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掌編

肉を食べたい男

作者: 綴 詠士

肉を食べたい男、修正版


 肉が食べたい。男はそう思った。

 そして全てが止まらなかった。肉を食べたくてたまらない男は、あらゆる肉を手に入れるために戦うことにした。

 剣を持つ。盾を持つ。

 よしこれで戦える。肉を食える。

 それだけだった。

 だから男は肉の為に戦った。

 ある時は牛を斬り、ある時はイノシシを下す。そして食べる。

 そんな日々を送っていた。

 そしてある存在の話を聞き、男は震えた。これは喰わねばならない。そして男は三日三晩探し回った。飲まず食わずで、これを見つけなければならなかった。

 ついにその時が来た。

 「お前は……」

 そう、それは伝説級の牛『神牛』!

 それが目の前に来ていたのだ。

「まさか。お前の方から来てくれるとはな……」

 男は剣と盾を構える。

 ごくりとつばを飲み込む。これを食べた時のことを考えると、食欲が止まらない。勝たないといけない。男は決めていた。こいつに負けた時、禁断の菜食誓約を結ぶのだと。こいつに勝つまで、二度と肉を食べられなくなる恐ろしい誓約だ。もちろん戦いの後に男の命があればの話だが。

「食わせろーー!」

 男が剣を振るう。

「何!」

 だが剣は牛の角によって簡単に防がれる。

 男が角を折ろうと、剣に力を籠めるが、全く動かない。むしろ男の剣が押されていた。

 そして牛の本気が来た。

 大きな雄たけび。そして角が上に上がる。

「うおおお!!!」

 剣が弾かれ、男はしりもちをつく。

 そして牛が男を見下ろしている。だが、見下ろすだけだ。もう勝負はついたと言わんばかりだった。

「……くそ。俺の負けだ」

 男が悔しそうに言うと、牛は去っていく。

 男はそれを見て、地面にこぶしを叩きつける。

「俺は弱い。……だが必ず、あいつに勝つ! 次は焼け目までつけてやる!」

 そう叫ぶ。

 男の腹の虫が鳴った。これからは菜食生活だ。男はお腹をおさえる。

 肉を食べたい男の挑戦はこれからも続く……。

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