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女神の愛し子  作者: 春爛漫
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神聖王国へ

 私が地上に降りる日。


 ママ(最高神女神)から約束事があった。私に地上に降りたらしてもらいたい事があるからだ。


「愛子、頑張ってね!ママ見守ってるから!」


「うん、できる事は頑張るよ。これから『浄化の乙女』の自由を勝ち取ってみせるよ」


「バカに情けは不要だからね!思いっきりやっちゃって!」


「わかった」


 近年、勘違いした者達がいるようなのだ。それを成敗してこいとのお願いだ。


 私に敵うのは神しかいないと聞いてやる気まんまんです!


「今から神殿に降ろすからね。寂しくなったら帰ってきてね!ママ待ってる!」


「うん!でもしばらくは世界を見て回るよ。愛してるよママ」


 愛情表現過多のママに毒されたかもしれないが本心だ。ここでの暮らしで嫌ってほど愛情を与えられたからね。


「愛子〜!」


 力いっぱい抱きしめられる。


「ママ、時間!ママ、時間!」


「ううっ。名残惜しいけど、いってらっしゃい」


「いってきます」


 ママが私から離れて私のおでこに手を当てる。


 ママから力が注ぎ込まれる。


 ヒュンとジェットコースターから落ちるような感覚になって、目が眩んだ。



 気がついたら私は洞窟?の中の泉のような場所に立っていた。


 目の前には祭壇らしき物があり、私を見た白い服の人々が膝を折って土下座した。いや、これは最高礼拝だな。


「ようこそいらっしゃいました、聖女様!浄化の乙女よ!わたくしが最高神官の教皇・サリーナ・パトスと申します!聖女様のお名前を聞く栄誉を与えてくださいませ!」


 教皇・サリーナさんの気合いの入った声が聞こえた。洞窟ってこうも声が響くんだね。おっと返事しないと。え〜と、本名は答えちゃダメなんだよね?真名で縛られるから。


「はじめまして愛子と申します。お出迎えありがとうございます」


 おっと、名乗った瞬間に何人か私を侮ったぞ。これは選定対象だな。


 私は泉から出た。そうしたら控えていた女性たちが2人近づいてきて水に濡れた足を拭ってくれる。


「ありがとうございます」


「いえ、とんでもないことでこざいます」


 え?気軽にお礼も言うなってこと?いやいや、ひざまづいて足を拭いてくれてるのに感謝がないとは信じられない。

 少し、小さな幸せがあるように祈っておこう。祈るだけで力の行使が出来るらしいよ。


 おでこにちょいちょいと触れておく。あ、不思議な顔してる。何されたかわかんないよね。


「ここは神殿の最奥部の降臨の間でございます。今から各国の代表の待つ祈りの間へご案内します」


「ちょっと待ってください。ママ、最高神様から仕事を頼まれましてね。それをさせてもらいます」


 私が立ち上がりかけた人、教皇様の元へ歩いていくと、戸惑った雰囲気になった。

 教皇様を中心に洞窟内の人々に手を翳す。


「あなた達は浄化の乙女・聖女の事をどう思いますか?」


 言葉に力を込めると、各人の頭の上にモヤが出てきて文字が浮かんだ。


『神と同じように崇めております』


 教皇はいい人だな。


『聖女なんて金づるだ』

『庶民が何を偉そうに』

『聖女様がお声をかけてくださった』

『私は奇跡に立ち会っている』

『早く終わらないかな』

『私はこの光景を忘れない』

『聖女?閉じ込めとけば魔石を作るんだろ?』


 おーおー、信仰心半々てところか。


「教皇様、後ろを向いてください」


 中年くらいの女性の教皇様が後ろを向いて、部下たちの頭の上に出ている文字を見て驚愕した顔になった。


「こ、これは、なんとしたことか?」


「この者達の本心ですよ。私は最高神様から不届者を懲らしめてこいと言われましてね?不神信者の選別をしに来たのです」


 私は『聖女なんて金づるだ』と思っている者に手を翳して魔力を抜き取り額に紋様を刻んだ。『罪人(つみびと)』と読める。


 次々と不神信者の額に紋様を刻んでいく。


 26人のうち、18人が不神信者だった。


「この者達は上に立つ器では無いですね。真に心を入れ替えた時に額の紋様が消えます。魔力も使えるようになるでしょう。しかし、心を入れ替えねば魔力は使えるようになりません」


「せ、聖女様。この者達にどういった処分をお求めですか?」


 教皇様が恐る恐る聞いてきた。


「教会の役職につけるのは論外です。信仰心と敬う気持ちがないうちは下働きでもさせておけばいいのではないですか?」


 紋様の事をよくわかっていなかった者達も自分達の地位が危ないと理解したようで、私に掴み掛かろうとした者がいた。


 この身体は今や半神だ。人にどうこうされただけじゃ傷はつかない。

 待ち構えていると、私を庇って教皇様が手を広げて立ち塞がった。


 私は驚いた。襲撃者も教皇様を前にして少し怯んだようだ。


「教皇様!おどきください!この者は聖女ではない!悪魔ですぞ!」


「いいえ。聖女様、浄化の乙女でいらっしゃいます。あなたも見たはずです。聖なる光から現れるお姿を。誰か!聖騎士を呼んできなさい!」


 紋様をつけられていない人達が数人出て行った。聖騎士を呼んでくるのだろう。


 私は暴力に訴えそうな者だけを魔法で拘束した。



 

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