あ
「息荒くない?」
「あ、ヨリちゃん、
は、葉山くんてかっこいいね。」
「いやうん。まぁかっこいいってか綺麗だよね。
男のくせに。」
「見た目じゃなくて、性格とか、なんかわかんないけどなんとなく優しかったの。他人の汗とか普通嫌って思う人が多いのに」
「話についていけないから初めから話して?」
単純に生きてきた宇佐美ななみ(17)は高3になって15日目を迎えるが、仲良しの城島より子とも2年連続同じクラス、担任は優しいおじいちゃんのポコ先生、オマケに女子にとって「あの人イケメンだよね。名前なんて言うの?」的な存在の葉山くんも同じクラスになった。
「なにそれ、ちょいトキメク。
そう言うの一番駄目そうなのに。」
「柄にもなくドキドキしちゃったよ〜」
そう、美麗男子葉山くんにとってはただのクラスメイトの前髪が汗で乱れてたからちょっと整えてみましたくらいな感覚なんだろうけど、ただのクラスメイトにとっては心臓破裂寸前だった。
「意外だなー。
絶対性格悪いと思ってた。なんか冷たそうだし。 なんでも自分の思い通りになると思ってそうな、だって実際そうじゃん?」
肩肘をついたヨリちゃんがクイクイと顎を動かし
あれ見てみ、と言ったから釣られてヨリちゃんの顎の先に目をやる。
あ、クラスのイケイケな感じな人に囲まれてる葉山くんの机
「なー、葉山聞いてんの?」
「聞いてるって。
で、町田がその後どうしたの」
「そうそう、んで町田がさ〜あやちゃんとこの前〜
・・・」
皆なんか話してるのに一人だけ話に参加しながら何か書いてる。あ、黒板見た。きっとさっきの授業のノート全部写してるのかな。あれまぁこれテストでないけどなーって山本先生が言った途端、バシッてクラスの皆が一斉にペンを放る音がしたのに。
目が悪いのかたまに鼻の間を抑えて目を細めてる。
あ、
目があった。
「や、今葉山くん麗子の方見たことない?」
「え〜、違うよぉ〜」
わ、究極な勘違いだった。恥ずかし、
私の隣の席には遠藤麗子ちゃんと言う名前の通りの女の子がいる。正直、授業中とかフと横を見ると麗子ちゃんの綺麗な横顔に見とれちゃう。可愛いな、って思う。
こう言う人と葉山くんが付き合ったらそれこそ漫画から飛び出たようなカップルになるよなぁ。
「どしたの?なな。」
「あ、ううん。
ちょっと考え事してた。」