表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生エルフとパパとママと林檎の樹  作者: まうまう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/214

エルフとわたし#36

あれ?

これは怒られちゃうやつ?

保護者(ピュイト)に相談した方がいいと思ったけど、怒られちゃうやつだった?


あーなって、こーなって、そーなって、って順番に説明していたらピュイトの顔が段々険しくなってきた。

瞳から緑色のビームが出てきそう。


「ごめんなさい?」

オセ◯で遊んだのよくなかったのかな?恐る恐る謝ったら、ピュイトは「はぁ……」とため息をついて目を閉じた。

よかった、ビームは発射されなかった。

「女神様に会う前のことは知られないように気をつけるよう、前にも言いましたよね?」

「うん、でもミアはここで遊ぶだけのつもりだったの。アトラスさんのお家がお店屋さんだなんて知らなかったの。……でもごめんなさい」

心配だから叱るって所長さんも言ってた。だから今度は「?」無しで謝る。

「えっと、ミア今からアトラスさんにオセ◯はお店で売ったらダメって言ってくる!」

そうしたらピュイトとミアも困らないんだよね?

くるっと背を向けて走り出そうとしたミアの腕をピュイトが慌てて掴んだ。

「待ちなさい。知られてしまったのならミアが許可しなくてもそのうち売り出される事になるでしょう」

「え……?でもアトラスさんはミアに『いいですか?』って聞いてくれたよ?」

「良識ある相手で今回は幸運だったのです」

それからピュイトはミアが愛し子じゃなかったら、只のエルフや只の普人だったらとか、アトラスさんがちゃんとした商会の人じゃなかった場合や、オセ◯をしてみせたのが大人数の前でだったらとか、色んな場面を想定してそこから起こる可能性を話してくれた。


……ミアそんなことちっとも考えなかった。

ただ、退屈だからちょっと遊びたかっただけなのに。

大人になったらこれもわかるようになるのかな?

できるようになる未来が見えないな。


でも、ちゃんと考えられるようにならないとダメなんだよね。

ミアだって騙されたり嘘つき呼ばわりされたり、変に大きな期待されたり、牢屋に入れられたりなんてヤダもん。

そんなことになったらパパとママと一緒にいられない。


ひとしきりミアに説明すると「さて、では後は大人に任せておけばいいですよ。ミアは私の隣で黙っていればいいですからね。私が聞いたことだけ答えれば大丈夫です」と、立ち上がった。

そしてミアの頭を撫でながら「一人で返事をせずによかったです」と微笑んでくれた。


二人でリデルのお部屋に行くと、ピュイトとアトラスさんは小さいテーブルに向かいあって座った。


「まず、このゲームは私とミアで考えた物です…………」


ピュイトがちらっとこちらを見たから、ミアは声は出さずに「うんうんっ」って頷いておいた。


さっきアトラスさんに「ミア様が考えられたのですか?」って聞かれた時「違う」って答えちゃったから、ピュイトと二人で考えたことにした。

それなら答えとも違わないし、“しんぴょうせい”が増すんだって。


「こちらに契約の条件を記しておきました」

アトラスさんがテーブルにひらりと紙をのせた。

ピュイトは手に取って目を通している。

しばらくして読み終わったのか紙をテーブルに戻した。


「こちらとしては商売は素人ですので概ねそちらの仰る条件で契約をしたいと思っています」

「本当ですか!?それは大変ありがたいです」

「ただし、こちらからも一つ条件をつけさせていただきます」

「何でしょう?受け取りの配分についてですか?」

「いえ、そのようなことではないのです。むしろこちらの条件を飲んで頂けるなら、それは下げてもらっても構いません」

「えっ!?」

「逆にそれが叶わないのであれば、この話はなかったことに」

前のめりの姿勢だったアトラスさんが少し背をのけぞらせ、椅子の背もたれに体が当たる。

「……一体どういった条件でしょう?」

「いえ、簡単な事ですよ?このゲームを売り出すに当たり、この子に関する情報を一切関連付けないこと、です。考案者や権利者が“ミア”や“愛し子”であることを完全に秘匿していただきたいのです」

それを聞いたアトラスさんはテーブルに置かれた紙をじっと見つめてから、ピュイトに視線を戻した。

「わかりました。その条件で契約を致しましょう」


「……では、正式な契約はエルフ国の商業ギルドで行いましょう」

「ええ、わかりました」

二人は軽く握手してる。

よかったぁ。

これでミア困ったことにならないんだよね?

ピュイトにまた助けてもらっちゃった。

にこにことピュイトの横へ近づいていくと、アトラスさんもほっとしてる。


「正式に契約をしてギルドに口座を作ったら、ミア様にもゲームの売上が入金されますからね」

そうなの?

「ミア、お金もらえるの?」

「もちろんですよ。ミア様はこのゲームの考案者のお一人ですから。バイエル商会はきちんとした取引をお約束致します」

「じゃ、じゃあね、そのお金でママのお薬買える?」

「もちろんですとも。薬を買っても余りますよ?」

えーっ、そんなにもらえるの!?

ウェルツティン先生はお薬は高いって言ってたのに。

「じゃあね、じゃあね、余ったお金で市場で見たみたいな綺麗な布も買える?」

「反物まるごとだって買えますよ」

えーーっ!

そんなにお金もらえるの!?

「スゴイ!ミアね、ママにスカート作ってあげる約束してるの!そのお金ですっごくステキなのを作るよ!」

反物まるごと買えるなら、ミアの分も作れるかも!そしたらママとお揃い!!

仲良し親子コーデだよっ!


うれしすぎて、ぴょんぴょんと跳ねちゃう。

「アトラスさんっ、ゲームたくさん売れるといいねっ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ