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転生エルフとパパとママと林檎の樹  作者: まうまう


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ウィゼンベルク村とわたし#17

しばらくしたら泣きやんだので「おにゃかすいてりゅ?りんごたべりゅ?」と聞いてみた。

「いいのか?朝メシは食ってきたんだけど、ここまで歩いて来たら腹減っちまってたんだ」

「ん、ちょっとまっちぇちぇ」

「ミアが取るのは無理だろ?オレが登って取ってく……」

「りんごのきしゃーん、ふたぁちゅくだしゃーい」

「……る」

広げたエプロンに2つ、林檎がぽすんっと落ちてきた。

「!」

「はい、どーじょ」2つとも差し出す。

「すっげーな!どーなってんだ!?」

「わかんにゃい」

ミアにも愛し子だからなのか、エルフだからなのかわかんないもん。

「まぁ、食えりゃいっか!」

「いっきゃ!」


しゃくしゃくと気持ちいいスピードで林檎を食べるカイ。もう2つ目だ。

「ミアんちは林檎食べ放題でうらやましいぜ。この林檎甘くてすげぇうめぇ!」

「もっちぇかえっていーよー、まぁまにあげちぇ」

なんてったって、もいでももいでも実をつけるミアの林檎の樹だからね!

「いいのか!?母ちゃん喜ぶ!」

にかっと笑ったカイは犬歯のところの歯が抜けていた。

「みあ、しゃんしゃい。かい、なんしゃい?」

「オレは8才だ」

「かい、おにーしゃん。かいにぃちゃね!かいにぃちゃでい?」

「オレ……兄ちゃん?」

「やー?」

「ち、ちがっ、いい!カイ兄ちゃんでいいっ!!」

良かった、みりあの感覚だと何となく年上は呼び捨てにしにくい。ピュイトはなんか秘密を共有した仲間みたいで呼び捨ても有りかなって思ったけど。


「オレ、兄ちゃんかよ」と口元をにやつかせてるから喜んでるならよかった。



気がついたら、パパとイオさんがいない。

「ぱぁぱ、どこ?」きょろきょろしたけどお庭のどこにもいない。

「あぁ、山に罠を仕掛けに行ったんだろ。今日は父ちゃんが見本を見せるって言ってたからな。昼すぎたら帰ってくるぞ」

いつの間にか山へ出掛けて行ってしまったらしい。


「なぁ、ミア、この丸なんだ?」カイ兄ちゃんが指差したのは、ミアが地面に書いたぴょんぴょんぱの丸だ。

「こりぇね、こーやってぴょんぴょんしゅるの」

ぴょんぴょんぱっ!をやって見せる。

「ほんちょはね、ひとちゅのまるのとこりょはあんよはひとちゅなの」

片足を上げて見せるけど、グラグラしてすぐ足をついちゃう。

「かいにぃちゃ、できゆ?」

「そんなの簡単だろ?」と言って最初の丸に立つと、けんけんぱ!と鮮やかに最後まで進んでしまった。さすが8才。

「かいにぃちゃ、しゅごい!」尊敬の眼差しで見上げると「だ、誰でもできるぞ!?」と顔を赤くしてる。

「みんにゃできゆ?……みあ、できにゃい」

こっちの世界でもやっぱり運動音痴なのかなぁ。

あの時、欲張ってセラスティア様に運動音痴は嫌だってお願いすればよかったかな?しょんぼりだ。

「オレが手を持っててやるよ。そしたらグラグラしねぇだろ?」

「そしたりゃみあもできりゅ?」

「た、たぶん?」

左足を上げるから、左手を繋いでもらう。

せーの、けん、けん、ぱ!

「できちゃ!!」やった!

思わずカイ兄ちゃんに抱きついた。

「みちゃ!?できちゃよ!!」

「お、おぉ、おぉお、できた。できてたぞ」カイ兄ちゃんのお顔が真っ赤になった。

誰でもできるのに、こんなに喜んじゃってるの見て、逆に恥ずかしくなってる!?くそぅ、運動音痴の気持ちは動ける人には理解されないのかも。

それでも頭を撫でて「よ、よかったなっ」って言ってくれた。

「ほ、ほら、練習すれば手を掴んでなくてもできるようになるかもしれねぇぞ?」

「やりゅー!」

こうしてずっと手を繋いでもらってけんけんぱの練習をした。

ミアのお膝と脹ら脛がぷるぷるしてもう練習できなくなったころ、パパとイオさんが山から帰ってきた。


「何をしているのかな?」優しいお顔のパパ。ミアはカイ兄ちゃんにおんぶされてる。

「おっ、カイに遊んでもらってたのかー?」ミアの頭とカイ兄ちゃんの頭を交互にぐりぐりするイオさん。

「いっぱーいれんしゅーしたの!しょしたらあんよぷるぷるしゅる!」けんけんぱの丸を指差しながら説明する。

「かいにぃちゃね、おててちゅないでくれたのよ」

「ふーん“お兄ちゃん”ね。うん、“お兄ちゃん”ならいいよ?うん、妹としてミアをよろしくね、カイ兄ちゃん」

パパの優しいお顔がずいっとカイ兄ちゃんに近付けられる。

「カイがビビってるから、そのへんにしてやってくれや。よーし、ミア、おじさんのところへこーい」

イオさんがカイ兄ちゃんの背中からミアを掬いとって自分の首の後ろへと乗せてくれる。

肩車だ!

すごい!みりあの憧れだった肩車!ちっちゃい子がお父さんの頭にしがみつくあれ!

パパよりも背が高いイオさんの肩車は普段のミアの視点と全然違う!遠くまで見えてスゴい新鮮!

「いおおぢちゃしゅごい!!」

「怖くねぇなー?なら、動くぞー」

ミアを肩車したままカイ兄ちゃんと追いかけっこ。「きゃーーーっ♪」キャッキャッとはしゃいでいたら、パパがガックリと地面に膝をついた。

「……ミアはパパよりイオの方がいいの?パパ、もう用なし?」パパの目、死んだ魚の目になってる……!?


「か、返すっ、ちゃんと返すって!」

イオさんが慌ててミアを下ろしてパパの前に置いた。

「ぱぁぱ?」ミアからすりすりもにもにしてあげる。

「……ミア」

「ぱぁぱ、だーいしゅき」

「パパもっパパもミア大好きだよっ!」

ひしっと抱きしめあう。



いつの間にいたのかママが、なにをしてんだか。って目でミア達を見ていた。


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