~第3章~
[春]
雨。
うるさいほど鳴いている蝉の声も今日は聞こえない。
代わりに雷が鳴っていた。
しかし、しぃくんにとってそれすら小説の材料である。
憂鬱だとも感じずただひたすらに書き続けていた。
そんなある日のこと…
いつものように学校では時々しぃくんの話が聞こえてくる。
「ねぇ、知ってる?! しぃくん彼女出来たんだって!」
「え、うそ?!とんだ物好きがいたものだね…」
そう。しぃくんに彼女ができたのだ!!
彼は、いつものように小説を書く…
のではなく、しきりに携帯を開いていた。
[出会い]
中年のような彼になぜ彼女が出来たのか。疑問に思うところだろう。
しかし、いくら中年のような見た目とはいえ、出会い系サイトなどは使ってない…
では、なぜか。
謎は深まるばかりである。
「しぃくんの小説読んでた人からコメントもらって恋愛に発展したらしいよ」
…謎は解けた。
顔を合わせず連絡を取るだけなら顔など関係ないということか。
しかし、小説によって彼女まで出来るとは。彼の小説も案外バカにできないのかもしれない…
小説のこれからも気になるところではあるがしぃくんと彼女のこれからにも注目である。
次章では、何か変化があるのかそれとも平凡な日常になるのか…