世界の成り立ち 歴史とは
マリーナも自分のお茶を入れて私の向かいに座った。
私は入れてくれたお茶を飲む。ほぅ、ほんのり花の香りがする。多分いいお茶を入れてくれたんだろな。
パンもいただく。一口サイズのパンを口に入れる。ん、歯応えはそこそこ。胡桃みたいな実が練り込んであって香ばしい感じ。お腹に溜まりそう。
クッキーみたいなお菓子もいただく。ザクザクとして素材の味が生かされている。全体的に素朴な味だな。悪くない。
お茶を飲んで一息つく。
「マリーナ、この世界の事を教えてほしい。最高神様からは大まかなことは聞いているけれど、人から見た歴史が知りたい。教えてくれる?」
マリーナは最高神と言った時に全身が硬直したが、上手くそれを隠している。見た目より歳を重ねているかもしれない。
「はい。この世界の最高神様は創造神様または女神様とも呼ばれます。女神様だけですと他の眷属神とも誤解されやすいですが、庶民などは親しみをこめてあえて女神様と呼ぶ人もいます。
世界の始まりは最高神様が世界を創造され、各眷属神を生み出され、今の世界『フレア』をお作りになられたと伝えられています。もっと詳しくお知りになりたければ、本をお持ち致します。
しかし、最高神様は外界から来た悪神にふいをつかれ、この世界に魔物が発生する事を許してしまいました。
その対策に魔法神が生み出され、世界に魔物に対抗する手段、魔法が生み出されました。
ですが、女神様が対策をとられたにも関わらず、この世界に『瘴気』が生み出されてしまいました。『瘴気』は濃くなると人々や動物の身体を蝕みました。
そして、6つある大陸の中心にある中央大陸に女神様は決して壊れる事のない『中央神殿』をお作りになり、光の柱から金色の輝きを纏う『浄化の乙女』を神託と共に人々に与えてくれたのです。
『浄化の乙女を大切にせよ。さすれば瘴気は薄まらん』
当時の神託でございました。
浄化の乙女は瘴気を魔石に変え、人々を豊かな生活に導いてくださいました。
初代国王の神官様と浄化の乙女が夫婦となり、神聖王国が誕生したと言われています。
以来、前任の浄化の乙女が亡くなられると神殿に神託があり、新たな浄化の乙女を授けてくださいます。
これが、創世神話と呼ばれており、この世界の起こりでござます」
ふむふむ、ママに聞いた話とあまり変わらないな。悪神はママが怒って消滅させたらしいけどね。
けれど、魔物がフレアに融合されて排除出来なかったらしい。
「ありがとう。今までの話は知っている事とあまり変わらなかった。
次は神聖王国の事を教えてくれる?大まかな話でいいから」
「はい。神聖王国は創世神話時代に誕生いたしまして、神を信仰する人々で国を大きくしていきました。中央神殿には結界が張ってありまして魔物は入れず最高神様のお力だとされています。今でも魔物が現れた時の避難場所として使われています。
神殿にあやかろうと、その隣に王城を建て、神殿を挟んで反対側に大教会を建設しました。
時代が進むに連れて大陸内で人々がこの地を狙い、争いの絶えない戦乱の世が始まりました。
この時代に時の王『英雄王』が誕生いたしました。
かの王は教会の力と軍事力を持って争う人々を静めて回り神聖王国に組み込んで恩恵を分け与えて回ったそうです。
そして中央大陸には他の国は無くなり神聖王国一強となりました。その時の王族の名残りが貴族達です。中央大陸の人の暮らす地を守護しております。
そして、ここからの史実ですが、非常に血生臭い歴史が始まります。
神聖王国一強となった事により、独裁政治が始まりました。人々にとって地獄の時代です。言うに悍ましい事が王宮で繰り広げられたようです。これを血の時代と言います。平民達に圧政を強いた当時の王達は『残虐王』など忌み名がつけられています。
しかし、それも約150年程で終わっております。
他大陸からの大航海時代の訪れです。中央大陸にやってきた5大陸へ平民達が助けを求めました。
そして味方の貴族を引き入れ一切隆起し、王城を落としたそうです。当時の指導者達は全員処刑。生まれたばかりの幼い王子を王に立て、国を立て直したそうです」
「ちょっと待って、他大陸からの進攻は無かったの?中央大陸、乗っ取りとか?」
「もちろんそうした者もおりましたが、何故かそうした船の沈没が相次いだそうです。教会では『海神の奇跡』として語り継がれています。船乗りの信仰が厚い海神様ですね」
あ、思い出した。ママは大きい事案でしか動かないけど、眷属神達は結構この地に根ざしてるから干渉があるんだよね。海神様、やっちゃってますわ。
あ、続きをお願いします。
「この交流がきっかけで他大陸との交流が出来ました。ここで奮闘したのが教会の神官達です。加護持ちの神官が他大陸の教会の統合に動きました。当時の文献が残っているのですが、かなり困難な旅路だったそうです。約200年の苦労があったそうです。
しかし、彼等の頑張りのおかげで今の『神殿信仰』が出来上がり、各大陸の地元神、新たな神の発見に多いに役立ったそうです」
ふむふむ、神官達やるじゃないか。アクティブな神官が多かったんだね。
あ、マリーナも食べて食べて。




