プロローグ
『原案14才の私×執筆27歳の私』で描く、ファンタジー。
必ず小説家になるんだと夢を掲げながら書き続けた物語。
大人になった今も抱く夢が今、時を超えて紡がれる。
ぷかり、ぽかり、と気泡が水面に上がって行く音が耳に届く。
重い瞼を開いて見れば、そこは薄暗い場所。
そして床には―――いや。
水の上に浮くような感覚だ、これは。
けれどまるで床のように冷たくもひんやりとしていて、少しだけ気持ちが良い。
何処からかゆっくりと落ちて来る水滴で、水面がウォータークラウンを作っては揺れる。
ぼちゃん、ぴちゃん、と音を立てながら。
身を起こした背の小さな…ちいさな少女が。
色白な右手を伸ばして立ち上がろうと、腰まで伸びている髪が大きく揺れる。
その姿は十代くらいの少女。
立ち上がり、揺れる水面の上を歩いて行く。
光の粒のような水滴が落ちる場所へ、一歩ずつ踏み出して行く度にその姿は大人びて行く。
雫が足元の水面に落ちる地点まで来ると、無意識に両手を出してみる。
降って来る光り輝く水滴を受け止めるようにして。
手のひらの中のキラキラと輝く黄金のような輝きすら放つ水で満たされると――
パァンと弾けるような音と共に金色の光が周囲に舞う。
彼女の手のひらの中には、分厚いアルバムが存在していた。
そっと…アルバムの表紙や背表紙を撫でて懐かしむような、憂うような、慈しむような眼差しを向けながら撫でてページを捲る。
―――これは、少女セレナと友情と絆。愛の物語である―――
この少女は…女性は誰なのか、その続きは第一章へと続きます。