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転生エルフとパパとママと林檎の樹  作者: まうまう


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エルフの国のわたし#28

「いやぁぁ! お母様、お兄様、その姿は何ですの!?」


口に飛び込んだ毛虫を吐き出そうとゲホゲホと咳き込んでいた3人だけど、ヴィヴィアンヌの叫び声で顔を上げた。

上げた顔が目の前にある鏡に映ってよく見えているはず。


「ヒィッ!」


鏡にすがり付くようにして、自分の顔をまじまじと見つめる母親。

そこに映ってるのは“おてもやん”

のっぺりとペンキみたいに塗られた白粉に、極太油性ペンで書いたみたいな短い麿眉、どピンクのまん丸チーク、それにおちょぼ口に塗られた真っ赤な口紅。

極めつけにお歯黒にもしておいた。


「何なの!? 何でこんな!?」


慌てて袖でごしごしとものすごい勢いで顔を擦り始めたけど、残念、落ちません。

水で洗っても、お化粧落としのクリームでも落とせないようにしちゃったもんね!


「いやぁぁぁぁっっ!!」


すごい悲鳴を上げていて、多分真っ青になっているんだろうけど、“おてもやん”だからわかんないや。

もうこれ以上は見たくないとばかりに床に突っ伏しちゃった。


人の顔を笑う人は、自分の顔も笑われればいいんだ。

そしたら、少しは人の気持ちがわかるでしょ?



「ぐっ」


取り乱している母親の隣でどんどん変化してるのはデゥリック。


ミシミシと痛そうな音がして、顎がぐぐっと伸びている。


お世話係のお姉さん達に聞いたら、デゥリックはどうもナルシストっぽい。

何でも自分が一番だって思って、いつも人を馬鹿にしてくるんだって言ってた。

勝手にお茶会に来たときもそんなカンジだったもんね。


ちょっとは痛かったのかも?しきりと耳の下辺りを手で押さえてる。


「……っ!!」


顎を触って違和感に気づいたみたい。


目を見開いて鏡を見つめてる。


「わ、私の顔が……!!」


伸びてにゅっとつきだした顎のせいで顔の大きさが1.5倍ぐらい、バナナにそっくり!

どぉ? 自慢の顔を自慢できないようにしてあげたよ。

蹴られたミアの顎が割れて、それをパパとママが悲しむようなことになったら人生が終わってたかもね?


呆けて鏡を見てるけど、お仕置きは顎だけじゃないからねっ。

小さい子を蹴るような足はいらないよ。


でも、切ったり失くなったりはさすがにかわいそうだから、そんなことはしないけどね。


そろそろかな?


「痛ッ!」

デゥリックは急に叫んで慌てて蹴るようにして靴を脱いだ。

ピカピカの靴が床に散らばる。


「お兄様、どうなさったの!?」

「き、急に足が痛くて熱くなってきたのだ」


靴を脱いだデゥリックの足は風船が膨らむみたいに、むくむくと全体に大きくなっていく。

靴下がビリビリに破れて足首のところにだけ残っている。

パンパンに膨れた足はピエロの大きな靴みたい。



ぷぷっ、“バナナ・ビッグフット”の出来上がり。


「うあぁぁ! 何だこれは!!」

地団駄を踏むように足をダンダンと床に打ち付けているのが余計にピエロっぽい。


これで二人ともしばらくは人前に出られないよね。

上段にいるみんなは「ぷっ」とか「くくっ」とか笑いをこらえるのに必死だ。



「これは(わたくし)に対する仕返しなのね!?」

ゆらりと床から起き上がったおてもやんがリデルのママに向かって金切り声で叫んだ。

「あら、何か仕返しされるようなことをしたの?」

ニコリと微笑んでリデルのママが答えると「そ、そんな訳ないでしょう!! とにかく何でもいいから早くこれを何とかしなさいよッ!!」と食ってかかった。


「そう言われても(わたくし)には無理でしてよ?」

そうですわよね?と後ろを振り返りティティさんと頷き合うリデルのママ。

「じゃあ、そこの老いぼれの仕業なのね!? 早く元に戻しなさいっ! (わたくし)が王妃になったら死んでも神殿から出られないようにしてやるからッッ」

「母上、私にお任せください」

デゥリックが拳を握りしめて、壇上に上がって来ようとする。

大きくなった足がペタペタと足音を立てる。


「母上!大叔母様!」

リデルがママとティティさんの前に立って両手を広げた。


殴っていうことをきかせる気なの!?

信じられない!

ミアみたいに子供を蹴るのも信じられないけど、女性や年配の人を殴るなんて!!


……今度は両手がどうなってもいいんだ?


創造(クリエイト)! ウォルデゥンのお手ては子供の手!!」

ミアがビシッとウォルデゥンを指差して魔法を使えば、握りしめていた拳はみるみるうちにミアの手ぐらい小さくなった。

「はぁ!?」

ウォルデゥンは信じられないものを見る目でミアを見て、小さくなった両手を何回かグーパーする。

「貴様ッ、切り刻んでやる!!!」

小さくなった手のひらに魔力が集まり始めて、風がおこされて髪が揺れる。

だけど、それはほんのちょっとの間で、手のひらに集められた魔力はすぐに消えた。


「な、なぜだ!?」


ここ、謁見の間だよ?

王様が色んな人に会う場所だから魔法封じがかかっている。

だからここで会うことに決めたんだもん。

そんなことも知らないなんて、本当にエライ貴族なのかな?

そしたら、これも知らないのかな?

“魔法封じ”がかけてあっても、それより強い魔力を持っていれば使えちゃうってこと。




『ひれ伏せ』


言葉に魔力を含ませて命令する。



3人は這いつくばるようにして床に伏せた。






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