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パパとママとわたし#3

おうち探検で残るはベッドだ。

壁に沿って置かれている。家族三人が寝ているベッド。

今日は登れるかな。靴の代わりに履いているフェルトの室内履きをポイポイってして、いざ!

ありったけの力でお布団を掴んで、足もなんとか縁の段差に引っ掛かるように上げてっ、んよっとぐぐぐっと、も、う、少、し!

よし、足が段差に届いた!

あとは体重を思いっきり前に~!

ぼすんっと体が布団の上に乗り上げた。

できたっ!やったー!

これでいつでも自分でベッドに入れるよー。

ころんころんころんころん。

小さい体はベッドの上で何回もコロコロできちゃう。こつんとヘッドボードに当たってストップ。

木目の天井が見える。

ここにきて最初に見えたのもあの木目の天井だった。


「さぁ、これで次に目が覚めた時には新しいあなたよー」ってセラスティア様の言った通り、違う世界、違うわたしになっていた。

気が付いたら寝かされていた。どうやらちゃんと転生ができたみたい。男の人と女の人の声がする。あの声の人達がわたしのパパとママなのかな?

「どうしようか、子ヤギもそろそろ乳離れしてミアのミルクが足りなくなってきてしまった」

「村まで行って買ってくるしかないでしょうね。今日はもう薄暗くなってしまったわ。明日朝一番に出掛けるとして、今夜は白湯か薄めた林檎の絞り汁を飲ませてみるわ」

「ミアの林檎か。飲んでくれるといいけど」


わたしはミアって名前になったんだ。

赤ちゃんなのにもう言葉がわかる!

ミアの林檎、わたしの林檎ってなんのこと?

顔も身体も上手く動かせない。

「あーぷ、だぅう」声も上手には出せなかった。足と腕を出来るだけジタバタ動かしていたら、男の人が気が付いてくれた。

「ミアが起きたみたいだ」

「なら、私は白湯の用意をするわ」


「ミア起きたのかなー?」

わたしのことを覗き込んだのは茶色の髪、薄茶色の瞳の男の人。日本人みたいな顔じゃない。外国の人の顔だ。じゃあ、私の顔もそうなのかな?

おおぉってちょっと興奮したら足がもっとジタバタした。

「んー?抱っこしてほしいのかなー?よーし、パパが抱っこしてあげるよー」頭と首とおしりを支えて抱っこされた。

パパ!

やっぱりこの人がパパ!

わたしはパパの顔をじーっと見つめた。パパはへにゃりと笑ってほっぺにキスをくれた。わわわ、パパからキスされちゃった!わたしの顔もへにゃりとなったみたい。

「ミアが笑ったよ!なんてかわいいんだ!」

「ママにも見せてくれるかしら?」

ママ!パパから抱っこを代わったこの女の人はママ!亜麻色の髪に濃青の瞳。ママの指がわたしのほっぺをつついて、顎の下をこしょこしょされる。

ママ、くすぐったいよ。わたしのお口がむにむにへにゃり。

「ふふふ、笑った」

ママの顔もへにゃりだ。

顎の下に布を当てられて、

「さぁミルクよ」

小さな小さなスプーンを口に差し込まれる。

ぷぇっなにこれへんな味ーまずーい。

舌で押し出したら、口がベタベタになった。

「やっぱり白湯じゃダメかしら」

「次は林檎の絞り汁混ぜてみよう」

ミルクじゃなかったよ!

白湯ってただの水のはずなのに、赤ちゃんだとこんなに不味く感じちゃうの?

口を拭かれて、またスプーンが差し込まれる。

んん、今度のは大丈夫!ほんのり酸っぱいけど白湯みたいに不味くないよ。

お腹がいっぱいになるまで、何度も何度も繰り返しスプーンが差し込まれる。

哺乳瓶はないのかな、これだとミルクのたびにすごく時間がかかっちゃう。

「飲んでくれてよかったわ、これでミルクが少し足りなくても何とかなりそう」

「庭にいきなり林檎の樹が生えてた時はびっくりしたけど、女神様がミアの為に持たせてくれたんだね」

「なんといっても“エルフに林檎”だものね」

パパとママはふふふって笑ってる。

どうやら、私のために女神様が林檎の樹をプレゼントしてくれたみたい。

そっか、だからさっき「ミアの林檎」って言ってたんだ。

“ミアの林檎”は“エルフに林檎”?


………あれぇ?わたしってエルフなの???



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