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いつまでも旅の途中  作者: カピパラ48世
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01話-03 過去だって、思い出なんだから!

カン!カン!!と乾いた音が響いていた。

「ほら、シグマ!そんな動きでは、また負けるぞ!!」

スージーがシグマにけしかける。

そのあおり言葉を受け、シグマはムッとすると、

「いつまでも負けっぱなしでいると思ってるんだろ!」

そう言いながら、木剣を力任せに振り回してきた。スージーはそれを左手で持った木剣で軽くあしらう。

カンカンと小気味よい音が響いた。

執拗に振り回すシグマの剣戟を、何度も捌いているのにちょっと疲れてきたので、そろそろ決着をつけようと考え始める。

シグマが力任せに上段から切りかかってくる。それを確認すると左手に持っていた木剣を素早く右手に持ち替え、その空いた左手を軽く握り、勢いよくシグマの木剣を握る右手を払った。

どちらかというとシグマの右手が払われたというよりも、押さえつけた左手の勢いでスージーが右側へずれたような感じだったが、結果的にシグマの木剣は狙いから外れた。

「はい、シグマの負けー!」

素早くスージーがシグマの喉元に、右手に持ち替えた木剣の先端を突きつけた。

ニッコリとするスージーに対し、シグマは不服そうだ。

まったく完敗のその状況でシグマは右手を内側へ力任せに振った。

「えっ!!!」

小柄なスージーは、左手をシグマの右手に押し当てたような体制でいたものだから、そのまま なぎ倒されるが如くに地面に転がった。

「・・・あいたたた・・・」

左手で体をさすりながら体勢を整えようとしたスージーに、シグマが木剣を突きつける。

「俺の勝ちだ。」

ぶっきらぼうにスージーにそう言い放つ。

「ほえっ・・・?」

一瞬何が起こったのか理解できなかったスージーは呆然とその切っ先を見つめた。

そして思い返す、

”いやいや、これはありなのか?”

そう思ったが、シグマのまじめな表情をみて、なんだか可愛く思えてきた。

いつも悔しく思ってたのかしら・・・そう思うと

「ふふふ・・・」

クスクスと笑みがでてきた。

「そうね・・・今日は勝ちを譲ってあげるわ。」

楽しそうに答えた。

「あー、まるで俺がインチキで勝ったみたいに・・・」

いつも通り淡々とした口調でシグマの言葉が聞こえた。

心なしか嬉しそうな態度を見せる彼を見て

“・・・えっ・・・もしかして・・・ずっと負けてたのが悔しかったの・・・か・・・な・・・?"

スージーが苦笑いしながら心の中でそう思った。


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