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女神の愛し子  作者: 春爛漫
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お披露目

 聖騎士が無事にきてくれて罪人(つみびと)達を連れて行った。


 改めて教皇様が祈りの間へ案内してくれることになった。


 大人しく後をついていくと洞窟との切れ間が通路にあって頑丈そうな扉が設置してあった。普段は閉めてあるのだろう。神聖な場所のようだからね。


 それから迷路のようになった廊下を何度か曲がると大扉があった。豪華ではないが綺麗な扉だった。

 控えていた聖騎士が扉を開ける。


 広い。とてつもなく広い空間に出た。

 少しざわざわと話し声が着替えてくる。


 私は外との出入り口だろうと思われる3箇所の扉を能力で開かないようにした。


 鐘の音がカーンカーンと鳴る。


 ざわついていた広間は静かになった。教皇が演説場に立つ。


「浄化の乙女、聖女が降り立ちました!神の光の中から出でし彼女は神聖王国の元、庇護されます!神からの送り人に幸在らんことを!神を崇めよ!」


 人々がザッと祈りの体勢になった。


 祈りの広間に今度はカラーンカラーンと神聖な鐘の音がする。


 教皇様が降りた演説場に愛子が昇る。背の低い愛子は威厳がない。

 声に力を込めて張り上げて人々に問う。


「神を!聖女を!浄化の乙女を!どう思うか!?真意を問う!」


 広間にいた人々の頭の上にモヤモヤっと文字が浮かびあがった。


 人が多すぎる。魔法の練習をしていた時に作り出した人工知能型万能魔法、通称・(ばん)ちゃんに頭の中で命令する。


『万ちゃん、神を信じていない者、浄化の乙女・聖女を利用しようと利己的に考えている者に罪人(つみびと)の紋様を額に刻め。子供は額に要教育と刻め』


 愛子の神力の波が広間に広がった。


 次第にざわめきが大きくなる。


【約6割の者に紋様が刻まれました。魔力も回収済みです】


『ありがとう万ちゃん』


 成り行きを見守っていた教皇様に向き直る。


「教皇様。この広間にいる約6割の者が不神信者です。紋様が刻まれた各国の王は次代にその地位を譲り、意識の改革を求めます。神聖王国の王侯貴族、神殿関係者、教会関係者、教育者には私の元に順次訪れるように調整を求めます」


 教皇が恐れるように愛子に訪ねる。


「あなた様はこの国をどうなさるおつもりですか?」


 愛子は微笑む。


「最高神様はこの国が浄化の乙女にした事を全てご存じです。部屋に閉じ込め、乙女の魔石を搾取し、嫌がる浄化の乙女に子作りを強要し、時には性や暴力の吐け口にした事を大層お怒りです。それに王家は神が認めていない聖女をかつぎあげ金銭と名誉を集めているでしょう。即刻聖女を廃止し、私が言った通りにしなければ近いうちに天罰が下るでしょう」


「浄化の乙女は聖女は王宮の管轄です。神殿は教会はどうすれば良いでしょうか?」


「今日から神殿の管轄にしてください。何か問題が起きれば私に相談してください。あと私の部屋を用意してください。小さな部屋で結構です」


 私は神殿に3箇所あった出入り口の扉を開いた。外の光が差し込む。


 この国は腐敗が進みすぎた。ママはたいそうお怒りである。今までは自浄作用に期待していたし、歴代の浄化の乙女の子孫がいたから我慢していたにすぎない。


 今なら私と言うメスを入れる事で流れる血を少しで済むように動いただけだ。


 私を溺愛するママが私を傷つけられたと動く方が怖い。私と教皇様と協力者だけで事が住むように動かなくては。


「せ、浄化の乙女様。こちらにおいでください」


 用意が出来たようだ。教皇様の後ろをついていく。


 紋様は改心しようとする者には毒にならない。己を変えず、今まで通りに暮らそうとすれば牙をむく。それは本当の毒のように身体を蝕むのだ。


 そして、魔法の世界で魔法を使えなくなるのは痛手だろう。今までの行いを悔い改め、心から神を信仰した時にだけ紋様は消える。


 子供は教育しだいで善となる。未来までは奪わない。


 私は混乱する広間を後にした。





ー神聖王国 会議室ー


 神聖王国では額についた印についてと、招待していた各国からの問い合わせがうるさく、対策会議を開いていた。


「額の印は何だ!?何故ついている者とついていない者がいる!?」


「教皇様から使者が来ました。お通ししてもよろしいでしょうか?」


「今か!?各国からの問い合わせもある!あとにせい!」


「額の印について知っているようであります。話を聞いてみる価値はあるかと」


「誠か!?通せ!」


 神殿・教会の者は国に媚びない為、簡易な挨拶だけで教皇様が書類に書いた要件を伝える。


「これは最高神からのお言葉である。心して聞きなさい。

 最高神様はこの国が浄化の乙女にした事を全てご存じである。部屋に閉じ込め、乙女の魔石を搾取し、嫌がる浄化の乙女に子作りを強要し、時には性や暴力の吐け口にした事を大層お怒りです。それと王家は神が認めていない聖女をかつぎあげ金銭と名誉を集めている。即刻聖女を廃止しなければ近いうちに天罰が下るでしょう。


 額に紋様が浮かんだ者は不神信者である。

 神を信じていない者、浄化の乙女・聖女を利用しようと利己的に考えている者に現れている。


 国王に刻まれた場合には世代交代をせよ。

 紋様が刻まれた各国の王は次代にその地位を譲り、意識の改革を求めます。

 神聖王国の王侯貴族、教育者には浄化の乙女に順次お目通りするように調整すること。


 浄化の乙女の身柄は教会に権限があることとする。


 浄化の乙女に危害を加えた場合、天罰が下ることであろう。


 以上になります」


 宰相に書類を預けて神官は礼をして会議室を後にした。


 これを聞いた国王は怒り、他の大臣や宰相が止めるのも聞かず、軍を動かす命令をしたところ、頭を押さえて倒れ、痛い痛いとのたうちまわり気絶した。


 天罰を恐れた将軍が命令を取り消し、王不在のまま会議を続け、各国の招待客には教皇の手紙の神聖王国の恥になる部分は教えず、他はありのまま伝えることとした。


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