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いつまでも旅の途中  作者: カピパラ48世
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01話-05 過去だって、思い出・・・よ・・・ね・・・。

「なんだお前、気付いてなかったのか?」

ロイがそう言った。

「・・・・。」

シグマは言葉を失った。

「ん~、まぁ確かに、女の子って言われたことなかったなぁ・・・」

ロイは言葉を付け足し、

「でもまぁ、普通に見てりゃわかるだろうに・・・」

そう追い打ちをかけた。

気付く気付かないの前に、そんな疑問すらなかった・・・はずなのだが・・・

「・・・あっ・・・」

たまに湧き上がる「守ってあげないと・・・」という気持ちを思い出した。

理由がわからなかったが、やっと合点がいった!

シグマはそのことを思い出し、顔を紅らめた。



あのあと・・・、

スージーが走り去っていったあと、ゆっくりと宿に帰ってきたシグマは、宿の入口で居心地が悪そうに座っているロイと会った。

「スージー・・・来た?」

シグマが小さな声できくと、ロイは親指で宿の扉を指さし、

「泣きながら帰ってきた。」

と教えてくれた。

ああ、それで外でスージーが落ち着くのを待ってたんだなぁ・・・

シグマはそう思った。

「スージーが水浴びしてたんだ・・・」

シグマがそういうと、ロイは短く考え事をして、察したように、

「まぁ、見られちゃ恥ずかしいだろうなぁ・・・」

わかりきったようにそう答えた。シグマは思わずロイに、

「・・・えっ・・・女の子って知ってたのか・・・?」

そう投げかけた。

ロイは短くため息をつくと、

「そんなもん、言われなくても気づくだろう。」

淡々とした答えが返ってきたのだ・・・。

シグマは呆然とした・・・・。



泣きながら帰ってきたスージーをファルスは、「なにがあったの?」と優しくなだめた。

スージーはファルスの胸にうずくまり、

「・・・見られた・・・」

と繰り返した。

部屋を一瞥する、今からゆっくりと逃げるように出ていこうとしているロイがいて、シグマがいない・・・

そして濡れた髪と服装・・・

なんとなく状況を想像したファルスが、スージーの頭を撫でながら声をかける

「性別のこと知ってもらいたかったんでしょ・・・」

スージーの呟きが止まった。

「・・・でも・・・」

「ん?」

ファルスの声を聴くとスージーはファルスに向かい顔を上げ

「でも、あんな知られ方、いやだもん!!」

駄々をこねる子供の泣き顔で言った。ファルスは困った表情を浮かべ「そうだねぇ・・・」とスージーの頭を撫でなだめた。


「まぁ、想像通りだったってことだねぇ・・・」

スージーを個室のベッドに寝かしつけたファルスは、そう呟きながら宿の入口にゆっくりと向かい、ドアに手をかけ開けた。そしてすぐさま わざとらしい口調で

「おお、探しに行く手間が省けたねぇ・・・」

と声を出した。

そこには気まずそうにたたずむシグマがいた。

「わかってたくせに・・・」

シグマの返事にもとれる言葉を聞いたファルスは、

「さあ、何から話そうかねぇ。」

笑顔でそう言った。

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