女神様との出会い
愛子は触られている感覚で意識が覚醒してきた。寝起きはあまりいい方じゃない。
自分にイタズラしてくるものをぺしっと払って寝返りした。
それでもお腹を誰かが触ってくる。
確かに私のお腹はぷるんぷるんのもちもち肌だよ?誰だイタズラしてくるのは?おばあちゃんか?……いや、おばあちゃんは死んでしまった。それじゃ誰が触ってるの?
私はバチっと目を覚ました。
私の服がまくれた生のお腹にはとても綺麗なおててがもにもにさわさわと肉を揉んでいた。
ギギギギっと手を辿ると女性の外人さんが私の隣に寝ていた。
人間、驚きすぎると声が出ない。目だけはかっぴらいているが。
外人さんはハリウッド女優さんより綺麗だった。金髪のたっぷりウェーブした綺麗な髪の毛、薄水色の澄んだ瞳に長くカールしたまつ毛、優しげな眉毛に小ぶりの鼻。唇は大きくもなく小さくもなくぷるんとしている。この世の全ての美を集めたらこんな顔になるんじゃなかろうか?
私はまだ夢を見ているの?
「目が覚めた?やっと会えて嬉しいわ。愛子」
喋った!夢!?夢か!?
「夢じゃないわ。ずっと会いたかった。あなたに触りたかった。抱きしめたかった。あなたを愛しているの」
!?熱烈な告白をされてしまった!だがすまん!私はノーマルなんだ!
美女が「ふふふっ」と笑った。
「違うわ。私はあなたの存在を愛しているの。全てよ。あなたの全てを愛でたいと思っているの。まるで子供のようにね」
完璧美女の笑みは目に痛い!肌が発光して見える!まるで後光がさしているようだ!
ぎゃっ!すっぽりと抱きしめられた!!あ、ちょっとひんやりしてる。胸がデカイ。気が遠くなってくる。意外に力が強い!
「混乱しないで。私の事は母だとでも思ってちょうだい。そうね、ママって言ってみて?」
ま!ママ!そんなの恥ずかしくて言えない!!それより誰!?誰なの!?
「私は世界創造神・フレアディーテ。ママと呼んでね」
だから呼ばないって!こちとら37歳!羞恥心があります!てか、神様あわわわ。変な人だ!てかてか私、声に出してないのに会話してる?!
「そうよ。あなたの心の声とお話ししてるの。ああ、かわいい!今日からしばらくは一緒にいれるわ!」
あわ!あわわわ!すごい体を撫で回されてるー!フレアディーテさん!フレアディーテさん!やめて!やめて!
「ああ!ずっと触りたかったの!なんて可愛いのでしょう!ずっとここにいて!」
はわわ!はわわ!めまいがしてきた。ちょっと気持ち悪い。体調不良かな?
「あらいやだ。神界の空気にまだ慣れていないのね。結界を張ったから少し休みなさい。いい子ねいい子。愛しい子。もう少しお休み」
結界?なんだかここは不思議だらけ。フレアディーテさんが何かしてくれたのか気持ち悪さが治ってきた。優しく体を撫でられると小さい頃にでも戻ったみたい。
ん、眠気がきた。少しだけおやすみなさい。
「おやすみ。愛しい子。私も一緒にいるからね」
夢を見た。
お父さんとお母さんがいて1番幸せだった頃の夢。
幸せなのに、どこか物悲しい思い出。
無くしてしまったから悲しいのか?でも私は幸せだった。
お父さん、お母さん、いるのが当たり前だと思っていてごめんね。当たり前じゃ無くなってから気がついたよ。
あれ?隣にいるのはフレアディーテさん?夢の中まで出てくるってよほど存在が強烈だったんだなぁ。
ああ、優しく抱きしめてくれた。
美貌にばかり気をとられてたけど優しい人なんだな。
ママ。ママかぁ。呼んでみてもいいかもなぁ。
ママ。抱きしめてくれてありがとう。
「ああ!やっと呼んでくれたのね!ママ嬉しい!」
あれ?目が覚めた。どれくらい眠っていたのかな?まだ、抱きしめられている。
「ふれあでぃーてさん、はなして」
「嫌だ嫌だ!ママって呼んでくれたのに!ママってもう一度呼んで!」
そんなに呼んでほしいのか。呼ぶだけならいいかも。
「まま、はなして」
「嬉しい!そうね、食事も取らないといけないし、神果を持ってくるからね。ゆっくりしててね」
ママは私を離して、目の前から消えた。
目の前から、消えた。
超能力?まだ寝ぼけてるのかな?私?