表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生エルフとパパとママと林檎の樹  作者: まうまう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/210

ウィゼンベルク村とわたし#30

「ミアおはよう」

すりっとほっぺに温かい感触。

そしてちゅっと柔らかい感触。

おはようのキスだ。


「ぱぁぱ、まぁま、おはよぅ」

ふぁあぁ~って大っきなあくびをして、見慣れない部屋にいるのに気がついた。キョロキョロしたら「じぃじのおうちよ?」って「お泊まりしたの忘れちゃったかな?」って。

そーだった!

じぃじのおうちにお泊まりしたんだった!

開けられた鎧戸からは薄曇りの空。すぐに降りそうにはないけど、昨日の夜パパが言った通り今日は雨っぽい。

いつも通り寝間着をスポーンっ、ワンピースをズボっと着させてもらう。

エプロンもつけて、お着替え完了!

パパとママとお部屋を出ると朝ごはんのいい匂いがしてきた。

「ミアのお耳が早速ぴこぴこしてるね」とパパが笑ってる。もぅ、どうして動いちゃうのかな。ミアそんなに食いしん坊じゃないのに!


食堂へ行くと美味しそうな朝食がもう並べてあった。赤と白のチェックのテーブルクロスがカントリーぽくってかわいい。

「おはよぅごじゃいましゅ」ミアが1番に挨拶したよ。

じぃじはもう座っていて「おはよう」と一つ頷いた。そのままじぃじに掬われてお膝の上に乗せられる。「うちには子供用の椅子がないのでな」ミアはじぃじのお膝の上で朝ごはんを食べるのかな。パパをちらっと見ると、ぶすっとしながらも小さく頷いたので、これでいいみたい。

テーブルの上には小さめの丸パンが籠に盛られている。それぞれの前に置かれた陶器のお皿には薄切りにされて少し焦げ目がつくまで焼かれたベーコンにスライスされたチーズ。それにココットみたいな器に何かどろっとした白いもの。「ミアちゃんのは特別だよ」と、ゲーテおばさんがココットの中に角切りの林檎を入れて、蜂蜜を一匙垂らしてくれた。わかった!ヨーグルトだ!真っ白なヨーグルトに林檎の薄黄色、蜂蜜の黄金色がきらめいて、すっごく美味しそう!

みんな席に着いたら「いたーきましゅ!」

早速ヨーグルトに手を伸ばしたら、ママが器をすすす……って遠ざけた!

ママを見ても、パパを見ても、ゲーテおばさんを見ても、誰もヨーグルトをミアに返してくれない!

はっ!じぃじ!ミアにはじぃじがいるよね!って気がついて後ろを振り返ってじぃじを見つめた。必殺、孫娘のきゅるるん上目遣いだよ!

「よーぐぅと、たべりゅ」そしてあーんと口を縦に開けた。

「ぐっう」とじぃじの喉から変な音が出た。

「いいじゃろう」って言ってくれると思ったのに、じぃじがミアに言ったのは「ぱ、パンを先に食べなさい」だった。テーブルへ顔を戻すとゲーテおばさんがパンの入った籠をずいっとじぃじに向かって押し出していた。

パンも食べるよ?でもヨーグルトが先でもいいのに!

じぃじがバターをつけたパンをミアの口元まで近づけてくれるから、ミアはもぐもぐするだけの簡単なお仕事です。おうちのパンに比べて白くって、ふわふわのところが多い。ミアでも食べやすくってあっという間に1個食べちゃった。ベーコンもチーズもミアの分はしっかり食べたよ。

「まぁま、よーぐぅと、ちょーだい」

「えぇ、もういいわよ」って、やっともらえた。小さい木のスプーンも渡された。じぃじがスプーンをミアからもらおうと手を差し出すけれど、少しは自分で食べる練習しないとね。

「じぶんでたべれゆ」

スプーンをヨーグルトに差し込むと、ちょっとぽにょんってした。丁度よく林檎と蜂蜜が一緒にスプーンにのるようにっと。

このヨーグルトは水分が少なめみたい、掬った感じがしっかりしてる。

ぱくりと口に入れる。

「おいふぃ!」

みりあが食べてたヨーグルトより酸味が少なくってまろやかで濃厚!林檎のしゃくしゃくと蜂蜜独特の甘味と香りがヨーグルトにあってる。美味しい!

夢中であむあむと食べていたら、みんながミアをにこにこしながら見ていた。

その目は“かわいいね”とか“大好きだよ”って言ってるみたいで、胸がきゅうってして、それから温かい何かが身体中に溢れる気がした。

ちょっと照れ臭くなりながら、できる限り上手にスプーンを動かして器に残らないようにきれいに食べた。

「そんなに好きならこれも食べるといい」じぃじが自分の分のヨーグルトをミアの前に置いた。

「……いい、いらにゃい」って首を振ってお断りしたら表情を変えずにショックを受けていた。

だって、じぃじのには林檎も蜂蜜も入ってないんだもん。先にスペシャルなのを食べちゃったのに、後からノーマルを食べる気にならないよ。

ちょっぴりじぃじが可哀想だし、今度はミアが食べさせてあげよう。

じぃじの分のスプーンを取って「はい、あーん」って掬ったヨーグルトをじぃじの口に近づける。「う、うむ」最初は戸惑ったみたいだけどすぐに慣れたのか、次はすぐに口を開けてくれた。じぃじ、ヨーグルトなのに噛み締めるように食べてる。ふふ、おかしい。


「おいちぃ?」

「うむ、これはいつものより美味い」


じぃじはとっても満足気。

ミアも美味しい朝ごはんが食べられて大満足!


ミアのお話も60話を越えて、100,000文字も越えることができました。

一話が短くて皆様には物足りないかと思いますが、引き続き読んでいただけると嬉しく思います。


いいね、ブクマ、評価、ありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ