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1. 一人目の被害者

確か部屋にホワイトボードがあったはずだ。

一室に置かれた大きなホワイトボードが二つ置かれていた。ソーマと共に一人一つずつホワイトボードを引きずりレイド刑事がいるところまで持っていった。

事件を一つ一つ理解するにはやはり、メモを取ったりすることが大事だ。


「エレナ、君のお父さん、クリスから何かこの事件について聞いているか?」


「いえ、何も聞いていません。父の残した事件記録のノートに挟まっていた被害者の写真を見て知りました。」


「なら、最初から話そう。」


レイド刑事は紅茶を一口啜る。

私はホワイトボードに向かいペンを取った。


「最初の事件が起きたのは、君の父親、クリスが亡くなる少し前、ニ年前の春頃に起きた事件だ。遺体が発見されたのは劇場【リューレルフ座】の舞台上。そこで一人の少女が発見された。」


「その少女が、お父さんが残していたあの写真の少女…」


「ああ。」


脳裏に焼きついた両目をくり抜かれ、抵抗したのだろうか服が少しはだけていて、真っ白な服は血で染まり、複数の切り傷が鮮明に見えた少女の変わり果てた姿を思い出す。


レイド刑事は持っていた茶封筒から一枚の書類を取り出し私に渡してきた。よく見ると、その書類には一人目の被害者であろう少女の情報が書かれていた。


「被害者の名前はマリー・ドルケス、15歳。発見現場であるリューレルフ座で歌い手見習いをしていた。いつか劇場の舞台に立つことが夢だったらしい。」


書類の上からクリップで止められていた被害者の写真。その写真に写る少女は長く綺麗な黒髪で、晴れやかな笑顔をしていた。15歳というまだまだこれからという年齢で命が奪われたのだ。


「発見時、被害者は舞台衣装の白いドレスを着ていた。関係者によるとその日はちょうど、見習いをお披露目するという大事な日だったらしい。だが、被害者はステージに上がることなく殺害された。」


劇場の舞台に立つという被害者の夢。

それが叶うはずだった。

だけど、それは狂気的な犯人の手によってその夢は違う意味で叶ってしまったというわけだ。


「被害者の楽屋には散乱したメイク道具や衣装が残され、廊下には被害者の血液が発見された。」


「被害者は舞台上まで自分で移動したのでしょうか。」


「いや、それはないらしい。楽屋にはかなり血溜まりが出来ていた。被害者は犯人と楽屋で揉み合いになり、抵抗するも殺害された。犯人は遺体を舞台上まで運び、もう一度被害者を刺した。一番の致命傷は喉に一突きされた刺し傷。複数の切り傷は軽傷だが、最後に刺されたであろう心臓への傷は深く突いていた。そして、最後に両目をくり抜いた。」


なんて残忍な犯行なのだろうか。

まだ被害者は15歳だ。

そんな少女になんてことを…


「被害者の楽屋の壁に血で文字が書かれていた。」


「文字ですか?」


「ああ、おそらく犯人の書いたものだ。」


レイド刑事は一枚の写真を封筒の中から取り出し私に渡してくる。確かにその写真に写る壁には血の文字でこう書かれていた。


──『これで彼女は光を浴びる。』


光…


「被害者は舞台に立ち、光を浴びたいと周りによく話していたらしい。」


被害者の願いは想いもよらない形になってしまった。


「被害者の夢である舞台に立つこと、そして被害者の望んだ光を浴びること。それを犯人は皮肉な形で叶えた…」


ソーマは静かに事件のことを聞いているが、相変わらず無表情で何を考えているのか分からない。だけど、時々、眉間に皺が寄っていた。彼もまた怒りを覚えていたのだろう。


「ところでレイド刑事。その事件がまた動き始めたと言っていましたが、どういう意味ですか?」


どういう意味もない。

私の予想が正しければ、多分それは…


「ああ、実は昨夜、同じ犯行の事件が起きた。」


やっぱり。

事件が動き始めたということは新たな事件、類似事件が起きたということだ。


「お聞かせいただけますか?」


「ああ。」

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