第四話【墓地】
翌日のことである。ロックはいつものように名も知らぬ東京のカフェのソファーで目を覚ます。このカフェは8年前ほどに戦争の被害を受け、それ以降は彼の住処となっていた。東京は一番の戦場となり、今やここに住んでいる人間は世紀末の荒くれ者か数少ない能力者ぐらいである。看板は既にボロボロで解読は可能であるため、店名は不明なままだ。
何か買いに行くかとポケットに手を入れるが。
「あーそうか。昨日金を取られて...もう無くなっちまったのか...。」
そういや、あの金をあんな短時間で一体何に使ったというのだろうか。あの時は訳アリのよう見えてあえて追求しなかったが、今になって気になってきた。
「ラストNo.は、まだ帰ってきてない...。ということは、あの女は籠に言いつけに行かなかったってことか。」
立ち上がって外に出てみると雨が降っていた。
バッグから食パンを一枚とり、傘をさして外に出た。
毎日の日課だけは欠かしてはならない、師匠から教わったことの一つだ。そして俺は東京の端にある墓地に来ていた。
「今日も来てやったぞ、そういや聞いてくれよ。昨日は大変だったんだよ」
この6年間毎日、ここにやってきてからは戦地で頭を銃弾で撃ち抜かれた友の墓参りに来ることにしている。あいつは友達が少なかったから俺だけでもあいつに話しかけてやらねば。まぁ、墓食べるほど立派なものじゃない。形の整ってない不細工な石を地面にさしただけのものだ。
「あぁ、そういえば。健三たちが千葉の方で新しい仲間を見つけたらしい。どんな奴らなんだろうな?俺も早くあってみたいぜ。」
骨はなるべく拾ったのだがやはり銃弾と能力が飛び交う危険な戦場だと満足に拾うことはできなかった。
「じゃあそろそろお暇するわ。じゃあな」
ロックは墓地から出て行った。
そして墓から去ったロックを見つめる1人の影があった。
「やっぱり...」