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転生エルフとパパとママと林檎の樹  作者: まうまう


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パパとママとわたし#18

いよいよ明日が“ご挨拶”という日、ママは朝からキッチンで甘い匂いをさせている。

濃厚な香りが家中に広がっている。

「まぁま、なぁに?なにちゅくってるの?」お鍋を指差して尋ねる。お鼻とお耳のピクピクが止まらない。

「ミアのだーいすきな林檎を蜂蜜で煮ているのよ。“林檎の蜂蜜煮”ね」

「りんごのはつゅみちゅに!」

なんて素敵な響き!

嬉しくなってのパパの足の周りをグルグルする。

りんご♪はつゅみちゅ♪りんご♪はちゅみちゅ♪

「はやく!はやくいたーきます、よ?」

待ちきれなくて自分の椅子によじ登る。

ふんす、ふんすと独りでに鼻息が荒くなる。

「あー、残念だけど、これはすぐには食べないわ。1日置いた方が美味しくなるのよ」

「ふぇ!?」

そんな!こんなにいい香りを振り撒いているのに今は食べられないなんて!

途端にお耳がしなしなとしょげた。

「…たべるの、あちた。もっとおいちくなる……」

しょんぼりを通り越してしなしなになっていたら

「ほ、ほらミア今日もパパと一緒に食べようっ」とパパに抱き上げられていつものお膝の上になった。そんなミアとパパを見てママは笑ってる。

「しょうがないわねぇ、今日だけよ?」

いつもの薄く切ったミアのパンに蜂蜜を塗ってくれた。

蜂蜜を塗ったところがつやつやと黄色くなっている。いいの?って見上げたら「召し上がれ」って。ぱくりとひとくち頬張ると甘さが口の中でとろけた。ふぁ~あまーーーい。

そういえばミアになってから、こんなに甘い物を食べたことなかったかも。

林檎の蜂蜜煮のお鍋はことこと静かな音をさせている。

明日がすごーく楽しみ。


「やっとミアのお耳元気になったね」

いつの間にかパパは自分の分を食べ終わってる。パパはミアに林檎の最後の一口を食べさせると「今日は早めに帰ってくるよ」とママに伝えてお仕事へ行った。


ミアとママは洗濯物を集めて「クリーン!」して畳んでタンスへしまう。

1日6回までに決まってるから、今日は洗濯物で1回、水瓶に1回、ヤギママに1回、夜寝る前にみんなにかけることにする。


クリーン以外のお手伝いもするよ!今日は流し台のお掃除。新しい水を入れる前に、水瓶の中に残ってる古いお水で流し台を洗うんだって。ママが水瓶からお水を汲んで流してくれるからミアはごしごしするの。渡されたのはタワシにそっくりな何か。

「まぁま、こりぇ、にゃに?」

「ごしごしするための道具よ。ワシワシの実でできてるのよ」

踏み台に立ってごしごししながら、詳しく聞いてみたらワシワシの木にこのままの実がつくんだって。最初は緑色で中の種が熟すと枝からぽろりと落ちてくるんだって。それをそのまま拾ってきて日向で乾燥させると茶色になる。真ん中の種がころっととれたらタワシとして使えるようになるらしい。指を突っ込んでみたら真ん中にビー玉くらいの空洞があった。地域によっては擦って洗うことを「ごしごし」じゃなくて「ワシワシ」って言ったりするらしい。

木でできた流し台は油断するとヌルヌルになって気持ちが悪いらしい。クリーンの回数が増えたらここもミアがやってあげるね!ママと約束したよ。

水瓶が空になるまでお水を流したら、新しいお水を汲みに行く。

重たい桶はミアには持てないから、流しから外に出たはずの水を探しにいく。

外へ出て、壁から樋が出てるところを見つけた。下に水瓶より少し小さい壺が置かれていて樋は壺の口の上まできている。さっき流した水の残りがポタポタと垂れていた。

このままだといつか壺は排水でいっぱいになっちゃう。これも汲んでどこかへ捨てているのかな?

水汲みが終わったママの指を掴んで、壺まで連れてくる。

「まぁま、おみじゅいっぱいどこ?」

「あらあら、ミアにも“なんでどーして”の時期がきたのかしら?」

ママはおかしそうに笑って教えてくれた。


ミアはこっちの世界にきて一番のカルチャーショックを受けたよ!!


なんと壺の中には生きてるスライムが入れてあるらしい。

家庭用の無色スライムは何でも消化吸収してくれるんだって。なので、野菜のクズや動物の骨なんかが水と一緒に流れてきても平気なんだって。分裂して増えたりもするんだけど、寿命で死んじゃうのもいるから(それも他のスライムが吸収するらしい)大体最初と同じ数が壺の中にいるらしい。

「そぉねぇ、この中に入れたのは4匹だったかしら?トイレに入れたのは確か6匹ね」

「!?」

なんとトイレも同じシステムだった!!

ぼっとんなのに臭くないって思っていたらスライムのおかげだったよ!

「にげたりしにゃい?」

トイレからズルズル這い出してくるのを想像して怖くなる。

「吸収するものがあるうちは大丈夫よ。昔、空き家になっちゃった家から逃げ出したっていうのを聞いたことはあるけど」

住んでる間は大丈夫らしい。

そんなことを言ってたらトイレに行きたくなってしまった。でもスライムと聞いてしまったら、なるべく行きたくはない。もじもじしていたら「トイレね?」と見抜かれて連れていかれてしまった。

いつもよりママの手を強く握る。怖くておしっこが出るまでにいつもより時間がかかっちゃった。慣れれば怖くなくなるかな?

流しで手を洗って、この水も外のスライム達が吸収するんだなぁ。と、見送った。


こっちではスライムはカプセルじゃなくてトイレにいる。

大事なこと覚えた。






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