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セブンブレイブ―知ってるようで知らない世界で―  作者: 屋野五月
第一章 ゲームの始まり
7/14

現状把握

今回はミヅキ視点です

 急にテンションが上がり迷惑をかけてしまったが、この佐藤ジンパチさんはやはり日本人らしい。もしかして私よりも前からここに住んでいて、詳しく教えてもらえるかも・・・と思ったのだが、佐藤さんも部屋で倒れて、気づいたら先程の机で目が覚めたそうなので、私と大差ないことを教えてもらった。わかっていることはこれから何かのテストがあるということ。そしていま、そこに向かっていること。まとめると・・・。


「なにもわからない・・・ということですね、分かります」

「・・・そうですね」


 そもそも、まだ起きて30分しか経ってないのだからしょうがないじゃないか。

 そんなことを考えながらこの長い廊下を歩く。・・・思っていた以上に廊下が長い。そしてこの数分間どちらもしゃべらず、お互いの歩く音以外聞こえず、なんだかきまずい。私はその気まずさに耐えかねて、隣の佐藤さんに話しかけた。


「・・・佐藤さん、体がすごくいいですけど、何かされているんですか?」

「・・・空手と柔道を少々」

「あ、そうなんですか。ちなみに、どの位されているんです?」

「・・・小学校に上がる頃にはやってました」

「へー。あ、もしかして、黒帯とかだったりします?」

「はい」

「あっ、やっぱり!佐藤さん、今まで見たことないぐらい大きいのでやはり相当強いんじゃないのかと思ってたんですよ!・・・やっぱり向かうところ敵無しって感じですか?」

「いえ、それほどでもありません」

「えー、そうなんですか?そうは思えませんけど」

「そうですね。スポーツの世界、特に格闘技は確かに身長は重要視されてますが、決してそれだけの世界でもありません。」


 おっと急に佐藤さんが食い付いていた。


「例えば俺もやっている柔道ですと立ち技のなかでも手技、いわゆる背負い投げと呼ばれる技は相手よりも背が低い方が投げやすいようになっています。また・・・っと」


 佐藤さん、以外と饒舌。じゃなくて、佐藤さんがなにかに気づいたのか話を切る。どうしたのだろうと佐藤さんの視線を追うと、その先には扉があった。


「あっ、もしかしてあれですかね?」

「・・・おそらく」


 思っていた以上に長かった廊下の突き当たり見えた扉に駆け足気味に近寄る。そうするとその扉は私の人生で見たこともないようなものだとわかった。

 その扉はとても巨大だった。上は3,4メートルほどもあり、横もそれに準ずる大きさだ。扉の素材は重たそうな鉄でできていた。正直、開けられる気がしない。しかも、内側から何かがぶつかったのか、奇妙な凸凹ができている。おっふ、嫌な予感しかしない。

 そして上から下まで見て気づいた。この扉・・・、


(あっるぇ・・・、ドアノブがどこにもないんだけど・・・) 


 なんということでしょう。この扉、開けられるかどうか以前に開け方がわかりません。


「・・・?どうかしましたか、佐藤さん?」


 扉の開け方が分からないで呆然としている私に遅れてきた佐藤さんが尋ねてきた。どうしたもなにも・・・と私が説明しようとすると、目の前の扉からゴッと低い音が聞こえてきた。なんだろうと扉に目を向けると、扉はゴゴゴゴゴっと重低音をならしながらゆっくりと内側に開いていった。これは・・・


「・・・・・・自動ドア?」

「・・・・・・ですね」


 まさかの自動ドアだった。驚きのあまり固まってしまった私たちはそのまま扉が全開になるまでそのままだった。

 そんな私達の目に飛び込んできたのは、とても広大な部屋だった。

 床は細かい砂で埋め尽くされており、壁際にはその砂を整備するための道具や、訓練のための武器や謎の人形(?)がキチンと整頓されて置いてある。 

 人を詰めれば800人は入りそうなこの場所には、私とジンパチさん、そして・・・


「お、ようやく来たな、新人(ルーキー)。まあ、最初に待たせたのはこっちなんだけどな」


 と、初対面のこちらにフランクな対応をしてくる男性と、そして・・・、


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 なんだか不機嫌そうな女性。この四人だ。

 おそらく、というかほぼ間違いなくこの人たちが試験官なのだろう。ならばまずは挨拶を・・・と私が挨拶をしようとする横で先に佐藤さんが勢いよく頭を下げられた。


「初めまして!ジンパチと申します!本日はよろしくお願いいたします!」


 佐藤さん、すごい声を出すな。腹から声が出ているという感じのしっかりとした声だ。横にいた私の鼓膜をビリビリと震わせてくれる。目の前の二人も少し目を見開いている。

 て、感心している場合じゃない。次は私の番だ。私は受験の時調べた面接の挨拶の仕方を覚え出しながら挨拶をする。まずは一礼し、そして姿勢を正して、と・・・。


「はじめまして。ミヅキと申します!本日はよろしくお願いいたします!」


 言い終えてもう一度礼をして、頭上げると・・・なぜか二人とも困ったような驚いたような顔をしている。なんで?

 そんな思いが通じたのか男性の方が気にするなと言わんばかりの苦笑をしてこちらに挨拶をしてくれた。  


「俺がお前らのテストを担当する、コンラッド・コーンウォークだ。そしてこっちにいるのは担当補佐の・・・」

「・・・・・・エリザだ、よろしく」

「・・・と、いうことだ。まあ、こっちもよろしく頼むよ」


 そう挨拶してくれた二人を改めて観察してしまう。

 男性・・・コンラッドさんはくすんだ金髪の中肉中背ぎみな、三十代くらいの男性だ。

 男性にしては長めの髪は、外に向かって跳ねている。顎には丁寧に整えられた髭が生えていて、大人の魅力を感じてしまう。目は少し垂れぎみで、空色(スカイブルー)の瞳は引き込まれてしまう魅力がある。

 背は180程で、服は長袖の白いシャツと黒いスーツズボンを着ている。そして背にはなにか・・・とても長いなにかを背負っている。なにかは一部折り畳まれわからないが、それが柄と思しき所だけでも肩からふくらはぎまで届いているのがわかる。


(親しみやすい感じがあるけど、私の想像する冒険者と大分違うなぁ)


 次に女性・・・エリザさんはこちらもガタイの良い茶髪の女性だ。

 髪は女性にしては短めで、手入れをしてないのかボサボサとしているのに、不潔な感じはせず、むしろワイルドな感じがしてカッコイイ。目はコンラッドさんと同じ空色なのに鋭い目付きと綺麗系の顔立ちで近寄りがたい印象を受けてしまう。今は眉間にシワがよっているのでなおさら怖い。

 背は目測でも170以上と平均よりも高めで、服装は無地の黒いTシャツに動きやすそうなズボンだ。身体中は鍛え上げられた筋肉でおおわれているのに、胸や腰つきは服の上からわかるほど女性らしい。腰にあるポシェット以外ほかに持ち物らしき物はない。

 

(かなり想像どうりの冒険者なんだけど、気軽に近づける気がしない)


 そんな真逆の印象を抱いている私にコンラッドさんが素敵な笑顔で、


「それじゃ挨拶もすんだことだし、いまから冒険者登録テストを開始するぞ」


そう宣言された。 



 




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