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セブンブレイブ―知ってるようで知らない世界で―  作者: 屋野五月
第一章 ゲームの始まり
8/14

テスト

今度はジンパチ視点です

 テスト。その言葉に自然と背筋が伸びる。

 まさかいきなりバトルとかじゃないよな。一応小さい頃から空手と柔道をやっているが、所詮嗜む程度だ。実戦ではどの程度やれるかなんて分からない。というか俺はともかく、問題は隣の佐藤ミヅキさんだ。明らかに喧嘩とか得意じゃなさそうだし。俺と同じことを考えているのか、顔が青ざめている。

 そんな俺たちに気付いたのか、試験官のコンラッドさんが笑いながら諭してくれた。


「そう緊張するなって。訓練場だからっていきなり戦え何て言わないから。そもそも、テスト自体戦闘するわけないから。」

「そ、そうなんですか?」

「ああ、そうなんだ。それだけに、色々と説明せにゃならんのだが、・・・あー、俺こういうの苦手なんだよなぁ」


 ・・・何となくこの人がどんな人かわかった気がする。なんて言うか、あれだ。習うより慣れろとか、考えるな感じろとか、そんなタイプ。そんな気がしてならない。


「まずおまえら、『ギルド』ってもんがなんなのか、わかるか?」


 わかるか。すると隣の佐藤さんが小さく手を上げながら答えた。


「自由に商売やその他の取引などができる施設、ですかね?」

「その通りだ。」


 そうなの?


「そこに”国からの介入を受けないで”っていう言葉が入れば完璧だったぜ。よし、それが分かっているなら問題ないな。話を進めるぞ。」


 そう言いながらコンラッドさんはこちらの確認などせず話を進めていく。


「ギルドにはいくつかの種類があってな。ここ中央都市ギルド『ノルン』では冒険者ギルドの他に、商人ギルドと職人ギルドが併設されている。」

「商人と職人ではどう違うんですか?」

「ま、簡単に言うと売人と生産者の違いだ。職人ギルドで作られた商品を、商人ギルドの商人たちの手で全国に出荷されていくのさ」

「ギルドという一つのくくりなのに、三つに分類されているのにはなにか理由があるのですか?」

「・・・お前さん、さっきからちょいちょいよい質問してくるな。そう、そこがテストの最大の理由なのさ。」


 そう言いながらコンラッドさんはミヅキさんを興味深そうに見ている。ちなみにこの間、俺は一言も喋っていない。

 そんなことを考えていると、同じく挨拶してからしゃべってないエリザさんは腰につけている革製のポーチから手のひらサイズの水晶玉をとりだした。


「ギルドに入ろうとしているんだから知っているんだろうが、冒険者ギルドに入るには、必ず何かしらの”戦闘スキル”を持っているのが必須条件だ。持ってなければ、悪いがギルドへの登録はできない。何故だか分かるよな。」


 あっ、それはなんとなく分かる。


「えーっと・・・無駄死にを無くすため、ですよね。」

「その通り。昔は腕っぷしさえ強ければ誰でも登録できたそうだが、その分、自分のレベルに身合わない依頼を受けて命を落とすやつが大勢いたそうだ。」


 コンラッドさんの説明によると、スキルとは、この世界の人々なら一つは持ち得る技能のことを指す。

 ただ腕っぷしが強い人と、腕っぷしが強くて何かしらの武器がうまい人では、頭一つ分以上の実力差が出てしまうらしい。

 ただでさえ、冒険者には危険が付きまとうのに戦う技術がないのでは、話にならない。


 曰く、スキルは修行で発現することもあれば、何かの拍子に発現したりすることもある。なかには、生まれつきスキルを持っていることもある。

 大体の人間は、普通に生活していれば何かしらのスキルがいつの間にか身に付く、らしい。


「実のところ、現存するスキルのほとんどは発現条件が分からないんだ。特に”ギフトスキル”は研究者たちの永遠の研究テーマだろうよ。」

「ギフトスキル?」

「スキルを生まれつき持っているやつがいると言ったろ

?そういうスキルのことを神様からの贈り物ってことで、”ギフトスキル”っていうんだとよ。そういうのは基本、良スキルらしいぞ」


 どうしてそうなるのかは知らんがな。と、コンラッドさんは説明をしてくれた。

 まとめると、スキルについて分からないことが山ほどある、ということだ。


「で、まずはお前さんたちの持つ”素質”をこの水晶を使って見させてもらう。これは、魔力を込めると、魔力を込めたやつがどんなスキルを発現できるのか、本当に大雑把だが読み取れる。ギルドに登録しに来るやつは、スキルを持たない奴らばかりだからな。」

「発現する可能性があれば、現段階でスキルを持ってなくても登録を考慮してもらえる・・・ってことですね。もしくは、別ギルドへの斡旋してくれるとか。」


 なるほど、そういうことか。と言うかさっきからミヅキさんばかりしゃべらせてるな。俺もなにか言うべきだろうか。しかし、二人の会話の半分ぐらいしか理解していない俺がしゃべって大丈夫だろうか。


「そうだ。冒険者としての素質がなくても、商人や職人の素質はあるかもしれんからな。それじゃ、順々に調べるから、そっちの黒髪のお前さん、・・・たしかミヅキだったか?お前さんからいこうか」

「は、はい。わかりました」


 そう言いながらまだ緊張しているのか動きが固い佐藤さんをエリザさんは手招きしている。


「それじゃミヅキ、早速だがこの水晶に手を乗せてくれ。手はどっちでもいいぞ。そしたら、《我、この世の真理を欲するもの、我が名は~》って、最後に自分の名前を入れて唱えろ。」

「はい、えーと、《我、この世の真理を欲するもの、我が名はミヅキ》・・・わっ!?」


 ミヅキさんが唱え終わるか終わらないかというタイミングで、水晶からまばゆい光が放たれた。


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