まで呼び出せるなんて思わなかったから」


 リベルさんがオーガを見上げて呟く。

マヨリさんもリベルさんと同じく見上げている。

足元の使い魔はマヨリさんの陰に隠れて震えている。うん…ごめんね怖がらせて。


 「これってオーガ? 特異種だよねこれ…こんな大きいオーガはじめてみるし」


 マヨリさんの言葉に、やっぱり大きいんだと納得する。

ロップさんは顔を白くして無言だ。味方と分かっていても、やっぱり怖いよね。

目測だけど五メートルくらいあるんじゃないかな…

 

 ……ダンジルさんは普通だ。

普通だけど小さく「流石は女神だ…」って呟いたのが聞こえた。

深く突っ込まないでおこう。


 「あっ、みなさんどこか変わったところありませんか? 

 その…力が湧いてくるとか?」


 私の言葉で四人は顔を見合わせるが、特にそんなことはないみたい。

残念ながら、戦士像の効果は私の呼びだしたユニット以外

効果がないってことなんだね。

ドリアードは効果を発揮できた。戦士像は効果が無い。


 テキストの違いはたんにユニットと書いてあるか、

あなたのコントロールするユニットかの違い。

つまりこの世界の人達はユニットであると認識できるけど、

味方でもコントロールしているわけではないということ。

カードゲームではテキストがルールだ。色々と検証する必要はありそうだけど、

今はそんな余裕はなさそう。地面の揺れが、私にもわかるくらいに響いてくる。


 「むっ、来るぞ!」


 ホイフクローさんはその言葉とともに空中へ飛び立つ。

私もホイフクローさんに吊るされる状態で空に舞い上がる。

地面…私達のいた場所のすぐ近くが隆起しているのがわかる。かなり大きい!?


 地表を吹き飛ばして現れたソレは、たしかにミミズっぽかった。

ただ岩のような装甲で覆われている。そして…おおきい!

オーガも大きいけど、土地喰らいもそれに負けていない。

地上にでているだけでもあんなに大きいってことは、

地中にある身体を合わせたらどれくらいになるのか…とはいえやるしかない!

あんなのが村に行けば、大惨事になる。


 「怠け者のオーガ、アタック!」


 私の言葉とともに、オーガが土地喰らいに殴りかかる。

まさに怪獣大決戦といったかんじ。

土地喰らいも、オーガに体当たりを行う。

巨体同士のぶつかり合いに、空気が震える。


 リベルさん達もオーガに続くように側面から攻撃を行う。

とはいえ、巻き込まれないようにしないと

あの巨体に挟まれたらただじゃ済まないと思う。


 リベルさんとダンジルさんは土地喰らいの装甲の隙間を狙って剣を突きさす。

ただなかなか有効なダメージは与えられていなさそう。

隙間は小さいだろうし、土地喰らいはじっとしていない。

それでもダメージはあるのか、オーガの相手をしながら時折リベルさん達を牽制する。


 マヨリさんとロップさんは後方から支援している。

ロップさんの手元から光る何かが生まれると

土地喰らいに向かって飛んでいく。たぶん魔法攻撃かな。

マヨリさんは弓矢を使って土地喰らいの注意を引こうとする。

放たれた矢が土地喰らいに当たるたびに炎が上がるので、

普通の弓矢じゃないのかもしれない。


 オーガの攻撃は土地喰らいにとってかなり痛いみたいだ。

ただでさえアックが高いのに、戦士像で上昇してるからなおさらだろう。

オーガが殴りつけるたびに、土地喰らいの身体がぐらりと揺れる。

とはいえ、オーガも土地喰らいの体当たりを受けるとよろめいて倒れそうになる。

一見互角のようだけど、オーガには時間制限がある。


 私はオーガが攻撃態勢をとるのをやめて腕を下ろすのを見て、

もう一ターンぶんの時間が過ぎたのだと気が付く。


 「怠け者のオーガ、アタック!」


 その言葉で再び攻撃を始めるオーガ。

あぁ…時間制限があるのにまたエナジーを使ってしまった。

でもしかたない…オーガが消えるまでもうそんなに時間は残されていない。


 カードは白く光り輝いている。

何をマナに変えるか…どうすれば有利になるのか。

私は次の手を考えた。





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