絶対領域兄貴
変態な表現が多々どころではないくらい登場します。
ご注意を。
私、雨賀海音の兄、雨賀海人はキモいオタクである。
「ヂュフフ! いやいや鎖骨ラブ! 膝裏ラブ! おへそラブ!」
「・・・・・・」
「あぁ・・・舐めたい。舐めくり回したい! 幼女食べたい! 巫女服しゃぶりたい!!!」
・・・まだ開始5行ですが吐き気を催した方はプラウザの戻るのボタンを推奨します。
「ジュフフ! リアル3Dの妹なんて邪道千万万死に値する。あれだ、死にたくなかったらお兄たまのおたまをしゃぶぅぐぅはぁぁぁああああ!!!!!」
「何キモい事言ってんだ万死はお前だ」
朝の6時。普通の女子高生である私にとっては起床時間。
キモオタ引きこもり大学生(一応)の兄にとっては寝る時間。
「痛いでござるよ妹氏! 朝からお兄たまのお顔を殴るなんてもしかしてツンデレですか可愛いなけど3Dだから万死にぅぐふぅぃうぃあッ!!」
2発目の顔にグー。
「ホントにキモい、何が3Dよ。顔を両方から殴って顔面ぺちゃんこの2Dにするぞ」
「ぅおぉぉぉ・・・・」
朝から疲れる。
私の兄はいつもこうだ。
高校卒業までは若干オタク匂の漂う、けどまだ普通の青年だった。
けど大学に入って、何か友達が出来なかったみたいで、学校行くのが鬱になったみたいで。
「引きこもり、すなわち引いて籠る、そうまさにエスカルゴの精神! もぐらしかりヤドカリしかり、生物とは本来引いて籠る性質を持った不完全生命体! あれだ、赤い石を! 不完全から究極の生命体へ!!」
「そのまま宇宙に放り投げてやる」
正直言おう。
兄はイケメンだ。悔しいけど顔はいい。
ついでに言うとスタイルもいい。引きこもりのくせに筋肉もある。
声も低い低音ボイスでかっこいい。身長も高く手足も長い。
ただ若干服装のセンスがダサい(チェック柄一択)けど、そこを除いたら多分女子から普通にモテるような、そんな外見なのだ。
まぁ、中身がアレだけど。
「ぁあぁぁぁあぅ・・・今日もネット世界の平和を守り切った・・・よし、寝よう」
午前6時半、兄はキッチンで麦茶を一口飲んだ後、風呂にも入らずに自室へと戻る。
「・・・アンタさぁ」
「ん? なんだい3D妹?」
「とりあえず後で一発腹パンね。・・・アンタさぁ、学校行かないの?」
次の瞬間、兄は音速を超えた。
一瞬、まさに一瞬で私の前から消え、自室に戻りドアを閉め、カギを掛けた。
「・・・・・・」
もう呆れる以外になんにも無い。
「お、お兄たまはあんな非強制勉学育成収容施設なんかには、い、いいい行かないからね!」
堅く閉ざされた扉の向こうから聞こえる、死ぬ間際の爺さんみたいに震えた声。
「べ、別に学校行ってぼっちになって周りから何か言われるのが怖いとか、そんなんじゃないんだからねっ!!」
「そんなんだろ」
「違うからねっ!!」
「違くないだろ」
「お兄たまは今からねんねするの! 邪魔しないで2D妹!」
「・・・金属バット、確か外の物置の中にあったような」
正直、兄には社会復帰・・・もとい学生復帰をしてほしいと思っている。
兄はただ人とのコミュニケーションが苦手なだけなのだ。
「巫女さんと一緒にベッドの中へダイブして、いろいろと弄ばれたい!」
「・・・気持ち悪い」
多分、この性格さえなければ少しはまともな青年に・・・
午後6時、普通の女子高生である私にとっては帰宅時間。
兄にとっては起床時間。
「ふむふむ、3D妹の制服姿・・・ふむふむ」
「蹴るよ?」
たった今学校から帰ってきた私はまだ制服姿。
そして兄はキッチンで麦茶を飲んでいた。
「制服は巫女服の次に好き! しかもセーラー! イイネ!! けど3D・・・」
「早く着替えよう」
ちなみにウチの学校は制服セーラー。そんな事より早く着替えよう。
で、自室に向かい廊下を歩きながら靴下を脱いでいたら・・・
「は、はははあああぁぁぁぁぁ!!?」
「・・・え?」
「ば、ばかやろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
「・・・は?」
いつもキモい兄がいつも以上にキモくなってこっちを見ていた。
「馬鹿野郎! 制服といったら絶対領域込みのニーソだろJK!!」
「ねぇガチでキモい。一回畜生道に堕ちてこいよ」
「そんな常識すら知らないのかよ3D妹! ニーソは3Dに於いても神アイテム! 制服を全て剥いでもリボンとニーソだけはぅおぅうううぐぅはあぁぁぁぁッ!!! 痛い痛い!!」
とりあえずエルボーを決めてみた。
「私は着替えるんだから別になんでもいいでしょうが」
「ぅぅ・・・ぅ・・ん・・・うーん?」
「・・・なにこっち見てんのよ」
「・・・いや、案外制服に素足ってのも、爽やかな感じがしてそれはそれで」
「トイレの洗剤とお風呂の洗剤を混ぜたモノを明日あんたの部屋の前に置いとくから。じゃ」
「え?」
「・・・ホントにさ、いい加減引きこもり辞めたら?」
「嫌で候」
「・・・なんで?」
「なんでもで候」
「・・・はぁ」
「・・・3D妹って、犬歯鋭いよね」
バシっ!!
「い、痛いで候・・・」
午後11時。
普通の女子高生である私にとっては寝る時間。
兄にとってはネットゲームのメンテナンスとか何とかでネットを一旦やめる休憩時間。
兄はキッチンで麦茶を飲み、私は隣で牛乳を飲む。
「ほほぅ、牛乳・・・あれですな、おっぱいおっきくしたい願望でもぉうぅうう痛い痛いぅがはっ・・・な、72すんだよ!!」
「次言ったら殺す」
「はっ・・・眼がマジだ・・・」
もともと私はつり目気味の眼をしている。だから睨みをきかせると兄はだいたいビビる。
「でも安心安全のお兄たんマーク! ぼく大きいおっぱいには微塵の興味もないから。富士山よりも高尾山派だから。小さいは正義!」
「よし殺そう」
「待って!! バスト75の3D妹よ待って!」
「なぁっ!!? ・・・な、なななななんで・・・そ、それを・・・っ!!?」
「・・・え? ぼく今、勘で言ったで候・・・まさか・・・え、マジか」
「・・・っ!!!!!」
「あ、赤くなった3D妹、3Dのくせにちょっと可愛・・・ぐあっ・・・」
「正直、学校は嫌いなんだよね」
「うん、知ってる」
「先生も同級生も先輩も後輩もみんな自己チューなんだよ。もっと周り見ろよ。ぼっちも仲間に入れてくれよ」
「それこそ自己チューと言うか・・・なんと言うか・・・」
兄は時たまに本音を漏らす。
「ホントは・・・ホントは、普通の青春キャンパスライフってのを送ってみたいさ。友達100人欲しいさ。けどさ・・・」
「・・・・・・」
「どうやって・・・どうやって、人と会話していいのか、分からないんだよ」
兄はどこか寂しそうな瞳をしていた。
「・・・ほら、俺ってさ、こんな特殊性癖野郎だからさ、話の合うヤツって言うか、周りの話についていける自信が無いって言うか」
「はぁ、その特殊性癖は自覚していたのね」
深夜1時。
豆球の小さな橙の明かりだけが灯るリビングのソファ。
私と兄と2人で並んで腰掛け、2人そろって前を見ながら。
「・・・俺、どこで間違ったんだろうな」
「うん・・・間違ってたってのも自覚あったんだ」
「まぁな・・・妹のニーソに興奮するとか変態だろ普通」
「キャラが・・・さっきとだいぶキャラが・・・」
「でも巫女さんは今でも食べたいって思っているぜ」
「・・・・・・」
どこからが真面目で、どこからがおふざけなのか。
兄は分からない。
兄が分からない。
兄を・・・知らない。
「・・・なんかアルバイトでもしてみたら?」
ふと、口に出してみた。
「バイト?」
「うん・・・アルバイト。とりあえず学校じゃ100%ぼっち確定なんだし、まずはコミュ力を上げるって意味で」
「100%・・・お、おう・・・」
「バイトなんて嫌でも人と関わらないとやっていけないし、つまり嫌でも人と会話をしなくちゃならない。ちょっと強引かもだけど、最悪嫌だったら辞めれば・・・」
所詮、って言い方は非常によくない言い方だけど。
でも、所詮バイト。辞めたくなったらいつでも辞められる。
何もしないで引きこもるよりかはずっといいと思う。
「・・・そういや近所のコンビニでバイト募集していたような・・・」
ふと、兄が呟いた。
「え、始めから接客業いくの!? え?」
「・・・確かに、バイトか」
「ねぇちょっと、あんた今まで会話って文化を忘れていたような野郎がいきなり接客業ってのは・・・始めはもっと違う職のほうが・・・」
「・・・そうだよな、いい年こいて引きこもりってのはよくないよな」
「うん、まぁそれはそうなんだけど」
「・・・よし、明日朝一でコンビニに電話してみるよ。バイトの面接の申し込みだ!!」
「ホントに? ホントにコンビニにするの? え? ホント?」
なんと言うか・・・決断力の凄さと言うか・・・
「・・・眼が覚めたよ。ありがとう海音!! 俺、社会に出てみるよ!!」
「・・・うん。まぁ・・・が、頑張って」
多分2日で辞める兄の姿が目に浮かぶ。
「マジでthank youな!!」
「滑舌・・・」
「あと・・・」
「・・・ん?」
「その・・・」
いつになく真面目な顔の兄。
で、
「お前・・・足にニーソの痕が付いてる」
「へ?」
「・・・やっぱりニーソもいいが素足に残るニーソ痕ってのも案外萌えるな」
「・・・・・・」
ドカっ!!
「い・・・痛い・・・」
やっぱり兄は変態だった。
「おおぅ・・・3D妹の小さくて丸っこい可愛いつま先で蹴られた・・・うふっ」
「キモい、死ね、変態、キモい、変態、バカ、シスコン、変態、とりあえず死んで」
正直、自分足フェチじゃないんで兄貴の気持ちが分からない・・・書くとき大変だった・・・
この続きは12月27日更新のびにこん。。(なろう連載、著・五円玉)最新話の第22話をチェック!!