エルフの国のわたし#5
「うれしいっ、ありがとう!」
どれにしようかな。
みんなぽわっと光っていてとってもキレイ。
普通の石ころみたいな形のもあるし、削った鉛筆みたいなので細いのも太いのもある。
濃い青もキレイだし、ぼんやりと光る薄い紫色も幻想的でステキ。
透明なのは絶対いるよね。
だってお日様の光が当たったら、きっと虹ができるはず。
どれにしようかな、薄いピンクや黄色もあったらキレイなのにな。
そう、心の中で思ったら、ミアの回りの聖石がピンクや黄色に変化した。
「ええっ?」
「そなたはすでにこの聖域の主と認められておる、そなたの望みに聖石が応えたのであろう」
いっぱいいっぱい悩んで、牛乳瓶ぐらいの鉛筆型の透明と藍色とピンクがかったラベンダー色に決めた。
不思議なことに白い岩に生えてるのに、ミアがちょんっとつついたらぽろっと取れた。
山のおうちの日差しが当たる場所に置こうっと。
パパとママとみんなで眺めるの。
あと、リデルの瞳にそっくりな澄んだアイスブルーのを拾った。
ミアの握りこぶしぐらい。
心配させちゃったから、きっと文句言われちゃう。
そしたらこれで許してもらおう。
こんなにキレイな石だもん。
きっと許してくれるはず。
聖石は手で持ちきれなかったから早速教えてもらった創造で小さなトートバッグを作って入れる。
ファスナーを想像したけど、それはダメみたい。
紐で結んで中身が落ちないようにするのになってた。
でも柄はミアが想像した通り、かわいいさくらんぼ柄!
「えへへ」
満足していたら声をかけられた。
「……そろそろ行くか?」
「うんっ」
「神殿の祈りの間へ転移させる」
「ま、待って!」
手を振って転移させようとするのを慌てて止めた。
「あの、あのね、ミアにはもうパパがいるの。だからあなたのことをパパとは呼べない……」
「……そうか」
「でもね、えっとご先祖様?親戚のお兄さんみたいには思えるよ?」
この世界でたった一人のミアと同じ存在。
一人きりは不安で怖い、よく知ってる。
永い永い時を、ずっと一人で過ごしてきた彼はみりあより寂しかったはずだ。
そう言うと、少し悲しそうだった顔に柔かい微笑みを浮かべてくれた。
「今日から家族だよ。これからもっとたくさんお話して、仲良くなろう」
「……あぁ、そうだな」
「でね、ミア考えたの。名前がないと呼べないからミアがつけてあげる」
「私に名を……?」
「“ジーン”、ミアのたった一人の同族の名前だよ」
神のようで、人の造り主、“オリジン”の後ろをとって“ジーン”
「私は“ジーン”……」
転移させられる直前ちらっと見えたジーンはどこかほっとしたような微笑みを浮かべていた。
ぱちぱちと二回瞬きをしたら、もうさっきの聖域とは違う場所に立っていた。
“祈りの間”って言ってたから、どこかのお部屋に行くのかと思ってたのに、お外だった。
聖域は薄暗かったけど、こっちは夕陽があたりをオレンジに染めていた。
「ミア!」
リデルの声が下から聞こえてきた。
ミアは立っていたところは、円形のつるつるに磨かれた石の上の真ん中。この石、さっきまで見てた白いキラキラのと同じやつかな?
真ん中のここからはリデルが見えない。端っこまで行って下を覗き込んだ。
わ、想像したよりも高い!
二階建てのおうちの屋根に上がってるぐらいある……。
下にはリデルだけじゃなくてピュイトもシェファフルトさんもみんな揃ってこっちを見上げてた。
下りるとこどこだろう?
柵がないから、端っこから少し離れてぐるっと回ってみたけど、階段がどこにもない!
白くて長くてロウソクみたいな柱みたいなのの上にミアはいた。
えー、これどこからどうやって下りるの!?
うろうろおろおろしていたら、また「ミア!」ってリデルに呼ばれた。
「梯子を持ってこさせるからおとなしく待っていろっ」
「わかったー!」
大人用の梯子は一段の幅が広くて少し怖かったけど、何とか下りられた。
下にはホッとした顔のみんながいた。
「ただいま!」
「ミア!」
真っ先にピュイトがミアの肩を掴んで「大丈夫でしたか!?」と揺さぶった。
「あれは一体誰なのです!?すぐにすむと言っておきながらこんな時間までミアを帰さずにいてっ、一体何処へいっていて何をしていたのです!?それにただならぬ神気を感じましたがミアは辛くありませんでしたか!?」
わ、わ、質問がいっぱい。
心配もいっぱいかけちゃったから、しょうがないよね。
皆もミアが答えるのを待ってる。
「えっとね、どう言ったらいいのかな……」
何からどうやって説明しようかな、っていうかジーンから聞いたこと全部皆に話しちゃっていいのかな?
どうしよう、また今度ジーンに聞いてからの方がいいかな?
ミアがなかなか答えずにいたら
「ま、まさか、言えないようなことをされたのです!?」とピュイトが真っ青になった。
それを聞いた皆も真っ青な顔になってしまった。
「え? え? 違うよ!?」
ジーン、最初に「断ってきた」って言ってたのに、全然みんなに伝わってないっ!
まさか「連れていくが心配いらぬ」だけ、とか!?
とにかく何か言わなくちゃっ!
「あ、あの人はね、オリジンだよ」
つっかえながらそう言った途端、その場にいるみんなが息を飲んだ。
読んでいただきありがとうございます。
すみません5月以降仕事が忙しく、なかなか書く時間が取れずストックが切れてしまいました。
なので、しばらく更新をお休みいたします。
更新再開は8月を予定しております。
できればブクマそのままで待っていていただけるとうれしいです m(_ _)m




