エルフとわたし#13
そふ……?
……祖父!?
「ウェルツティン先生はピュイトのおじいちゃんなの!?」
驚きすぎて、すっとんきょうな声がミアから出た。
先生はクスクス笑ってる。
「えぇ、えぇ、その通りです。……ところでミア様はピュリンハイドのことをピュイトと呼ばれているのですか?」
「? うん。初めて会ったときミアって呼んでってお願いしたら自分のことは“ピュイト”って呼んで欲しいって。やっぱり年上の人を呼び捨てにしたらダメだった?」
「いえいえ、そんなことはありませんよ?是非ピュイトと呼んでやって下さい」
首を緩く振りながら先生は言う。
じゃあ、何で聞いたんだろ?変なの。
祖父とわかって改めてウェルツティン先生を見てみれば、ピュイトの鉱石みたいな瞳のグリーンと、先生の透明なイエローグリーンはよく似ている。
「祖父?エルフは見た目と年齢が違うから、ややこしいな…」
パパもびっくりしながら戸惑ってる。
ミアもエルフだけど、そう思う。
「さてさて、今のうちに条件を話し合っておきませんと、シェファフルト殿が痺れを切らしてしまいます。あぁ、アトラスから聞いたあのお仕置きは傑作でした。エルフの国へ帰ったら出来の悪い弟子に私もしてみましょう」とからからと笑った。
それから色々条件を話し合って、シェファフルトさんにも了承をもらった。
シェファフルトさんは今度は怒りだすことなく、上機嫌でサインして、女神様に誓ってくれた。
「私が命じられているのは愛し子様を連れてくるということだけなのだ。いや、ウェルツティン殿のおかげで上手く事が運んでよかった」
「やれやれ、医者の私が言うのも何ですがあなたは交渉には向いておられないのでは?そのあなたが何故こちらに?」
「陛下直々の命なのだ。その、急にリデル様が同行する事になり警備の都合で近衛隊長の私が選ばれた」
「さようで」
「小さな子供ということで、陛下も私で充分とお考えになったのであろうが、いや、昨日までは命令を果たせないのかと胃が変になりそうであった」
胃の辺りを擦りながら、シェファフルトさんが遠い目をした。
先生に胃薬もらえばいいのにね。
「ねぇ、ウェルツティン先生、ミアは先生がママの治療をしてくれてうれしいけど、先生はここに残って大丈夫なの?」
今さらだけど、聞いてみる。
「もともと少し休暇を取ろうと思っていたので丁度良いのです。王宮は何かと忙しくて疲れるのです。1人の患者を治療するだけならば、のんびりできます。それにのんびりしていてもお給料は出ますしね」
「そっか、ならいいの。で、ミアはいつ村を出るの?」
「そうですね、一度隣村の宿まで戻らねばなりませんので、3日後…でしょうか?」
それを聞いたシェファフルトさんもうんうん頷いている。それを見ていたパパが焦って言った。
「3日!?3日は早すぎです。準備もあります、せめて一週間後にしていただきたい」
「それでは遅い」
「いや、でも……!」
シェファフルトさんとパパが何度が言い合って、ミアの出発は間を取って5日後となった。
「ミア」
パパに呼ばれて側へ行くと両手を肩に置かれて真剣な顔で「よく聞いて?」と言われる。
「ミアはこのままこの人達と村へ下りるんだ。そして、神父様に訳を話すんだ。そしたら神父様と一緒にじぃじのところへ行ってうまく事情を話してもらいなさい。そして、旅の準備をじぃじとゲーテおばさんに頼むんだ。パパはママの側から離れられない。わかったかい?」
「うん、わかった」
「多分今日は遅くなるから、そのままじぃじのおうちで泊まっておいで。帰りは明日の朝、誰かに送ってもらいなさい」
「一人でも大丈夫だよ?」
「だめ」
「はぁーい」
「教会へ行くのなら私も一緒に。久しぶりに孫に会えます」ウキウキした様子のウェルツティン先生。
「私もこちらの教会は初めてですので、祈りをささげてから帰りたいです」
「ならば皆で行くことにするか」
そんな風にしてミアを含めたエルフ一行は村まで一緒に下りることになった。
あ、そーだ、村へ行く前にママに林檎を置いていかなくっちゃ。食欲がなくても磨り下ろした林檎なら食べられるかもしれない。
それなら、面倒な事を頼んじゃうピュイトとじぃじにも渡したいな。
大人の男の人が3人もいるんだし、大丈夫…だよね?
「ちょっと待っててね」
エルフ達に声をかけてから、おうちの中へ。
麻の袋を三枚持ってくる。
「林檎の樹さーんっ、これに入る分くださーいっ」
ストン、ストンといつものように林檎が落ちてくる。
「これは…愛し子様とは不思議なものだ」
この間はいなかったウェルツティン先生が林檎の樹を見上げて、ほぅと息をついた。
「エルフなら皆できるんじゃないの?」
「いいえ、それは無いですね、少なくとも私は見たことがありません」
「ふーん、それじゃ、この林檎の樹さんが特別なのかも」
袋を一枚ずつ渡す。
「「「?」」」
「皆で拾っておいてね?」
ミアはパパとママの2つをおうちへ持っていかなくちゃ。
「私達が拾うのですかっ?」
サーシェルさんがビックリしてる。
「一袋はお土産にあげるね?」と言えば、うっと言葉に詰まり「そ、それならば、まぁ……」といそいそと拾い始めた。
すみません夏休みは終わったのですが、なかなか書くペースを戻すことができずにいます。
しばらくは週一で投稿しようと思います。
引き続きのんびりとお待ち下さいませ。




