ウィゼンベルク村とわたし#4
「愛し子。この子が、ミリアンジェが愛し子……あの光はやはり祝福!あぁ、生きてるうちにそのような存在とまみえることができようとは……!」
神父様は感極まった顔でミアを見つめた。
「愛し子ということであればまずは王都の大聖堂の大司教様の元へとお連れすべきか?いや、まて、それより先にエルフ郷の神殿へと連絡してそちらへ行くのが先、か……?」
告白を聞いた神父様は、ぶつぶつソワソワと忙しなく同じところで行ったり来たり。パパとママはミアが連れて行かれちゃうかもしれないって聞いて焦ってる。
「待って下さい、神父様!ミアはどこへもやりませんよ!?」
ママが叫ぶように神父様に抗議する。
神父様は思ってもない事を言われたようできょとんとした。
「何を言っているのです?女神様より預かった愛し子なのでしょう?このような小さい村ではなく、きちんとした指導者の元で大切に守られて育つべきです」
「私達夫婦にもミアは育てられます!」
ママは神父様から隠すように、ミアを抱いているパパの前に立った。
「いいえ、そうは思いません。あなた達では愛し子でありエルフであるミリアンジェを育てるには無理があります。実際カッツェは私にエルフの魔力の事を尋ねてきました。エルフのこともわからず教えられない、その他の教育も衣服も食事も充分に与えられますか?女神様から託された愛し子に不自由をさせるなんて考えられないことです」
神父様はキッパリと言い切った。
「あ、……それは……」
ミアを抱っこするパパの手にぎゅっと力が入った。
パパは反論できなくて黙ってしまった。
ダメ!このままじゃ神父様に押し切られちゃう!!
「しんぷしゃま、みあとふたりでおはなしして?ぱぁぱとまぁまはしゅこしおそとでまっちぇちぇ?」
抱っこしてくれてるパパの腕をポンポンと叩く。
「ミア?」
「ミリアンジェ、あなたのことを話してはいますがこの話はあなたにはまだ難しいと思いますよ」
「ミア、大丈夫だ、ミアをどこかへ連れてなんていかせないから少し待っていなさい」
「みあ、しんぷしゃまとおはなししたいの。だいじょーぶ、みあ、じょーずにおはなししゅる」
「……カッツェ、マリッサ、私も愛し子が何を話してくれるのか興味があります。しばし時間をくれませんか?いくらなんでもこの場で拐って連れ去ってしまおうなどとはしませんから安心して下さい」
「でも…」
それでもママはまだ不安そう。パパもまだ納得のいかない顔をしている。
「本当に二人でお話しするの?パパはいちゃダメ?」
「だめーなの」
「……わかりました。ミア、パパ達は扉のすぐそばにいるからね」
ため息混じりのパパ。
「しゅぐよぶねー」
パパがママの肩を抱いて扉へ歩いて行く。開かれた扉から外の明るさが入り込む。パパとママはこちらを振り返り、そして静かに扉は閉められた。
さっきまで抱っこされていた温もりがすっと消えていく。
私は神父様の目をひたと見据える。
「ちゃて、おはなちしまちょーか」
大丈夫、みりあは大人と話し合う機会が何度もあった。
施設のある地域の役人さんや、そういった施設の運営が適切かを見張る団体の人、カウンセラーさんや、施設の所長さん。他の普通の子供に比べたら大人と“ちゃんと”話し合うことは多かったはず。
ミアは絶対にパパとママから離れないんだから!




