氏原の委員決め
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窓から日がさしこんで、教室の中を照らしている。その光でほこりがキラキラと舞っているのがみえる。窓側の僕の席。机は温まってる。いつもと変わらない日常…?いや、違う。差してる日の角度、ほこりの量、机の温まり具合…なんだって変わってる。ほんのわずかかもしれないけど、でも変わってる。僕は知ってる。
世の中には永遠なんてありはしない。世界はかわりつづけてる。
僕は日野原高校に通う、高校二年。名前は星野流作。部活?入ってない。趣味?わかんない。好きな人?さぁね。ぱっとしてないことくらい、自分にだってわかってる。前髪は目にかぶってるし、制服だって着崩したりしないし、オシャレにだって興味はさらさらない。名前だって流れを作るって意味で流作らしいけど、正反対。学校では地味な存在だよ、もちろん。かといって、地味な男子らの集いには入らない。入るくらいなら本読むかな。つまり、一匹狼ってやつ。
チャイムが鳴ると、教室に20人くらいが駆け込んで入ってくる。みんな口々にやべえーっ!ぎりぎりっ!とか、間に合ったぁ〜!とか言ってるけど、いつものことだ。毎日同じこと言って、飽きないのが不思議だ。クラスは全員で30人。ちゃんとチャイムが鳴る前にいるのは、ほとんど決まったメンツだし、いわいる地味なやつが占めてる。
「ほら、早く席につけー?」
担任さえ5分遅れて来る始末。これって学級崩壊って言わないんですかね?なーんて。担任の氏原は、わざわざ気を使ってちょっと遅れてきてる。前になんでか本人から聞いた。ていうか聞かされた。
「よーし、席ついたな。ちょっと今日は決めたいことがあって。」教室がざわつく。氏原はいろいろと提案するのが好きだ。前は、氏原が言ったことを板書する係りを決めた。なったのは学級委員長だった。多分。決めても結局氏原が自分で板書してるし、あんまちゃんと覚えてないのが現実。
「今回は、クラスを明るくしようってことで、明るくらす委員を決める!」
教室は一瞬で静まり返る。明るクラスか。中途半端な親父ギャグにクラス中がしらけた。まだ氏原26だ。
「ってことで、はい。決まるまでSHRな。」
これもお決まりのパターン。誰一人てをあげない。
「んー。出来れば自主性を尊重したい!ところだけど、ちょっと提案。おれ、星野にやってもらいたい。」
はいはい。また推薦ですか。自主性尊重ははなから考えてな…て僕!?
クラスが再びどよめきだす。29人の目が僕の方を向く。なんだこの展開は‼
「じゃあ、星野決定なー。」
「⁈」
オイオイちょっと話を進めるな。展開がまさかすぎて言葉が出ない。
「あと2.3人欲しいとこだな。いるか?」
いるわけないだろう。見せしめか、これは。もう抵抗する気も失せた。どうせまた係りを決めただけさ。僕はしたを向いた。みんながいるわけねーよな、とかいうささやきが耳をすりぬけて僕の頭に響く。やめてくれ、氏原。
「お?!田辺やるのかっ?」
え。たなべ?




