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女神の愛し子  作者: 春爛漫
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ママと罪人

ママとの連絡本を出して記入する。


『ママへ。

 地球の食べ物を食べたら太りますか?あと、身体に悪い影響はありますか?』


 連絡本をパタリと閉じると、連絡本がピカピカと光り、ほんのり温かくなった。

 ママからの返事の合図だ。これはアイテムボックスの中に連絡本が入っていてもわかる。


 パラリと開くと、返事が書いてあった。


『愛子を愛するママより。

 神界に愛子が居なくて寂しくて寂しくて干からびてしまいそうです。I love aiko!! I love aiko!! ラブラブちゅー(以下略)もっと頻繁に顔を見せてくれてもいいのですよ!!


 本題です。上記も本題ですが。

 愛子は半神になったから、どれだけ食べても太りませんよ!だからママとお茶しましょチュッチュッ。

 一般人は普人だから身体に栄養や添加物などの影響はありますが、種族ごとに平均寿命が違うのと、魔物が常にいるので抵抗力が強いです。愛子風に言えば、無毒化する力が強いって言うのかしらね。だから安心して子供達にお菓子をご馳走するといいわよハート。


 そんな優しい愛子にママはメロメーー以下略』



 パタンと連絡本を閉じる。


 ママのいかれ具合がわかった。そんな愛情を感じて嬉しく思う私のいかれ具合も。

 嬉しくて顔がにまにましちゃう。今夜も会いに行こうかな?


 ぎゅっと連絡本を抱きしめる。


 地球から勝手に攫われちゃって、人じゃなくなっちゃったけど、私を無償の愛情で包みこんでくれるママに依存しているのも確かで、あの愛情がなくなったら生きていけなくなるほど、どっぷりとママの愛に浸かっている。


 そうだ!抱きしめるのに連絡本だと固いから、ママのぬいぐるみを作ろう!


 腕の中にすっぽりと入って、乳幼児の赤ちゃんぐらいの大きさで、抱きしめやすいママの人形!勿論!肌触りは良くね!創造!


 手の中にデフォルメされた可愛くなったママのぬいぐるみが造られた。


 持ち上げて見てみると、とってもカワイイ!!売り出したら人気間違いなしだね!

 ぎゅっと抱きしめると、肌触りもよくて、綺麗な人形を汚したくなくって『防汚』を付与した。


 同じ頃、愛子を覗き見していた創造神・フレアディーテが自分に似た人形を抱きしめる愛子の余りの可愛さに『愛子人形』を造って抱きしめて悶えていた。(覗き見しまくり)

 そして、他の神の緊急の連絡で仕事を作らされて、幸せな時間を邪魔された怒りのままに、世界の侵略者をすり潰していた。


 創造神は超絶強いのだ。




ーーーーーーーーーー


「失礼します。アイコ様、4の鐘の頃なら孤児院を訪ねてもいいと返事をもらいました。いかがなさいますか?」


 マリーナが予定を調整してくれた。

 もちろん孤児院に行く。


「その時間でいいよ。ありがとうね」


 この世界には時計は無いが壁で囲ってある都市や街などには教会があって、鐘の音で時刻を知らせる。

 1の鐘は朝起きる時間。2の鐘は働き始める時間。3の鐘は昼食で4の鐘は大体15時頃。5の鐘は働き終わりの時間で1日が回っていく。


 精密な時計は無いけど、魔道具で時知らせの魔道具があり、貴族や裕福な家には置いてあるらしい。

 約束の時間に相手との待ち合わせに遅れると印象が悪くなるらしいから収入がある家は必須の品だ。


 けど、大多数の人は鐘の音を聞いてから行動するのが普通だから、収入が多い人だけ必須って感じ。


 私の能力だと精密な時の魔道具が作れちゃうんだけどね。

 ママが壊れ性能な能力をくれたので。私のイメージが重要なんだけどね。そのあたりは通販でイメージ固めをしようと思う。



 昼食を食べて、ごろごろしながら万ちゃんに王侯貴族の動きを教えてもらっている。


「万ちゃ〜ん。王様と貴族達はどんな動きをしてる〜?」


【王は馬鹿です。兵を出そうとして周りにいる人達に止められています。この首都には愛子様の神力が拡散されているので、王侯貴族が集まるのを待つのではなく神を信じていない者に『罪人』の印を刻んでしまえばいいのではないでしょうか?】


 愛子は少し悩んで「それでいいかもね」と軽く言った。


「万ちゃん、実行しちゃって!」


【了解です】


ーーーーーーーーーー


 贅の限りをつくした王宮では王が怒り狂っていた。


「なぜ兵を出さん!浄化の乙女は偽者だ!我がそう言うのだ!我が法だぞ!お前達!不敬罪にしてやろうか!!」


 先代の『浄化の乙女』が亡くなり、新たにやってきた『浄化の乙女』は王宮に来ずに周辺国から集まってきた代表達に『罪人』の印を額に刻み、王に問い合わせが殺到して、今まで好き勝手に生きてきた弊害で自己中心的な考えしか出来ない王に周りの者は生きた心地がしない。

 なんとか大臣と宰相と王太子の元で命令が止められているからいいが、付きっきりで見ていないと王に近しくなりたい者達が我先にと動いてしまいかねない。


 王は老いた。

 神が実在する世界で、神をも恐れぬ精神が普通の考えな訳は無い。


 王太子は王位を簒奪してでも神に逆らう行為は止めるべきだと考えていたところで、王の額にいきなりついた『罪人』の文字に目を見開いた。


 今だ!今が好機だ!!


 思いが王太子を突き動かした!!


「王の額に罪人の証が出た!!創造神様がお怒りだ!!国と共に滅びたくなくば王を退位させよ!!!」


 宰相に目で合図する。宰相は頷く。


「『罪人』となった王をこの場で退位させるものとする!!北の塔へ幽閉せよ!!そして王太子たる私が次の王となり創造神様の望む国をつくりあげる!!今から私が国王だ!!!」



「王を、いや、先王を北の塔に幽閉せよ!!新王に創造神様の幸あらんことを!!」


 宰相と王太子、いや新王はお互いに『俺っちの額大丈夫だよね?ね?』と目配せし頷き合った。


 何せ城内が騒がしいもので、王の他にも『罪人』が出た事が知れたのだ。



 こうして王宮はしばし騒がしい日々が続くこととなる。


 

 

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