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残念系男子  作者: このみ
4/6

残念系男子4

桜も散り、ただいまゴールデンウィーク真っ只中。

彼は駅の改札口付近で人を待っていた。

スマホの画面をのぞきつつ、壁にもたれ掛かっている。

そんな彼の横をすれ違う女性達は、まるで少女漫画の世界から飛び出して来た王子様でも見かけたような驚きの表情を浮かべ、一瞬足を止めてしまう。

そして、ぽーっとした表情で彼を見つめてしまう。

視線に気づいた彼がこちらに目を向けてくる。

身長は180㎝はあろうか。

世に名だたるイケメン俳優が裸足で逃げ出すレベルの美形であり、女性が羨む程の美貌というハイスペック。

女性を絡め取って放さない、怪しい光を称えた漆黒の瞳。

喉仏の動きがセクシーな男性の魅力を掻き立て、シャツの襟元から見える鎖骨からは女性をかどわかすフェロモンが撒き散らされている。

ファッションセンスも抜群であり、一流スタイリストがコーディネートしたのかと思う程だ。

一瞬にして魂まで射抜かれた女性は動転のあまり走り去る。

そんな女性から視線をスマホに戻し、またもや足を止めた女性に目を向ける。

そんな行動を繰り返していると待ち人が1人やって来た。

「おっすー、鬼島(きじま)。お前早えーな、来るの」

「いやいやいやいや。30分遅刻で御座るぞ木之下(きのした)氏。いかに拙者が度量の深い漢だからと言っても激オコプンプンで御座るぞ!」

「激おこ・・・何だって?まぁいいや、今日は特別ゲストをお招きしている!この方だっ!」

じゃじゃーんと自分の口で効果音を言いながら、木之下の背後から出てきたのは1人の少女であった。

「あぁぁ、あのあの・・・しっ白河(しらかわ)琴音(ことね)でひゅ、今日はよろしくお願いしまちゅ!(///うぅ~・・・めっちゃ緊張し過ぎて噛んじゃったよぉ;」

「ファッ!?」

クラスのアイドル的美少女、白河琴音嬢の登場により、直立不動で固まる鬼島零君高校2年生の図である。

「あのね、電車の中で木之下君と偶然会ってね、鬼島君と遊ぶ約束をしてるから一緒に来ないか?って誘われてね、私も街中をぶらぶらしようと思ってただけで、特に用事があったわけでもなくて、それであのえっとね、つまり・・・」

白河嬢が懸命に状況説明をしている中、鬼島は頭の中をフル回転させて状況分析を行っていた。

「(琴音たん可愛いよwwwってそーじゃねーよっ!つまりどーゆー事?今日はゲーセンで木之下氏と遊ぶ予定であったが、それに琴音たんも参加するのか!?まてまてまてまて待つがよい。拙者、女子と遊ぶなど生まれてこの方一度として経験した事がないぞなもし。・・・いや、待てよ。ははーん、拙者読めたてござるよ。イケメン日本代表の呼び声高い木之下氏の誘いだからこそ、ホイホイついて来たわけで御座るね。くそぅ・・・モテヒエラルキーの頂点に君臨するすべてのイケメンめファッ○!!)」

言葉を噛んだ事が恥ずかしかったのか、顔を真っ紅に染めて俯く白河嬢と、なにやら1人ブツブツとつぶやく鬼島をしばらく眺めていた木之下がおもむろに手を叩いた。

「2人ともぼへーっとしてないでいくぞー。」


昼食のため立ち寄ったファミレスである事件が発生した。

「わりぃ。剣道部の緊急ミーティング入ったわ。あとは2人で楽しんでくれ。じゃーな!」

「ファッ!?」

「えぇ!」

木之下は早々にファミレスを後にし、気まずい2人が取り残される事となった。

「(ノーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!木之下氏カムバァァァク!!!!生れ落ちて今日の今日まで家族以外の女子とまともにしゃべった事がない拙者をおいていくでなーーーーーーーい!!)」

「(どどどどうしよう (´・ω・`;) 鬼島君と2人っきりなんてドキドキし過ぎて間が持たないよぉ・・・ (>_<) )」

ファミレスに入る前までは、木之下というコミュ力万能戦士が間近にいたため、なんとかなっていたのだ。

「(・・・仕方ない。作戦プランCを発動で御座る)」

スッと鬼島は席を立つと白河嬢にトイレに行くと告げ、その場を離れていく。

「・・・ふぁぁ~・・・。」

鬼島の姿が消えた瞬間に、白河嬢の緊張の糸は途切れ机につっぷした。

「もぅドキドキしっぱなしだよぉ。キョドってばっかりだったし、変な子って思われてたら嫌だなぁ。」

ネガティブな方向に意識が傾いたが、思い返すと良い事もあった。

「目が合ってもなんとか意識を保っていられるし、たまにこっちを向いて微笑んでくれるのが、もう・・・なんて言うか・・・好き♪…(/ω\*)」

『意識を保っていられる』と言いつつ、その数秒後には意識を飛ばしてトリップしてしまう白河嬢なのであった。

そんな中、トイレに向かった鬼島はどうしているのかと言うと、

「我に優秀はサポート要員ありっ!このような状況の場合はプロに指示を仰ぐで御座るよ」

颯爽とスマホを手に取り指を走らせる。そう、3ちゃんねらーに助言を仰ぐ事にしたのだっ!


1 :マジカル☆このみんさん:20XX/5/XX(日) 12:42 ID:kijimarei

かくかくしかじかで女の子とファミレスで2人っきりになったんだが、どうすれば良い?助言頼む


早速書き込みがあった。


2 :名無しさん:20XX/5/XX(日) 12:43 ID:dr5fsa84d

>>1のスペックと女の子のスペックはよ


「そうであったな。カキコカキコっと」


3 :マジカル☆このみんさん:20XX/5/XX(日) 12:43 ID:oniw5weha

当方 180cm 72kg キモメンガチヲタ 童貞 非リア充

相手 150cmくらい 超絶可愛い 全盛期のガッ○ー似

早くアドバイス暮れ!トイレ長いと変に思われる!


4 :名無しさん:20XX/5/XX(日) 12:44 ID:utr1ytur

巨乳?


5 :名無しさん:20XX/5/XX(日) 12:44 ID:yued49sd

女の子と一緒にファミレスにいる時点でリア充。市ね。


6 :流離の剣士さん:20XX/5/XX(日) 12:44 ID:kinosita

食べ方が汚い男が幻滅される。

フォークとかナイフは使い慣れてないと食べ方が汚くみえるから、とりあえず和食頼んどけ

あと、一人称は拙者じゃなくて俺、御座るとか~氏とかヲタっぽい言葉は極力控えろ。


7 :出来る妹ちゃんさん:20XX/5/XX(日) 12:45 ID:kijimaayaka

同じクラスならあの先生の授業が詰まらんとか話題はあるはず。

とにかく無言タイムは回避。

あと、男なら女の子をしっかりとリードすべし!


「助言感謝でござ・・・じゃない。助言感謝しないと。」


8 :マジカル☆このみんさん:20XX/5/XX(日) 12:46 ID:oniw5weha

>>4 巨乳

>>6 >>7 助かった。やってみる。

一端落ちる。ヤヴァくなったらまた戻ってくる。おまいらありがとう。


「席を立って5分近くたってしまった。早く戻らないと。」


3ちゃんねらー達によって対女性経験値をUPさせた残念系超絶イケメン鬼島零。

いただいたアドバイスを元に難局を乗り切れるのか。

続く!

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