第八話 小さな笑み
「それでは、失礼しました」
頭を下げて職員室を出る。溜息交じりに振り返ると、そこには二人の少女。互いが互いに違う方向を向いてしまっている。そんな彼女たちの姿を見て、和真はもう一度大きな溜息をついた。
先ほどの騒ぎの後、無関係者を学内に連れ込んだとしておよそ一日の謹慎処分を受けることになった。ので、本日はこのままこの二人を連れて潔く自宅へ下校することに。
「なんで謹慎なんて目に……」
「まぁまぁ、そう悲観になるでないぞ和真。人生これ即ち笑顔にありとな。にへっ」
「そんな気持ち悪い笑顔で人生笑って生きていけるか!」
物知り顔で肩を叩いてくるベルイットの手を払って、和真はソフィを連れて正門へと向かって歩き出した。慌ててベルイットも和真の背を追いかけてくる。
「こらお主! なぜワシを置いて勝手に行くのじゃ!? 指を絡ませる恋人繋ぎはどこに行ったのじゃ!?」
「何度も言うが、俺はアンチヒーローに引き抜かれるつもりはないし、お前の恋人にもならないぞ」
「良く言った。ふふん。悪の幹部、貴方はもうフラれたことを自覚するといい」
「なんで上から目線!? つか、ヒーロー協会にも入るつもりないからね!?」
すぐそばでふんぞり返ったまま歩くソフィに軽くチョップを決めた和真は、反対側に並び立ったベルイットの姿を見て、疑問に思っていたことを口にする。
「そういやお前、学校はどうしたんだよ?」
「ん? 言っておらんかったかの? わし、海外の大学を卒業しておるぞ? 今は気晴らしに日本の学園に通ってはおるが、行く行かないはワシの勝手じゃ」
「…………え?」
ぎょっと目を見開いて隣にいるベルイットを見つめる。
「わし、こう見えても、お主より頭、良い」
「納得いかない! 超納得いかないんだけど!」
ドヤ顔をするベルイットを見て和真は頭を抱えた。世の中本当に間違ってる。
「何を驚くことがあるのじゃ。それぐらいでなくては、アンチヒーローの幹部になんぞなれんのじゃ」
胸を張って隣を歩くベルイットの様子に、和真は軽く苦笑いして彼女の頭を撫でた。
「まぁ、なんにせよ学校には出とけよ? 学校でしか学べないことって多いんだしさ、多分」
「うむ。それはもちろんじゃ。ちなみに、今日はサボリではないぞ。わしの学校は昨日の騒ぎで臨時休校じゃからの。それを話を聞かなかったお主が無理やり連れだしただけじゃ」
「あぁ、なるほど。それは俺が悪かっ――」
頭を下げようとしたところで、遠くから声が聞こえてきた。声のする方を向くと、和真の所属するクラスの窓からクラスメイト一同が顔を出して手を振っているのに気付く。
「ほほぅ、なかなかに人気ではないか、お兄様」
「……うるさいっての」
「お兄様、照れてる。だらしない」
「うるさいってのッ!」
ニヤリと頬を歪める左右の少女二人から、慌てて和真は赤くなった顔を逸らし、クラスメイトに手を振り返した。
(自分のことを隠すのに必死で、こんな風に学校の友達と騒ぐことも減ってたよな)
突然変異種としてのトラウマを悟られないように、できるだけ一人で居るようにして。仲のいい友人とだけ軽く会話するだけの生活。
周りのクラスメイト達も、あまり和真に興味を持ってはいなかった。そう思うと、和真自身、こうしてベルイットとソフィが無理矢理学校に来たのも、クラスメイトと打ち解けるいいチャンスだったのかもしれないと、微笑む。
「みんな、俺のことは心配しな――」
「じゃぁねぇ! ソフィちゃん、ベルちゃん!」
「お兄ちゃんに苛められたら、直ぐに俺達に教えてね!」
「エッチな事されたらすぐに報告よろしく!」
「誰がするかぁあああああ! 一人ぐらい俺の心配しろよ!」
先ほどの感動を投げ捨て、校舎に向って和真は本日最大音量でツッコミを入れた。
◇◆◇◆
「……はぁ」
「何を項垂れておるか、和真。ほら、しゃきっと上を向いて歩くのじゃ」
「今の意見には私も賛成。ちゃんと上向いて歩く」
「世知辛さに項垂れてるんだから、勘弁してくれ……」
平日の昼間から、良くも悪くも超が付くほど目立つ二人の少女を連れて歩く和真の姿は、街中の奥様方の目を引く。
ひそひそと聞こえてくる噂話の中には、やれやっちまったのか、やれ人攫いだの。挙句の果てには警察を呼ぶマダムまで現れる始末。
「俺が何したの、俺が何をしたの? なんで俺、こんな冷たい視線にさらされなきゃいけないの?」
「そりゃ、あれじゃろ。ワシらみたいな美少女二人をはべらせておるからじゃな」
「ふふん」
「ドヤ顔止めてくれない!? 確かにその通りだけれども、その通りだけれども、それをお前らに言われると余計に腹立つんだよコノヤロウ!」
それぞれが両脇に控えるソフィとベルイットを怒鳴りつけながらも、和真は仕方なく帰宅への歩みを進める。どうせ一日謹慎。この際引きこもってやるつもりで。
「……あれ、昨日の子」
「ん?」
しばらく通りを歩いていた和真の服の裾をソフィが引っ張る。彼女の指差した方向には、小さな公園があった。
「あ……!」
「うぬ? あの女子は確か、昨日お主が助けた……って、和真、勝手に行くでない!」
ベルイットの制止を無視して、和真はすぐさまその公園に向って走り出す。
昨日和真が助けた小さな少女が、公園で数人の同じ小さな男の子たちに囲まれていたからだ。
慌てて追いかけてくるソフィとベルイットをそのままに、公園の入り口に立った和真は、聞こえてくる少女の強い声に足を止めた。
「だめ! この子、怖がってるもん!」
「いいじゃんか! 折角俺達が一緒にその猫とサッカーしようと思ったのに!」
「駄目ったらダメなの! こんな小っちゃい猫さんが、みんなとサッカーなんてしたら怪我しちゃうもん!」
「なんだよお前! 生意気だぞ!」
胸に抱いた小さな子猫を、少年たちから必死になって庇うその少女は既に涙声だ。
少女のあまりに悲痛な様子に、和真は昨日のことなどすっかり忘れ、彼らの傍に歩み寄る。
「おいお前ら、その辺にしとけ」
背後からの和真の声に、少年たちがぎょっと目を見開いて和真を指差した。
「うわ、変なお兄さんだ!」
「そうです、私が変なお兄さんです――って誰が変なお兄さんだ!? ただのお兄様だろうが!」
「「えー……」」
「なんで皆してそんな冷たい目になるの!? そこの女の子! 君もそんな目で見ない! 君はもっと優しい目ができる子なはずだ!」
マセガキの名をほしいままにするような冷めた視線にさっそく負けそうになりながらも、和真は少年たちの視線に合わせてしゃがみ込む。
「お前ら、サッカーしたいのか?」
「おじさん、サッカーできんの? 鈍そうな顔してるけど」
「お兄さんな、お兄さん。ここすごく大事。あと、鈍そうな顔は余計だ」
「えー、じゃあこのボール蹴ってみてよ」
怪訝な瞳を向ける少年たちに頬を引くつかせた和真は、差し出されたサッカーボールを地面に置き、少年たちを指差した。
「お前ら、まずはリフティングってのを教えてやる。そーらよっと――ノフッ!?」
調子に乗って軽くボールを爪先で宙に浮かすと、傍に居た少年が浮き上がったボールを和真の顔面に向って蹴り飛ばした。飛んできたボールは和真の鼻頭に直撃し、鼻血を拭き出して和真は地面に転げる。
「ぎゃははは! 引っかかった引っかかった!」
「やっちまえー!」
地面で鼻を押さえてのた打ち回る和真を見て少年たちがげらげらと笑う。そのまま彼らは和真を囲ってパンチやキックのリンチ劇。慌てて彼らの攻撃を防いだ和真は、片手で鼻を押さえたまま涙目になって立ち上がる。
「バカ、お前ら止めろ! 俺のこの手が真っ赤に燃えるぞ! 鼻血を止めろと轟き叫んでんぞ!」
「このおじさんめっちゃカッコ悪いな。にーとってやつに違いないぞ!」
少年のぐさりとくる一言に和真の額に青筋が浮かぶ。傍に居た小さな少女のことなどすっかり忘れてしまった和真は、拳を振り上げて少年たちに怒鳴り声をあげた。
「誰がニートだ!? テメェらいい度胸だ! 一人残らずフルボッコにシテやらぁ!」
「おじさんが怒ったぞ! みんな逃げろ!」
「待てこら! テメェらに世の中の理不尽ってやつを叩き込んでやる! 俺が感じた理不尽ぶつけてやる!」
蜘蛛の子を散らすように公園内で散らばった少年たちを追いかけ、和真は呆然としてしまった少女をその場に残したまま駆け出した。
「……お、お兄さん?」
公園内で暴れ出した少年たちと和真の姿を、おろおろと少女が猫を抱えたまま追う。そんな少女の傍に、呆れ顔のベルイットとソフィが近寄った。
「何じゃかんじゃ言うても、和真は根っからの放っておけない体質じゃのぅ」
「貴女、無事?」
「あ、昨日のお姉ちゃん達!」
現れたソフィとベルイットの傍に少女が駆け寄っていく。
「それでお主、ここで何をしておったのじゃ?」
「あのね、この子がいたの」
「……猫?」
ソフィが小首をかしげると、こくんと少女が頷いた。
「みんながね、このことサッカーするんだって言いだして。でも、こんな小っちゃい子がみんなとサッカーなんてしたら怪我しちゃうから」
そう言って少女は恥ずかしげに猫を抱く腕の力を強めた。すぐに猫が呻き声を上げ、少女は力を弱める。
「だから、貴女はこの子を助けようと思ったの?」
ソフィの問いに少女は一瞬だけ顔を伏せるが、真っ赤になった頬を隠そうともせず、ソフィとベルイットを見上げて答えた。
「だって、お姉ちゃん達に助けてもらったから。あのお兄さんみたいに、その……なりたかったから」
「…………」
再び恥ずかしそうに顔を伏せてしまった少女に、ソフィはふっと小さな笑みを向け、公園で暴れ回る和真に視線を移す。
「昨日は、すっごく怖くて。助けてもらったのにお礼も言えなくて……」
「それ、あっちの人に直接言ってあげたほうが良い」
「だ、だめだもん! そう言うの、恥ずかしいもん!」
猫を抱えたままいやいやをする少女の姿に、ソフィとベルイットは互いに顔を見合わせ、くすりと笑った。
「うむ。わかったのじゃ。じゃが、それを伝えることは大切な事じゃぞ?」
「……でも、むずかしいもん」
「別に、難しくなんてない。ただ面と向かってお礼を言うだけ。あっちのロリコンはそれできっと喜ぶ」
「ほんと、お姉ちゃん達?」
小首を傾げた少女に、ベルイットが胸を張って答える。
「うむ。ただ、気を付けるのじゃぞ。あ奴はひねくれておるからの。人を助けるのが嫌いじゃとか何とか言うとるが、そのくせ真っ先に自分から人を助けに行くようなアホなのじゃ」
「おい聞こえてんぞそこのバカ二人! 誰があほだ!? お前ら後で覚え――ノフッ!? だ、誰だこの、背後から金的狙ってくるバカ野郎は!?」
「そのくせ、レディの内緒話に平気でツッコミを入れてくるようなロリコンでもある。貴女はあの人に騙されないように気を付けたほうが良い」
「じゃあ、お姉ちゃん達は騙されちゃったの?」
少女の無垢な問いに、ソフィとベルイットは再び互いの顔を眺め、頬を染めた。
「わ、私は別に騙されてない」
「わしは騙されておるのではなく、あ奴を騙す側じゃ!」
「お姉ちゃん達、面白いね!」
はにかむように笑う少女の純粋さに、ひねくれた少女二人は苦笑いで必死に誤魔化した。
◇◆◇◆
「さんきゅーな、兄ちゃん! すっげぇ楽しかった!」
「俺も俺も! アニキってば、ほんとは運動神経良いんだな!」
しばらく少年たちのサッカーに付き合った和真は、目の前で目を輝かせる少年たちの視線に頭をかいて言葉を探す。
「まぁ、そうだろそうだろ。けどお前ら、俺が運動神経良いってのは誰にも言うんじゃないぞ」
「え、なんで?」
不満そうに唇を尖らせる少年たちの前にしゃがみ、彼らを手招きして小声で話す。
「(ばっかお前、そんなの決まってんだろ。男ってのはな、自分がやればできる男だってことを隠す方が恰好いいんだよ。考えても見ろ。普段なっさけないやつが、いざとなった時めちゃめちゃ凄かったらカッコいいだろ?)」
「(お、おおおおお!)」
「(できる男を目指すなら忘れんなよ。いいか、男に必要なのは余裕だぞ。弱い者いじめなんてダサい奴のやることだ)」
「(わかったぜ兄ちゃん!)」
何やら統率のとれた少年たちを見て、和真は満足げに笑い、近くのブランコで談笑していたソフィ達の傍に戻る。
「終わったかの和真?」
「あぁ。もう結構時間もたったし、そろそろ家に戻ろう。俺、今日は謹慎だって言われてたし、こんなところ見つかったら謹慎期間が伸びちまう」
「……自業自得」
「ツッコみいれるの止めてくれない!? 本人が一番分かってることツッコむの止めてくれない!?」
「あの……お兄さん」
ソフィ達にツッコミを入れていると、ブランコで揺れていた少女がその小さな手で和真の制服の裾を掴む。
少女のまっすぐな視線にさらされた和真は昨日の彼女の瞳を思い出してしまい、軽く息を詰まらせ、制服のネクタイを緩めた。
「なに、かな?」
小さく深呼吸した和真は、少女の前でしゃがみ込んで視線を合わせた。恐怖に歪みそうになる頬を必死になって笑顔に変え、彼女を怖がらせない様に細心の注意を払って。
だが、そんな和真の内心を知ってか知らずか、少女は和真の緩めたネクタイを掴んで引っ張った。想像だにしない少女の行動に、思わず和真は前かがみの形になる。
「――ん」
「――――え?」
小さな少女の濡れた唇が和真の頬に触れた。ほんの一瞬だけ感じた小さな鼓動はそのまま離れていき、尻餅をついてしまった和真から少女は慌てて駆け出していく。
公園入口に集まっていた男の子たちの傍に駆け寄っていったその少女は、荒れる息を整えて和真達に向かって頭を下げた。
「き、昨日は、ありがとうございました! わたし、お兄さんみたいに誰かを助けられる人になります、きっとなります!」
少女の嬉しそうな声に、和真は頬に添えていた右手をおろし、微笑んだ。
「……うん。がんばれ」
「は、はい!」
溢れんばかりの笑みと共に、少女と少年たちは大騒ぎしながら公園を去っていく。和真は彼らの振る手に最後まで応え続けた。
しばらくして静かになった公園に、地面に座り込む和真と彼を囲むソフィとベルイットだけが残された。
黙っていると、ソフィに頬を思いっきり抓られて呻き声を上げてしまう。
「……ロリコン」
「今それを言うの止めてくれない!? 今だけは俺、それを否定できない、できないんだから!」
「うぅむ。あの娘っ子め、なかなかにやりおるのじゃ。将来が有望じゃのぅ。唾をつけておくか」
そっぽを向くソフィと何やら頷くベルイットの傍に立ち上がった和真は、軽く掌を見つめて小さく笑う。
「ははっ……」
こんな小さなことで救われた気分になるのは、自分が人を助けることにトラウマを持っているせいだろうか。昨日はあれほどやるせなさの籠っていたこの掌に、今は形のない何かが広がっている。
そしてそれは、人助けをしたときに今まで感じてきた気持ち悪いものなんかじゃ、決してなかった。
「……ま、悪く、ないかな」
ソフィやベルイットが人助けをする理由が、少しだけ分かった気がする。いや、正確には自分自身が、人を助けるということを思い出してきたのだろうか。
「……正義の、味方か」
「何か言った?」
何やら満足げなソフィの不敵な笑みを鼻で笑い、和真は彼女の差し出した鞄を受け取り、歩き出した。
「別に。それより、ほら。帰るぞお前ら」
「その前に和真。一つ言いたいことがあるのじゃが……」
「なんだよ?」
歩き出した和真の腕をベルイットが握った。仕方なしに彼女に振り返ると、何やら背伸びをして唇を突き出している。
晴れやかだった気分が一瞬にして凍りついた。
「……なにしてんの、お前?」
プルプルと震えるベルイットを冷めた目で見つめると、彼女がさらに唇を尖らせて眉をしかめた。そして、
「何とは空気を読めん男じゃの。プリーズ、キス、ミー!」
「なぜぇに!?」
両腕を掴んで迫ってくるベルイットから慌てて身体を揺らして逃げ出そうと試みる。だが、がっちりと和真の腕ごと抱きしめるベルイットの拘束から逃げられない。
「プリーズ、ちっす、ミーなのじゃ!」
「断固ことわぁる!」
「それこそ何故になのじゃ!? 幼女にキスして少女にキスできないとな!?」
「誤解を招く言い方するな! 俺は別にキスされただけでしたわけじゃないぞ!」
対抗心を煽られたらしいベルイットがしきりに唇を突き付けてくる。ムードや雰囲気なんてあったもんではないその暴力的で魅力のまるでないキスに、和真は己の力の限界を振り絞って逃走を試みる。
だが、何やらピクリとも動けない。
「だ、駄目だ、なぜ逃げられない!?」
「にょっほっほっほ! 当然じゃ、ワシこそがアンチヒーローの作戦参謀大幹部! ベルイット・ベン・ベルじゃぞ! わしの手にかかればお主の一人ぐらい――」
「おい! 地面からなんか前見たことのあるモグラ怪人が俺の足を掴んでるんだが!?」
『もきゅ』
「愛らしいけど憎たらしい!?」
「黙ってワシのキスを受ければよいのじゃ! お主という男はどうにもワシの恋人兼嫁である自覚が足りんのじゃぞ! この辺でワシの愛を受け入れる必要があるのじゃ!」
尚も迫るベルイットから必死になって顔を逸らす和真は、自分達の傍で眉をひそめて唇を尖らせるソフィに助けを求める。
「そ、ソフィ、悪い! こいつを何とかしてくれ!」
「…………」
助け舟を出したのだが、ソフィは軽く顔を赤らめたままスカートのすそを掴んで黙った。ほんの一瞬下を向いたかと思うと、ソフィが和真の耳を思いっきり抓る。
「痛、いったったたた!?」
「……デレデレしすぎ。調子に乗ってる」
「今の俺のどこに調子の乗ってる雰囲気があるか教えてくれ!」
「ぷいっ」
正面からキスを迫るベルイットと、耳を抓ったままのソフィに絡まれる謎のシチュエーション。どうしてこうなったと頭を抱えることもできず、近所のおばさんが警察を呼ぶまで和真は二人から逃げ出すことはできなかった。