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女神の愛し子  作者: 春爛漫
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部屋に案内

 神殿は催事や神託がある時などに使われるらしく、普段は神聖騎士の警備と神官が管理の為に常駐するだけらしい。


 ので、私は神聖王国の大教会の客間に案内された。


「掃除は欠かしておりませんが、こちらの部屋でよろしいでしょうか?」


 教皇様自ら案内してくれている。ぐるりと部屋を見渡してみても高級そうな部屋だ。これが不満な人はいるのだろうか?


「十分です。ありがとうございます。しばらくお世話になりますね」


「世話係に1級神官のマリーナをつけますので、なんなりとお申し付けください。マリーナ神官、挨拶を」


 後ろに控えていた洞窟で足を拭いてくれた女神官が前に出た。歳の頃は30代くらいだろうか?栗色の髪に神官の帽子を被って翠の瞳をしている。選定を済ましている人なので信用ができる。


「1級神官のマリーナと申します。浄化の乙女にお仕え出来ることを光栄に存じます。なんなりとお申し付けくださいませ」


 最高礼をしそうになったので、慌てて近くに行って止める。


「やめてください。私はそんなに偉くないので普通の挨拶で十分です。これからお世話になります。愛子と呼んでください」


「ありがたい事でございます。アイコ様と呼ばせていただきます。これからよろしくお願いいたします」


 所作が綺麗だ。位の高さを思わされる。

 あの洞窟に居ただけで信用の高さがしれると言うものだ。まぁ、ダメな人の方が多かったが。


「浄化の乙女様、私はここで失礼させていただきます。仕事がございますので」


 教皇様が腰から深く礼をしてくれる。


「教皇様も愛子と呼んでください。お仕事頑張ってくださいね」


「はい、ありがとうございます。失礼いたします」


 マリーナと2人きりになった。


「アイコ様、お飲み物か軽い軽食などご用意いたしましょうか?」


「ああ、はい。よろしくお願いします。マリーナもご一緒にいかがですか?この国や教会の事を考えていただきたいのです」


「もったいないお言葉です。では、そのようにさせていただきます」


 マリーナも部屋から出て行った。私1人だ。


「万ちゃん、この国の人達を監視して。何かまずい事が起きそうな時は教えてくれる?」


【了解しました。愛子の神力を拡散してこの国を諜報します】


「うん、お願い」


 ぶわりと身体から神力が抜ける。この神力を感知出来る人っているのかな?

 私の目は神力や魔力を見れるし感じとる事が出来る。色はキラキラした金色やクリーム色に近い。

 人それぞれ違う色の魔力が見れて面白い。


 でも、まずはこの国の情勢と教会の立ち位置を人目線から確認しないとね。


 ママからはある程度教えてもらってるけど、神様目線だからね。なんか、働き蟻の活動を教えてもらった感じ。

 私がママに気に入られていなかったら、私も蟻の1匹だっただろう。家族枠に入れてもらって感謝だ。


 ママにとっては歴代の浄化の乙女は可哀想な身の上の娘から選んでいたらしい。

 少しでも幸せになれるように選んだらしいんだけど、平民が多かったから長い歴史の中でだんだんと侮られていったらしい。神聖王国腐敗の歴史だね。


 私は応接間のソファに座った。背もたれに頭を預けて目を閉じる。


 神界で暮らした数ヶ月の間に私も変わった。


 何と言うのかな?身体の細胞が全て新しく生まれ変わったとでも言おうか?半神になったから物事の見方が神よりになったと言おうか?度胸がついた。


 だって、出会う神様出会う神様、全員美形なんだもの。ママの抱っこで神様に出会って挨拶してたら、もうどうにでもしてって気分にもなる。


 アイテムボックスからママとの連絡本を取り出す。


 パラリと開いたページにはママの文字で私への心配が書き連ねてある。


 それを見て、ふふっと笑ってしまった。心配性なんだから。

 ペンを取り出し返事を書く。


 『私は大丈夫です。ママはお仕事頑張ってね』


 ママは基本的に世界にノータッチだけど、世界を攻撃してくる悪い者の排除とか世界の亀裂を見つけて修復する仕事をしている。試験的に新しい世界の創造とかもして、眷属神に任せたりもする。


 まぁ、ママが偉いってことだね。神様の世界でどれだけ偉いかは教えてくれなかったな。いっぱい甘やかしてもらったけど。


 ペンと連絡本を仕舞ったらノックの音がした。


「はーい!」


 ドアが少し空いた。


「マリーナでございます。入ってもよろしいでしょうか?」


「どうぞー」


「失礼します」


 マリーナが押してきたワゴンに飲み物と小さいパンとビスケットのようなおやつが乗っていた。


 テーブルの上に丁寧に乗せてくれて「お茶に砂糖か蜂蜜を入れますか?」と聞いてくれたので、初めてなのでそのまま何も入れずにいただくことにした。


「マリーナも自分のお茶の準備してソファに座って。お話ししよう」


「はい、かしこまりました」


 お客さんの話し相手も仕事なのかもしれない。こちらとしては面倒がなくていい。



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