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転生エルフとパパとママと林檎の樹  作者: まうまう


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ウィゼンベルク村とわたし#40

そしてとうとう採集当日になった。


いつもより早起きして、準備を整える。

と、いってもミアはいつもと変わらない。

すぽーんのズボッのひょいっのぱくりだ。

デザートの林檎を堪能して、村の皆を山のおうちで待つ。

ここが拠点?になるんだって。

運動会の職員テントみたいな物かな?


そわそわしてとてもおうちの中でなんて待っていられない。

お庭に出てヤギママと皆を待つ。


やがて、ガヤガヤとした大勢の声が聞こえてきた。


お庭の端っこまで行くと坂道を進んでくる人達が見える。

先頭を歩いてくるのはイオさん。

そのすぐ後ろにはカイ兄ちゃんとじぃじがいる!


「じぃーじぃーーー!!カイにぃーちゃーーー!」

おっきな声で呼んで、ぶんぶん大きく手を振ったら、カイ兄ちゃんも「おはよーーミーーアーーー!!」って振り返してくれる。

カイ兄ちゃんの横にはこの間の犬が二匹。

それがミアを見つけたら、猛スピードでこっちへ走りだした。


「ひゃ!?」

やだ、どうしよう、二匹ともすごく速い!すぐこっちにきちゃうよ。

焦っておうちへ戻ろうとミアも走りかけたら、ヤギママがワンピースを咥えてミアを止めた。

「やぎまま、はなしてー。みあ、わんわんやなのー」

離して欲しくてお願いしたら、ヤギママはワンピースを口から離して、その場で座った。

しきりに首を背中へ向ける。

そのしぐさはもしかして……

「のりゅ?」

そしたら、うん、うん、と首を縦に振った。

急いでもふもふの背中に乗る。

ミアが乗ったことを確認したヤギママがすっくと立つのと、犬達が庭に入ってきたのと同時だった。



犬達はワンワン、キャンキャンと大きな声で吠えながらミアを乗せたヤギママ目掛けて一直線に走ってくる。

側までくるとヤギママの回りをぐるぐる回りだした。

うぅ、しっぽを振ってるから、うれしいとか遊んでほしいっていうのはわかるけどやっぱりちょっと怖いよぉ。

背中のもふもふをぎゅっと握ると、ヤギママはゆっくりと歩きだした。

遠くでピィーッと口笛の音がするけど、犬達はお構いなしでぐるぐるしながら、ヤギママに着いてくる。


石積に近づくと、ヤギママは茶色の大きい方の犬をじりっと壁際へ寄せた。ヤギママを見上げた犬に顔をゆっくりと近づけてミアが今まで聞いたことのない低い声で一声、「メ゛ェッ」と鳴いた。

さらに犬におでこをぐりぐりと押し付けて「メ゛メ゛ェッメェェメ゛」と鳴いている。


これ、どこかで見たことあるような……?

あっ!ゆかりお姉さんだ!

みりあが虐められた時にアドバイスしてくれた時のゆかりお姉さんそっくり!

これ、こっちでも有効なの?


犬はヤギママの圧に耐えきれなくなって、ころんとお腹を見せて寝そべって「キュウゥゥン」と鳴いている。

大きいのがそうしたのを見て、小さい黒いのもお腹を見せて寝そべった。


「み、ミア、大丈夫っ……か!?」

カイ兄ちゃんがゼーゼーハーハー息を切らして庭に駆け込んできた。

「みあ、だいじょぶよー」


ヤギママの背中にいるミアを見てカイ兄ちゃんはほっとしたみたい。


「あっ!?お前ら何やってんだよ?」

お腹を見せて寝転んでいる犬達を見て、カイ兄ちゃんは呆れ顔。


「呼んでも戻ってこねぇーし、口笛も無視しやがるし。噛みついてたらヤバイと思って走ってきたら腹出して寝てるし」

「んとね、やぎままのきょーいくてきしどー」

「今日行く敵シド?なんだ、それ?」


ん?響きはあってるけど、何か違う???


「やぎまま、めぇっ!ってしてくれぇた」

「それでこんな腹見せてんのか?こいつら猟犬として大丈夫なのかよ?」


カイ兄ちゃんが犬達を起こして、自分に着いてくるように合図を出してる。


そうこうしているうちに村の人達が、お庭にぞろぞろと現れた。

パパとママもいつのまにかおうちから出てきてる。


男の人が荷車を引いてきていた。

ダズさんのところから借りてきてるのより随分大きい。

それが4台もある。

2台の荷車には籠や梯子や布の袋やロープや色々な物が積んである。それを今度は皆で手分けして下ろしてる。


男の人達はパパに「よろしくな」とか「頼むぜ」とか話しかけてる。


「メェェ」なぜかヤギも三匹いる。

あ、ダズさんだ。ヤギを連れてきてるのはダズさんなのか。どしてかな?


女の人もたくさんいる。

何なら女の人の方が多いくらい。

おばさん的な年齢の人からお姉さんくらいの人がたくさん。

あと、何故かカイ兄ちゃんくらいの子供も何人かいる。


「ミア!」

呼ばれた方を見てみると村で遊んだ、アナお姉ちゃんに、ベスお姉ちゃん、エミーナお姉ちゃんが立っていた。


「あんたこんな遠いとこに住んでたのね」

三人は皆の輪から外れてこちらへ近づいてきた。三人とも今日はズボンを履いている。

ミアの側にいるカイ兄ちゃんに気がつくと「またミアに意地悪してるのっ!?」と怒りだした。


「えっ!?オレ何にもしてねぇぞ」

「かいにぃちゃ、ちゃんとみあにあやまっちぇくれたからだいじょーぶ!みあとあしょんでくれるよ!」

慌てて濡れ衣を晴らしてあげる。


「そうなの?ならいいんだけど」


「そろそろ出発するぞーっ!」

大人同士で話し合っていたイオさんが大きな声で皆に号令をかけている。


「大変!私達もあっちにいかなきゃ!」

「またね!」


三人とも慌てて皆の輪の中へ帰っていった。

「ミア、オレも行ってくるな!」


「うん、いってらっちゃ!」

ヤギママはゆっくりお庭の端まで行ってくれるから、ちゃんと皆のお見送りができそう。


じぃじはおうちに残るんだって。


ミアとママと一緒にお留守番だね。


パパとイオさんとカイ兄ちゃんとアナお姉ちゃん達に手を振る。


「いってらっちゃーい!きをちゅけてねーーっ!」



暑いですね。

猛暑、酷暑どころか、殺暑とでも名付けたくなる暑さですね。

すでにバテてしまいました。

何をするにしても、やる気がどんどん削がれます。


皆様も熱中症には本当に本当にお気をつけくださいね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 乱暴な3兄弟も居たけど優しい話だな。ほのぼのな小説で和んでるから急なシリアスが来ないように祈ろ
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