ウィゼンベルク村とわたし#45
お引っ越しをして、じぃじのおうちにも慣れた頃、ちらちらと雪が降りだした。
冬の間、ミアはカイ兄ちゃんと村の子達と雪だるまを作ったり雪合戦をしたりした。
ミアは平気なのに、カイ兄ちゃんが「ミアに当てるな!」って怒るからお友達はみんな困った顔してた。
雪が毎日降るけれど、ミアはママの手作りの耳まですっぽり入る炉色の毛糸の帽子があるから寒くなかったよ。
ママは頑張って白い毛糸でふかふかのカーディガンも編んでくれたし、膝まである毛糸のパンツも編んでくれたから、ミアの防寒は村の子供の中では一番だったかもしれない。
皆、そんな薄着で大丈夫なの!?ってカンジの服装でミアびっくりしちゃった。
毛糸の帽子には頭の天辺のところに大きな白いポンポンが付けてある。歩くたびにそれがゆらゆらしてかわいい。最初はポンポンは付いてなかった。毛糸の帽子にはポンポンが付いてるイメージだったからママに頼んで作ってもらおうとしたけれど、ママはポンポンが何かわからなかった。
だから、ミアがじぃじのおうちの大きめのフォークを使って作った。みりあが手芸クラブで、最初に作ったのは、このフォークを使って作るポンポンだった。
ぐるぐる何回も毛糸を巻いて、ぎゅっと縛って、鋏で切るだけだから簡単でちゃんと覚えてる。
鋏はまだ危ないって、切るのはママがやってくれた。確かに子供用じゃない鉄鋏は重くてミアにはまだ無理そうだった。
出来上がったらママも「これはかわいいわ!」と気に入ってくれて、すぐ帽子に付けてくれた。
それをかぶってお外でお散歩していたら、アナお姉ちゃん達と出会って、すぐに「これ何?すごくかわいい!」「ミアのママが作ったの?」「ふわふわ丸くてどうなってるのかしら?」と注目されることになった。
「みあ、ちゅくったよ」と言えば、「「「作り方教えて!!」」」と声を揃えて言われて、じぃじのおうちで教えることになった。
暖炉の前の熊の敷物に皆で座って、持ってきてもらった毛糸をじぃじのおうちのフォークにぐるぐるする。
「これでまたお姉ちゃん達に自慢できるわ」
「そうね、私も隣のうちのお姉さんに聞かれたもの」
「うちはお母さんにも聞かれたわ」
どうやら、“ご挨拶”の日に教えた髪型は村のお姉さん達にブームになったらしい。
「教会のお祈りの日は、みんなあの編み込みの髪にしてるわ」
「そうそう、それで一番似合ってるのは私、って皆思ってるのよね」
「教えてあげたのは私達なのにね」
むむ、こっちでもオシャレで張り合う女の戦いはあるんだ。
みりあの感覚で奇抜な格好したらいけないから、何でもママに相談しよっと。
おしゃべりしてるうちに3人のポンポンも出来上がった。
ころころと掌の上で転がして
「「「かわいい!」」」と、にっこにこだ。
「おぼーしにちゅけてもいいし、ちぃちゃくちゅくって、こーしてちゅけてもいい」
アナお姉ちゃんがしてきたミトンの手の甲部分にポンポンを乗っけてみる。
「あちょ、ひものしゃきにちゅけてもかわいー」残った毛糸の先にポンポンを近づけて、こんなカンジ?と、見せてあげる。
「「「ミア天才!?」」」
えへへ、ミアが考えた訳じゃないけど、照れちゃう。
「ふふふ、ミアありがとねっ!お姉ちゃん達があたしに教えてって絶対言ってくるわ!」
「本当、アナったら負けず嫌いなんだから」
「だっていっつも仲間外れにするのよ!?あたしにだってかわいいもキレイもわかるのに!」
「次はこの、えっと、“ぽんぽん”?でお姉さん達をびっくりさせてあげられるわねっ」
アナお姉ちゃんは背伸びしたいお年頃なのかな?お姉ちゃん達にオシャレで負けたくないみたい。
ポンポンを作り終わったら、ママがホットミルクをみんなに配ってくれたから、きゃあきゃあと楽しく女の子同士でおしゃべりした。
それをパパとママとじぃじがテーブルでお茶を飲みながら見ている。
ちょっと恥ずかしい気もするけれど、それ以上に安心しちゃう。
ミアの居場所はここ。
そんなカンジ。
ポンポンは村のお姉さん達に受け入れられた。
というか、一大ブームになってしまった。
手軽に簡単にできて、冬のオシャレに変化がつけられる。と、大評判らしい。
教会のお祈りへ行った時、若い女の人は皆、マフラーや帽子や手袋に色とりどりのポンポンがついていた。
あと、ミアみたいに小さな子供の帽子にも大きなポンポンがつけられてた。
お散歩の途中で小間物屋のおじさんが「仕入れてた羊の毛糸が全部売り切れちゃったよ」とホクホク顔でミアに教えてくれた。
あれぇ、毛糸はみんな羊じゃないの?「ひちゅじのけーと?ちがうのありゅ?」
「ははは、今ミアちゃんがかぶってる帽子はダズのところのヤギの毛糸だろう?村じゃあ、そっちのが普通だけどねぇ、たまには違う毛糸で編み物したいって人用に少し仕入れているんだよ」と教えてくれた。
ヤギの毛糸はふんわり軽くてやわらかくて温かくて、素肌に触れてもチクチクしたりしない。
ヤギママ、元気にしてるかな。
じぃじのおうちにいる間はダズさんの牧場で預かってもらってる。
明日、会いに行こうかな。
冬の間に赤ちゃんが産まれるってダズさん言ってたから様子を見に行かなくちゃ。
ミア、お姉ちゃんになれる!
楽しみ!
お散歩から帰ると、パパとじぃじ今日はどちらがミアと寝るかで揉めている。ママは困った顔で笑ってる。
「みあ、おにゃかしゅいたー」
キッチンから漂ういい匂いを嗅いだら、キュルルとお腹が鳴った。
足腰鍛えるためにお散歩はかかせないよ!キリリ☆
村の中なら危なくないので(車も知らない人もいないので)ミアは一人でお散歩が許可されているのです。




