ウィゼンベルク村とわたし#15
村の外周に沿って、またヤギ牧場まで戻ってきた。
たくさんのヤギがいてもヤギママは一際白くって目立ってるからすぐわかる。
「やーぎーまーまー!」って呼んだらすぐこっちに来てくれた。
「おぅ、戻ったか。どうだ村長との対面は上手くいったか?」
ダズさんもすぐ来てくれた。
「あぁ、何だかよくわからないうちにミアを孫娘だって認めてくれたよ。ついでに僕達の事も」
「そりゃよかったじゃねぇか!なんだ心配して損したぜ」
ガハハと笑ってパパの肩をバシバシ叩く。
「おそょくなっちぇごめんにぇー」
ミアはヤギママのお顔をなでなで。
ん?ヤギママ、仲間と一緒にいたからか何だか臭い!ミア帰りも乗って帰るのに。
「くりぃーん!」
パァッと一瞬だけ青白く光って、ヤギママは元通り、真っ白つやつや臭くないヤギママになった。
これでよし!
「は!?おまっ、そ、それ、く、クリーン!?」
ダズさんがプルプル震える指でミアを指差している。
「くりーんよ?」
「お前んちのヤギがやたら白いのはそれのせいか!?」
じりっとパパに詰め寄ってる。
「たびゅん?」
「ミアはエルフだもんなー」
「えるふだもんにぇー」
またパパに抱っこされて、すりすりもにもに。うふふ、あははとやっていたら
「な、なぁミア?頼みがあるんだがな?」急に腰を低くして、揉み手なんかしながらダズさんが話しかけてきた。
「ちょっとうちのヤギ達にもそいつをかけてほしいんだよ」
「いいけじょ、くりーんはいちにち6かいのおやくちょくだから、あといっかいしかできにゃいよ?」
ミアはお約束を守れる良い子なんだからね。
「そ、そうか……」
「いっかいでもい?」
「おぉ、それでもいいや、頼むわ」
「どのやぎしゃん?」
「どれでもいいぞ。汚れはたいしてどいつも変わらねぇから」
「わかっちゃ」
んーと、どのこにしようかな。
本当だ、どのこも同じぐらい汚れてて狙いが定められない。
いいや、適当にあのたくさん集まってるところへ向ければ、どれかはキレイになるんじゃない?
「くりぃーーん!!」ちょっと距離があったのでいつもよりたくさん気合いを入れてみた。
そしたら、集まってたヤギみんながパアッと青白く光った。
「あれっ?」
そこにいたのは白く輝くヤギの群れだった。
「あれれ?」
「み、ミア!体は大丈夫かい!?い、今からでも神父様のところへ行ってみてもらうかい!?」
パパが血相変えてミアの体を撫で回す。ママはおでこに手を当てて熱を計ってくる。
「なんともないよ?」
特に異常は感じない。普通だ。
「「本当に?」」
「ほんちょーに」
強いて言えば……
「おにゃかしゅいた」
ミアのお腹がキュウって鳴いた。
顎が外れたように口を開けっ放しにして白くなったヤギ達を見ていたダズさんが「エルフってのはすげぇんだな」と呟いた。
「こんなすげぇことをしてもらって礼の一つも渡さねぇんじゃな、ちょっと待っててくれ」と空の荷車を引っ張っていった。
しばらくして戻ってきたダズさんが引く荷車には何だか色々乗っている。銅の色したあれはミルク缶?
「これはヤギのミルクだ。それからこっちの袋はチーズだな。あとはパンも少し入れてある。帰ったら食ってくれ」
「こんなによかったの?」
「増えた分を今度行商に売るんだが、白いやつは高く売れるから心配いらねぇよ」
「そう?なら、遠慮なく頂くわ。ありがとう」
「みあ、ごはんにちーじゅたべゆ」
お腹がさらにキュルルと鳴いた。
返すつもりだった荷車をまた引っ張って家路を急ぐ。ミアはまたヤギママの背中に乗せてもらう。そのまま寝ちゃったので帰りはあっという間に着いちゃった。ヤギママの背中は適度にゆらゆらとして温かくてふわふわで最高だった。
夕飯はママも疲れちゃったから簡単に済ませることになって、軽く炙ったパンに、これまた炙ってとろっとしたチーズを乗っけたやつだった。
これ、あの山でおじいさんと暮らしてる女の子のアニメのそのまま!
かぷってかぶりつくと熱々チーズがとろーんとして美味しいーーーっ!
パパとママもたくさん歩いてお腹が空いてたみたい、みんな無言であっという間に食べきっちゃった。
デザートに林檎を食べて。
パパとママとミアに一度にクリーンをかけて。
一瞬回数のことが頭に浮かんだけれど、あんなにたくさんのヤギにクリーンしてもなんともなかったんだから大丈夫だよね。
パパとママも何にも言わないし。
3人でベッドに入った瞬間に眠っちゃった気がする。
何だか一日で色んな事がありすぎだよ。
ふふ、初めておじいちゃんとおばさんができた。
女神様、今日もありがとう。
大きな骨付きのお肉もいいですが、憧れのアニメ飯はやっぱりこれかもしれません。




